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6話 化蜘蛛


「そう何度も同じ手に引っかかるかよ!」


 馬鹿の一つ覚えのように同じ速度と角度で繰り出される矢をバク転しながら容易に躱し、その際に拾った石を立ち上がり際に投げつける。

 しかしそんな攻撃は対処されてしまい、蜘蛛は器用に木と木の間を飛び交う。


「まずいな……遠距離攻撃手段を持ってない俺じゃ……」


「ここは私に任せてください!」


 花華はベルトにくっついていた花の模様が刻まれた銃を持ち出す。それを蜘蛛の方に構え正確にエネルギー弾を撃ち出す。

 それは木々の間を飛ぶ奴の体を正確に捉え、奴は緑色の体液を撒き散らしながら地面に叩きつけられる。 

「やっぱ虫タイプの魔物は気持ち悪いな。俺近接戦闘メインだから助かったよ」


「えへへ……ありがとうございます。でも、まだ脅威は去ってないみたいですね」


 カサカサと辺りから不愉快な音がいくつも聞こえてくる。

 仲間を殺されてお怒りなのか、ワラワラと蜘蛛達が集まってくる。


「この前助けられた借りを返す時がやっと来ましたね……見ててください。私の力を!!」


 花華はボタンを一回押し、本人固有の武器を出現させる。それは一輪の花でありとてもじゃないが武器には見えない。


「はぁっ!!」


 しかし彼女はその花を蜘蛛の群れに向かって投げつける。するとそれはいくつもの同一の物に分裂し散開する。

 群がる奴らを取り囲むように花が宙に浮かび続ける。


「いきますよ……必殺技!!」


 そして彼女はボタンを三回押し銃口を一番近くの花に合わせる。

 大気が揺れて半透明の花弁が現れ銃口に吸い込まれていく。段々と銃口が熱気を帯び始め、限界まで奴らを引きつけてから引き金を引く。


「ファイアー!!」

 

 紫色の極太ビームが蜘蛛に向かって真っ直ぐに飛んでいく。それに当たった蜘蛛は消し炭となり、更に浮遊していた花弁に当たると反射し複雑な軌道を描き出す。

 蜘蛛達はそれに囲まれていたため、十数匹の蜘蛛が曲がりくねる軌道に巻き込まれて消し炭になっていく。

 

「やったぁ!! 見ました!? 全部倒しましたよ!!」


 花を舞わせた美しい戦い方。それは確かに見惚れてしまうほどに美しく、彼女がランキング上位だということにも納得だ。


『アレギィもすごいけど、やっぱフラウの戦い方は綺麗だよな〜』


『この前は負けちゃってたけど、フラウの実力はランキング上位なだけはあるよ! 元気出して!』


 コメントだけでなく投げ銭もたくさん投げられている。


 なるほど……強いだけじゃなく魅せなきゃいけないのか、配信者として。


 彼女の動きからは色々と学びがあった。

 視聴者を飽きさせないための動きや掛け声。俺とは大違いだ。今まで俺はそういうことを気にせずにやっていたため視聴者を飽きさせてしまっていたのだろう。


 感心している最中、森の奥からズンズンと大きな足音が聞こえてくる。

 俺達が再び戦う構えを取るのと同時に奥の方から先程の奴らと比べものにならない程の巨体の蜘蛛が飛び出してくる。


『ぎゃー!! 出たぁ!!』


『デッッッ!!』


 大迫力の魔物を前に視聴者達は大盛り上がり。この一番熱が入ったところで更に盛り上げられるのが一流の配信者だろう。


「なぁフラウ? ここは俺に任せてくれるか?」


 今学んだことをしっかり活かそうと意気込み、前に出ようとするフラウの前に腕を割り込ませる。


「いいですけど……」


「それと適当に援護を、あとこっちが合図したらさっきの必殺技を放ってくれ!」


「は、はい分かりました!」


 前衛は俺、後衛は彼女に任せる。今にでも襲いかかってくるかと思ったが、魔物は予想外の行動にでる。

 蜘蛛達の死骸をその尖った足で集め出したのだ。


 あいつもしかして……魔物にも仲間を想う気持ちがあるのか?


 魔物は未だに解明されていないことの方が圧倒的に多い。凶暴で凶悪な怪物だというのが通説だったが、このように心がある個体がいるというのならやり辛くなる。

 だがしかしそんな心配は杞憂で終わることとなる。

 バリバリボリボリと仲間達の死骸を咀嚼し始める。一切の躊躇いなく同族を食い散らかす。


「前言撤回だな……やっぱり魔物は退治しないとな!!」


 俺はボタンを一回押し剣をもう一本取り出して二刀流の構えを取る。


「さぁ行くぜ!!」

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