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シュラドの街


順番が回ってくると、先頭の荷馬車に乗っていた紅き月夜のメンバーが外に出て、門番達と話をしている。そして門番を連れてランクHの荷馬車まで歩いて行き、荷馬車を一台一台しっかりと確認していた。


門番が紙を持っていたので、山賊だと分かる情報がシュラドにまで届いていたのかもしれない。


横目で様子を見ながらルイは終わるのを待っていた。


「そう言えばルイ、山賊討伐の報酬が入る事は理解しているよな?」

「え、報酬って何?私、何もしてないわよ」


ロウフェンの言う言葉の意味が分からず、ルイが聞き返すと、それに丁寧に答えてくれた。


「タバシュの方で山賊の征伐隊が組まれたなら、その山賊には必ず報酬が出る。ルイが何もしてなくても雇われた俺達が山賊退治したんだから、多くはないがルイにもお金が入るぞ」

「戦ってないのに入るのね」

「そりゃそうだろ。危険のない場所にいるならともかく、一緒の場所にいて、もし冒険者がやられたり逃げたりした場合、依頼人がどんな目に合うか想像はつくだろ?」

「あ、確かに・・そうね・・」

「普通はこんなに冒険者引き連れている訳じゃないんだ。依頼人だって命がけなんだよ。過去に殺されてしまった依頼人達の為にも、今から危険な目に合う未来の依頼人の為にもルイは報酬を受け取る方がいいと思うぞ」

「そっか。冒険者のロウフェンがそう言うならそうするわ。私よりずっと知ってるものね」


ルイは自分より知識のあるロウフェンの言う事を聞いておこうと思った。さすがにその辺りの事情を全く知らない自信があるので神妙に聞く。


「貰った金が気になるなら、酷い怪我を負った依頼人の救済として回復薬を冒険者ギルドに渡す方法がある。買って持っていけば、冒険者ギルドから被害にあった者達に支給されるぞ。

勝手に支給されるのが嫌なら、半年間だけは自分の好きに指定しておく事も出来る。大怪我をした依頼人限定とか、冒険者名やチーム名だとかな」

「へー、じゃあ黒き山脈に指定して冒険者ギルドに回復薬を持っていくね。フェルミの街にも送っておくわ」

「教えた俺も悪いが、迷うそぶりもない事に恐ろしさすら感じるな」


少し気まずそうにロウフェンは言う。

そんなロウフェンにフラミーは厳しい視線を向けた。


「ロウフェン、仲間の為よ。迷っちゃダメ」


念押しするようにそう言い、続いてルイも同調する。


「そうよそうよ。仲間の命は大事にしないと」

「フラミーに言われるのは分かるが、ルイが言うな」


ロウフェンに言われてルイは不満そうに口を曲げる。


「あら、私、フラミーもメルナもジャッカルドも大切よ。大怪我をしたなら助けたいわ。もちろんロウフェン、貴方もね。私は自分の味方にはとっても優しいのよ」

「・・そうかよ。ありがとな。でも回復薬の買い占める事はするなよ。市場が混乱する」

「大丈夫。私は買い物好きだって言ったでしょ?買い物をする人を苦しめるような事はしないわよ。売る時も値崩れしないように気をつけているしね」


そんな話をしていると、山賊を詰め込んだ荷馬車が一台、ルイ達の横を通って街の中に入って行く。

一番後ろに見張るようにして立っているのは、紅き月夜の魔剣士のリゲルだった。


そのまま門を通過して見えなくなる。


「後はルイを冒険者ギルドにまで連れて行くだけだな」


山賊達を乗せた荷馬車をリゲルが見張っている事で、これ以上何も起こる事はないとロウフェンはホッと安心する。

ランクAの安心感は半端なかった。


「ロウフェン、今回はお疲れさま。こんな大人数を従えたのは初めてだから緊張したでしょ?」

「ああ、だけど勉強になったよ。一度思い込んだ人間を説得するのは難しいだとか、数多くの人間に言う事を聞かせるには決まり事を決めるしかないって事をな。

フラミーもお疲れ様。サポート助かったよ」

「どういたしまして。役に立てたなら良かったわ」


ロウフェンとフラミーはお互いに労り合う。

ジャッカルドはルイの方を見た。


「俺達はギルドに報告が終わったら酒場で打ち上げするが、ルイはどうする?」


聞かれたルイは真顔で答える。


「え?買い物に行くわよ。当然でしょ?」

「迷いないな」

「ルイらしいわね」

「集団行動無理だな」

「後でお酒届けてあげるね」


上からロウフェン、フラミー、ジャッカルド、メルナが立て続けに言う。


「ありがとうメルナ。だけどお酒は飲まないからいいよ。それより全力で楽しんでちょうだい。そっちの方が私は嬉しいわ」

「その分、ルイも全力で楽しむのね」

「もちろんよ!手抜きなんてしないわ!街の中の店がどんな品物を置いているのか早く見たいし、手にとって確認したいぃー。早く中に入れないかなぁ」


ニヤニヤしながらルイは門の中の街を見ている。早く買い物に行きたいようだ。


「門の中に入った途端、店に向かって走りださないでくれよ」


ロウフェンが疑うような目をしてルイを見ている。

自信満々で答えた。


「うんうん絶対大丈夫。信用して、絶対大丈夫だから」


ロウフェンはチームに指示をだす。

その顔の表情は無だった。


「フラミー、ルイの手を掴んでおいてくれ。反対側をメルナ、頼む」


ロウフェンの指示の元、ルイはがっしりと両手を掴まれる。


「あああ!ここでも信用がない事を信用されてる。私の手を掴む力の強さが悲しいっ」

「ごめんなさい、ルイ。これはロウフェンの言う事の方が正しいわ」

「うん、ごめんね。ルイ。ジュース奢るよ」


冒険者には嘘を見破る能力は必須なので、二人は決して手を離さない。

門を通って街の中に入り、シュラドの冒険者ギルドにつくまで、ルイはしっかりと二人に拘束されていた。



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