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超金持ちに転生したので適当な婚約者を札束で買い取ったら勘違いした男と浮気相手がボクたちを引き裂くなと騒ぎ出したからお望み通り極貧のまま生涯二人で暮らせるように手配してあげました

作者: リーシャ
掲載日:2026/07/26

 超金持ちに転生した。婚約するのが果てしなく嫌だったので適当に好きにしやすい婚約者を探してみたら見つけたので札束で買い取れた。


 男の子の家は貴族とは言え落ちぶれた、ど貧乏な内情なので。男の子がこちらの婚約者になるだけで次々お金が入ってくるボーナスタイムに一も二もなく息子を速攻差し出した両親たち。


 このお金はあくまで婚姻すれば利息なしになるが、婚姻に至らずとなれば借金になることを明記した契約を結ぶ。

 なにやら婚約者になった男には相思相愛の女がいたとか。どこぞの令嬢らしい。

 それを指摘しても彼の両親は別れさせましたので!と何度も何度も言い募る。それでいいのかと彼の方を見ても俯いているだけ。


 ここで恋人一筋、出ていきます、出奔します、駆け落ちします、などと言えばやめられたかもしれないのに。そうなればそうなったらで他の人に変わっていた、とリュリールは断言する。

 それなのにこの一家は、都合の悪いことから全力で目を逸らしてウチと婚約する方の天秤に、乗っかったってことだ。なんていう酷い人たちだろうか。


 なーんて責めてみたけど初めから知っていたけど。ただ、単にこちらも損はないので気にしなくていいかなと放置することにした。こちらに害がなければ、ないでいい。そうでしょう?


「彼を自由にして!」


 そんなふうに思っていたのに、向こうからデッドアタックしてくるのはなんなのだろうか?

 叫んだのは可憐というか、小動物の令嬢。うるうる目を潤ませる。相思相愛を、なんでもしていいと勝手に変換しているような嘆き。


「……」


「聞いているのですか!?」


 聞いていないと言ったら引っ叩かれそうな興奮具合に欠伸が出そう。何様なのかということを言うのはこちらよりはるかに爵位も立場も格下の女の子。

 当主ですらないのにこの態度はかなり貴族の縦社会の中で大問題だ。修道院に送っても賄える責任を背負えるのかどうか。明日も学園に通えるのだ、と思えていそうな危機感のない顔をしている。


 周りは顔を青白くしており、止めもしない。どちらを止めても味方をしてもいいことはないと中立になっているらしい。今はとてもいい対応だ。ただし、一人だけ例外がいたが。


「シニカ、君、何を……!」


 リュリールの婚約者であり高額な借金がある貴族の家の子息だ。よりにもよって今出てくるなんて、実家をなくしたいのか。反発の意思ありにしか見られず、怪しい行動に目を細めた。

 近くにいる使用人が厳しい眼差しで真っ直ぐ見ていることすら気づいていない。ここに至る危機感の欠如とは貴族にそもそも向いていないのだ。


 いくらお金がなくて教育してくれる中での安い人しか招けなくとも、必要最低限の教育と躾は施されているはずなのに。こちらで再教育をした方がいいのかもしれない。


 父親に聞いて言っておかないといけない。その役割は自分なのか?


 いや、流石にこんなに大きな子供の対応をするほど相手に興味がない。周りも大体事情を薄く理解しているのか、令嬢たちの振る舞いに顔をしかめている。

 お涙頂戴は返すものを返してからやるべきだと思う。返してくれた恩人に最低な態度だ。あのまま行けば平民まっしぐら。令嬢シニカとて平民が相手では親が許してはくれまい。


 学園にだってリュリールが支援をしなければ、とっくに強制的に退学扱いになるところだった。会う機会もなくなる。というのに、何を呑気に自分たちの学園ラブストーリーをしようとしているのか。こちらのスクールライフを邪魔するのならば、彼には転校してもらわないといけない。


