シュラドの街5
「ではこの鍵をどうぞ」
白い手袋をつけているが隠しきれていない強靭な手から鍵を渡される。
番号は十三と書かれていた。
「ご案内しますのでついて来て下さい」
男性の後について行く。すると別の男性が代わりにカウンターについた。
階段を上がって左に曲がって少し歩くと十三番と書かれた扉がある。
鍵を開けて中に入ると、全部で十六畳ほどの大きさの部屋にシャワールームとトイレのついたとても綺麗な部屋だった。
「この宿は冒険者の方々が泊まりますので深夜でもシャワーを使われる人もいます。ご了承下さい。タオルが置かれていますがご自由にお使い下さい。ですがあまり乱暴に扱っていると弁償をしていただく場合がございます。それはこの部屋の全てに共通する事です」
「ええ、それは分かってるわ」
「ベットからコップまで、破損した場合の弁償代を事細かに書いた料金表もございますのでご確認をお願いします」
ルイがその紙を持って見てみると、本当に細かく料金が設定されている。それだけ冒険者がこの宿の物や壁、扉を破損させたのかとルイは思った。
「気を付けます」
「ええ、お願いしますね。洗濯物がございましたら、この袋に入れてカウンターまで持ってきて下さい。その際には追加料金が発生します。宿から出る時にカウンターに鍵を預けていって下さい。これで説明は終わります。聞きたい事はございますか?」
「あなたは元冒険者なんですか?」
ずばりと聞くと男性は微笑む。
「それは宿の規定で言えません。ですが冒険者が暴れた時にはいつでも制圧しますので言ってきて下さい」
「分かりました。ご配慮ありがとうございます」
「後は午前中の十時から三十分ほどの間はこの部屋の清掃時間になっています。時間変更はできますので、きちんと連絡をお願いします。では私は行きますのでごゆっくりなさって下さい」
そう言って男性が出て行こうとする。
「あの、一応名前を聞いてもいいですか?」
「これは失礼しました。私はカドモスといいます」
「私はルイです。これからよろしくお願いします」
「こちらこそ。では」
そう言って扉から出ていった。
「ここも結構良さそうね。安心した。ずっといるのも選択肢としては有りね」
ルイはベットの方に歩いていくと勢いよく座る。お尻が跳ね返され体が上下に揺れた。
「フォーウ!弾力があって良い感じ」
しばらくベットの感触を楽しんでから夕食を食べに行く前にシャワーを浴びようと思う。
ルイは着替えを出してから向かった。
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初めシャワーのお湯をどうやって出せばいいのか分からなかったルイは、ホースのついていないシャワーヘッドの部分を持って観察していた。
ジャッカルドが持っていた魔法石を想いだし、ヘッドの部分を外してみると、案の定、魔法石が入っている。
外したシャワーヘッドを元に戻し、お湯出ろ、と念じたらルイの望み通りお湯が出てきた。
トイレと同じような水を弾く木材で作られたシャワーヘッドは使いやすいが、衝撃には弱そうだったので落としたら弁償だろうな、と考えながら使う。
石鹸代わりになるのは何の変哲もない木片で、これを水の入った桶に二分ほどつけておき、木片の成分が水に溶け出した後、その水を体につけていく。泡立ちはないが汚れは落ちたので、その上からシャワーを浴びた。
服も着て髪も乾かし、綺麗になったのでサッパリする。
そうしてルイは夕飯を食べに食堂に行った。




