シュラドまでの道12
ー深夜ー
ガンッ!ガンッ!という激しい音と共に、大声が響く。
「敵襲だぁぁ!!」
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ああぁぁぁ!!!」
その声でルイはテントの中で飛び起きる。
大声はランクHの荷馬車のようで、交代で休んでいたとは思えないほどの騒ぎようだった。
奇声のような声も上げている。
同じテントで寝ていたメルナとフラミーはルイよりも早く起きていて、フラミーは杖を取り出すと素早く攻撃に対する防御の魔法を唱えようとしたが、それよりも早くルイから結界石を渡される。
「使って、依頼人からのお願い」
メルナとフラミーは結界石を発動させ、落ちないようにボタンのついたポケットの中に入れた。
そして二人が外に飛び出すと異様な光景が見える。
魔法の光を発動させ、明かりで照らされた荷馬車の上で、ランクHの冒険者が剣を振り上げたり杖を振り上げたりしながら大声で叫んでいた。
その顔は必死な形相で、女性も隠れながら叫んでいる。
狂乱するランクHの荷馬車は暗闇の中で光って見えた。
そのおかげか初めの矢の襲撃以降、未だに本格的な敵の攻撃はない。
フラミーも魔法の光を発動させ、周囲を照らす。
味方はまだいるぞ、とアピールする為で、それが成功したのか遠くの岩場から動揺したように数人の黒い影が確認できた。
あれが敵なのかとルイは思う。
見ようとすると、影だった人物達が鮮明に見えるようになった。
服が破れ、汚れた姿が見える。
明らかに疲れ果てていた。
「え?」
あまりの様子に声が出る。
まだ何もしていないわよね、とルイは思った。
ジャッカルドがランクHを守るように前に出る。これで万が一、襲われたとしても時間稼ぎが出来るようになった。
ルイの視界の端には何かが移動する姿が映っており、それを目線で追うと、奥の方に移動していたのはポロスで、暗闇の中をものともせずに走っている。
そして全面からは、三人が走って行く姿が見えた。
それはリゲル、ドライド、ロウフェンで凄い勢いで接敵している。
自分達に近づく冒険者の姿を確認すると、怯えたように座り込んだ。
それをロウフェンが打ち据え、武器を取り上げ、地べたに這いつくばらせている。
その間もリゲルとドライドは奥に向かって走り続けていた。時折、飛んでくる矢を落としながら前に進む。
魔法治癒士イルシャが杖を前に向け、二重魔法を唱えた。
「内なる仲間を守り、敵を打ちなさい」
杖の先に魔法陣が二重に浮かび、発動した魔法の守護は味方に、魔法の風は敵に向かって飛ぶ。
リゲルとドライドは守護を受け、そして奥にいる敵は、圧縮された風の球体がぶつかり、殴られるぐらいの威力の攻撃を受けた。
敵が膝をつく。
最後に大回りをしていたポロスと、全面から来たリゲルとドライドの攻撃を受けて、敵は全面降伏をした。