 恋人だろうとなんだろうと一連になって騒ぐのなら、次回から消えてもらわないといつまでもうるさい。


「だ、だってカツゥル!」


「君が危険なことになる!やめるんだ!」


 令嬢を心配する前に筋違いの罵倒を謝るのが先なのではないのか。護衛が気色ばんで睨みつけるが、こちらを見てないから気づいてない。


「私が一方的に言いがかりをつけられたのだけど?」


 とりあえず事実を先に突きつける。リュリールはやれやれと目の前の悲劇のカップルはこちらのことなど一瞬忘れていたような顔で二人とも顔を向ける。そのまるで引き裂かれた人間のようなふりをしてくるのは、心底不快だ。


 悪いことをしている扱いをしているが、思いっきりいいことをしている。援助したから彼はいい服を着ていい食べ物を食べて苦労せず学園に来ている。将来不安にならずに過ごせている。

 つまり、余裕だから他の女と過ごせるわけか。使用人に指示して婚約者にはお金がなくて爵位もなくなった後の生活をさせるように密かに行う。彼の親も同じ生活をさせるように。


 援助はあくまで仕事だけだと徹底させる。これは親が躾をしきれておらず連帯責任もあるから。それに、本来ならばその生活を始めているはず。援助は生活を良くするためではなく、家を建て直すためのもの。


 恋愛をさせる余裕を作るためのお金じゃない。お金は湯水のようにあるがなにもないところから出てくるわけじゃない。これに関しては彼の両親や祖父母たちが悪いので、金で買われたと嘆く前にまず責める相手がお門違い。

 買われるのが嫌なら貴族を抜ければよかったのだ。裕福な家のところに養子縁組に行ったり文官になって無爵位になったりと、貧乏にならないで平民並みに生きる方法もあった。


 それならば今から貴族をやめて平民になってもらっても構わない、こちらは。別の男子を買えばいいから。買われたくないのなら売らなきゃいい。リュリールはちゃんと買いますよとお膳立てして奴隷扱いもできるしされてもおかしくないのに、それをされない。おまけに学園に通える。


 支援の名の下に健全に扱われている。人権も考慮しているからベタベタしてない。お飾り婚約者として契約しているからこそ、こちらから話しかけたこともない。それなのに、なぜ悪徳な金貸みたいなことを言われなきゃいけないんだ。閉鎖的な学園で。初めて見た生徒に。


 リュリールはアホらしくなるままに彼らの謝罪をまともに得られなさそうだとしれば、もう用はないと本来の場所へ向かうために移動した。あの二人はもうこちらのことなどどちらでもいいのだ。


 それにしても今回のペナルティは厳しいことになるんだけど、彼はどこまで理解しているんだろう。彼自身に魅力などないのに。

 まるでリュリールが彼に夢中になっていたり惚れていたりする前提のことをしている。彼の恋人も同じく。惚れてないし、光るものを感じていたりしないんだけど。


 バカを見ていると感染るので離れるのが一興だ。学園から帰ると具体的な指示を出してカツゥルの小遣いや身の回りのものを平民のものに変えていった。

 買ったものが不良品ならば普段使いなどしない。返却してお金を請求しないだけ感謝してほしい。不良品どころか購入者に牙を剥こうとしているのだから。


 生産者にはキツく言い終わっている。こんなことがあって責められた。お前たちがきちんと躾けていないからだと。連帯責任として平民の生活をさせる。

 息子が態度を改めなかったり恋人をけしかけたら平民の生活のままだ。さらに悪化させることもあるんだからな、といった文面と共に有言実行させる。


 みるみるうちにお飾り婚約者たちの家は平民と同等の生活になり、家も移動させられて元の家は使用人の寮になる。使用人たちには別に平民生活をさせる理由はない。本来そこに住んでいるんだから、生活水準を下げられることはない。


 今や主人よりも使用人の方が生活が豊かだ。主人がもう主人ではなくなりこの生活をさせているのが自分たちが仕えている人の婚約者というのも周知させる。

 そうしたら、あれよあれよと貴族の彼らの生活が赤裸々に報告されるから、わかりやすく可視化されていた。父親母親息子は喧嘩しているとか。


 あなたが恋人なんて子を婚約者へ向かわせるから、と叫んだりしているらしい。然もありなんな結果だ。そのせいで平民生活をさせられているのだから、彼らも責めたくもなるだろう。


 そこに至るまでなにもできなかった親も親である。借金は親がこさえたので息子が責任を取る必要はないんだけどね。家族だから責任が生じてしまう。


 カツゥルはボタンをまともに止められないまま慌てて学園に来て、周りの生徒たちにみっともなさで笑われていた。貴族籍を抜けたら同じよりも辛い生活があるので、こんなものじゃないんだけどね。


 彼は何もしていないが、本当に平民になったら学園なんて通えるお金の余裕はないし、帰ったら仕事をしにいかないと生活ができなくなる。リュリールのお金でそれをしなくて良くなっている分、普通の平民より余程恵まれているということだ。


 支援されなければやるはずであった生活だから、意地悪でもなんでもない。支援金は領地の立て直し用であって貴族としての生活を続けさせるものではない。建前はそうだ。

 他の貴族と支援する貴族も貴族の生活をさせてもいいという前提で与えているから、建前を無くした支援となればこうなる。それすら想像してない婚約者もなんだかなぁと思う。


 恋人の女は見窄らしくなった男に最初悲劇のヒロインのように抱きついたが、段々余裕のなくなるカツゥルが嫌になったのか離れて行こうとした。そうはいかない。学園の中でリュリールを悪役にしたのだから、ヒーローとヒロインで居続けてもらわねば。


 用意した紙と共にヒロインみたいにウルウルお目目の瞳をさせていた女の家に事前に名誉毀損を受けた、と慰謝料請求書類を弁護士と共に派遣させた。

 そうしたら爵位が低く裕福でもなんでもない親たちは娘のしたことを頭を下げて謝ってきたものの、他の生徒たちの前で貶めた落とし前をサインさせる。


「結婚!?」


「事実結婚よ」


 カツゥルを呼びつけて、シニカも隣に座らせると彼女の両親やカツゥルの両親も交えてあらかじめ根回しした状態での勧告。


 リュリールはお飾りの婚約者であり夫が欲しかった。なぜなら好きな人が平民だから。逆立ちしても爵位は得られそうにないので白い結婚が良かった。

 すでに金を受け取り契約をしている家に否は無理だ。返せる見込みもないので。彼らは俯いたまま悲劇のカップルを冷たい目で見る。


「私は私で本当の夫と暮らすからあなたたちはあなたたちで事実婚をして暮らしてもらう」


「え、え、でも」


「勿論、あなたは独身と周りにみられるけれど好きな人と暮らせるんだから幸せよね?」


 リュリールはあの日解放しろだの買うなんて酷いなんて戯言を宣う女の目を見る。そこに男への愛はない。カラカラに干上がっていた。やはりそうか。


 彼女は恋に恋しており、借金があるけど女の婚約者に買われたと可哀想な恋人の可哀想な自分に酔っていたのだ。御伽話は現実も待つので今回はめでたしめでたしを用意してあげた。


 すでに事実婚の書類も用意していて彼らは世間から見ると二人の家に雇われている使用人夫婦。夫婦ではないか彼の専用使用人としてシニカを買い上げておいた。

 シニカは親から散々無関係なことで迷惑をかけて、人前で貶めたから訴えられて高額なお金を請求され借金を背負っていることを親から言われる。


「わ、私……そんな、そんなことになるなら言わなかったわ。それに、皆も言っててっ」


「言ってたの?本当に?支援を受ける貴族は珍しくないのよ!?」


「おかあ、さま」


 親に責められて泣くが、カツゥルと暮らさせるための家に移動させるため両脇を掴まれてひと足先に家を整えておく仕事をさせるように、指示されている。使用人なので正式な妻ではない。恋人扱いは好きにすればいい。内縁の妻みたいなものになる。自然消滅を女の方は望んでいたらしいけどね。


「彼女はどこへ?」


 カツゥルが震えながら問いかけてくる。今漸く意識したのか。


「あなたと住むための家に行っただけ。おめでとう。今日からあなたたちは夫婦生活ができるわ」


 パチパチと手を叩く。


「僕のことが好きなんじゃ、なかったのか」


「いえ、これっぽっちも」


「なっ……そんな」


「え?もしかして支援してもらえていたのは私があなたのことが好きとか惚れているからしてもらえていたとか、勘違いしてたの?」


「そ、れは」


「図星なの……?まあ、好きじゃないしよかったのでは?私に好かれていたら彼女と本当に引き裂かれていたんだし」


「でも、学園は」


「卒業しなくてもなにも損はないわよ。だって仕事なんてないんだから。卒業に必要なものなんてないんだし」


「そんな。だって、学園で」


「将来は文官志望だったかしら。でも、あなた恋人と過ごしすぎて勉強も疎かになるし成績も下がってて、推薦なんて高嶺の花だったわよね。コネもないのになれるものじゃないし。恋人と会える無料の施設扱いをしてたじゃない。あなたの親もそれを聞いて、そんなことのために支援金を学費として使ったわけじゃないってお怒りよ」


 親のいるところに指をさすと彼はブリキ性の人形のごとく、ギコギコと後ろを見る。冷や汗がわかりやすく流れていた。ヒッと喉が引き攣れる音が部屋に響き渡るが誰にも気にしない。

 シニカ令嬢の親も娘の恋人を恨みのこもった目で見つめており、いくつもの目が男子を中心に集まっていた。それを知り慄く者の恐怖は目に見えて高まる。


「お飾りの夫ってなんですか、私が夫ならおかしいですよね」


 初めてと言っていいほど初めて会話をした。そのことに彼は気づいているのだろうか。自分のことしか考えていない。今し方愛しの恋人が連れて行かれたのに。


「だからあなたは初めからお飾りだったの。給料がちょっとだけいい使用人雇用でいさせる予定だった。けど、あなたの恋人が人前で私を責め立てていらない恥をかかされてから、方針を変えることになったの。お父様は支援なんて打ち切りだって怒ってたのを止めたのよ。感謝して欲しいくらいよ」


 ふうとため息を吐く。彼の両親がひたすら頭を上げて下げて「ありがとうございます」と泣く。平民の生活を体験して漸く自分たちは恵まれていたのだと理解したのだから、そうなるだろう。


「浮気じゃないんですか。本当の夫って……」


「何言ってるの。契約書に記載されてるでしょ?婚姻届には記載されるけど夫婦生活はしないって。ビジネス結婚と書いてあるんだけど、あなた読まなかったの?読みなさいって言われてたわよね?」


 彼が父親に目を向けると「読まなかったんだよな」と告げられて顔を青くする。彼は自分をとてもとても可哀想で、借金を肩代わりする代わりにリュリールに好き勝手操られる哀れな奴隷ぶっていたから、余計に今羞恥心と勘違いの連鎖で脳内が混乱しているのだろう。


「え?紙?」


 お金で買われて好きでもない人間と結婚させられる男なんて、どこにも存在していなかったのだから。現に彼は恋人と共に暮らせるし平民よりちょっといい生活ができる。平民生活は続けてもらうけどね。

 それが嫌なら生活費は恋人か恋人の家に援助してもらえばいい。リュリールに二人の生活を援助する義務はもうない。学園を卒業させれば、お勉強はできたから経費の仕事を任せようと思っていたのに。


「では、解散して」


 その生活にしておけばリュリールの干渉もなく、名誉を傷つけない範囲で好きに暮らせる予定だった。恋人を囲い実質妻として扱っても許したのだ。世間に露見させなければ……であったので夢にもならないが。


「ま、待ってください!まだ僕には聞きたいことがっ」


 リュリールが金で恋人を買ったと大きな声で言い、それを否定せずリュリールを庇うこともせず一目散にシニカのところへ近付き二人の世界を中心にしたのが悪い。


 別に夫婦となってもビジネスだから好きでもなんでもないし、暮らしさえ別々にすればお互い好きな人と自由気ままにできたのに。二人は最初だけだった。

 小遣いだって彼の親が許す範囲での金額なら平民の人たちがちょっと奮発したらアクセサリーなんてものも買ってあげられるレベルのものだって恋人、今は妻になった女にプレゼントできたのに。


 女の方が恋人が見窄らしくなり他の貴族たちに笑われるようになってから、恥ずかしくなってしまったのだろう。婚約者の金で整えられていたことも知らず綺麗な男を維持され、美しいものだけ得ようとしたから。


「はぁ、休憩が休憩にならなそう」


 男が毎日いいものを食べて良いものを身につけて学園に通えたのは、婚約者が援助していたからだ。しかも、通わせてきたのは恋愛させるためじゃない。将来の予行を含めた投資。


 パァにされたから苛立っている人たちしかいない部屋となっている。彼は気付いてなさげだが。頭がいいけど恋に溺れて身を滅ぼすタイプだったと知れただけでまあ、ギリギリセーフかな。


 彼の家族も含めてちまちま返済したら返済し終わるのは四十年から五十年後。迷惑料や慰謝料で上乗せされているから、これ以上かもしれない。負債を今の給料で返していくのは大変だけど愛している夫婦ならお互い手取り合って生きていって返していくでしょ。


 離婚っぽいことはできない。彼女の親が彼女の権利をリュリールに売り払ったからだ。本来ちゃんとした貴族に嫁げたりできたのかもしれないが、リュリールに当たった結果カツゥルと恋人関係であることも大々的に知れ渡り、未婚令嬢としての価値が大幅に下落した。


 お金も地位も持つリュリールに喧嘩を打ったことも知れ渡り、貰ってくれるなけなしの貴族家がいなくなったと知った彼女の親は借金や慰謝料、社交界の評判を加味して訳あり貴族に娘をやるくらいならとこんな結果になった。


 少なくとも怪我はしないし痛いことはない。単に生活が苦しいまま締め付けられているような空気で生きていくだけだ。支援をしても構わないとシニカの親には言っているが返済で余裕がないとやる気はないとさっぱり言われている。娘にも手紙が言葉で伝えられることになるだろうし、その時さらにカツゥルとの関係は冷え込むだろう。


「どうだった?」


「なにもわかってなかったから離れた家に押し込めた」


「そうか」


 シニカの愛は今でも結構冷めていてカツゥルはまだそれに気付いていない。さらに生活が苦しくなるのだから、彼女にとっては埃まみれのガラクタを寄越されたような気持ちなのかも。それでいい。

 人の婚約者をいつまでも所有物と思い込み、勝手に想像して勝手にこちらを悪にして戒めようとした末路なのだから。


 話しかけてきた男が目前に座ると慰めるように笑う。それだけで胸に花が咲く心地になる。カツゥルをお飾りにしてまで共になりたい人なのだから、絆は深い。


「本当の夫婦になれるように頑張るからな」


「そんなことないわ。私たちは世間がどう見ようと真の夫婦なのよ」


 カツゥルがシニカと暮らすのでリュリールとカツゥルの婚姻届は受理されている。


「気兼ねなくあなたと暮らせるのが楽しみよ」


 学園に通う必要がなくなった間抜けなカップルは学園を退去している。今日付けなのだが、もう通わなくていいと今頃説明を親から受けているだろう。


「は、なんですかそれっ」


 彼女は恋人を解放してと頼んできて、それが叶ったのだから喜んでいるに違いない。


「私は暮らしたくない!」


「こんなつもりじゃなかったんです!」


「帰りたい、お父様!いやっ、私を助けてっ。解放してええっ!」


 二人の絶望した声など、聞こえるわけがないのだ。

最後まで読んでくださり感謝です⭐︎の評価をしていただければ幸いです。給料だけ受け取って契約を破る息子にどうしてこうなったと親は思っているかもしれませんね

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― 新着の感想 ―
応援できればと思い来ました(^ ^) 「解放して」の願いを叶えた結果が地獄になるという皮肉が鮮烈です。書き手として感心したのは、悪役令嬢モノの構図を反転させ、加害者側の思い込みを一つずつ論理で解体し…
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