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38話 彗星の如く現れたスターの原石


「あいつ出ないな……」


 例の魔物の件で謝ろうとここ数日何度もフォルティーに連絡を取ろうとしているものの出る気配がない。メールも電話も全て無視で既読すらつかない。

 

 やっぱあいつ怒ってるよな……協力するって言ったのに結局何もできなかったし……


 スマホを鞄に入れ探偵事務所に行こうと思ったが、その時フォルティーからか電話がかかってきて鞄から手に振動が伝わる。


「フォルティー!?」


 しかし電話をかけてきた相手は彼ではなく花華だった。

 

「もしもし?」


「あっ夜道君! 聞いてください! 実は私の好きなアイドルのライブチケットの抽選があったんですけど……チケットが三枚も当たったんです!」


「へぇーそうなのか。良かったな」


 電話から聞こえる花華の声は上擦って嬉しいそうなものであり、そのアイドルのかなりのファンなのだろう。

 

「それで良ければ……予定が空いてれば、そのライブに夜道君と霧子ちゃんとで三人で行きませんか?」


「予定……今確認してみる。何日だ?」


 花華に言われた日付は日曜であり、その日は霧子は学校がないし俺もバイトはない。


「おっ、この日なら両方大丈夫だぞ。ちなみになんてアイドルだ?」


「保志町彗星っていう最近話題の女の子です! ダンスも歌もすっごい上手なんですよ!」


 世情に疎い俺でも名前くらいは聞いたことある。しかしうろ覚えのため人気アイドルということくらいしか分からない。

 だがそれでも人気ということをこんな俺でも知っているということは、かなり有名なアイドルなのだろう。


「分かった。霧子も誘っておくよ。あいつは随分お前に懐いてるみたいだしきっと喜ぶよ」


 俺は授業中で電源が切れている霧子のスマホにメールを送っておき、それから家を出て探偵事務所に向かう。


「おっ、ナイスタイミングだ夜道君。ちょうど君に任せたい仕事ができたんだ」


 探偵事務所に入るなり応接間からシャーロットがひょっこり顔を出す。

 そこには四十代くらいの小綺麗な女性も居る。恐らくは彼女が依頼者なのだろう。


「おう分かった。それでその……依頼というのは?」


「私がプロデュースしているアイドルのことです。こちらの……」


 依頼者の女性は数枚の写真を俺に見せてくれる。そこにはウィッグなのだろうが、水色の綺麗な髪を後ろで結んでいるアイドルの女性が映っている。

 

「ん……? これって保志町彗星!?」


 偶然にも依頼者が言うそのアイドルは花華が今度行こうと誘ったライブで歌うあのアイドルであった。


「あらご存知なのですね。そうです。私が依頼したいのは保志町彗星について調べて欲しいということです」


「調べる……? 具体的には何を?」


「彼女の怪我についてです」


 怪我。そう言われても元気に歌う彼女の様子からは怪我をしているなんて想像できない。しかし他人に見えにくくても怪我をしているなどいくらでもある。 

 俺は真剣に話を聞く姿勢を取る。


「あの子、交通事故で一年前までは立つことさえできなかったんです。それより前からやってたアイドルへの道も閉ざされたと誰もが思っていました」


 そういえばテレビのドキュメンタリーか何かで、奇跡の復活を遂げた天才アイドルと報じられていた。曖昧な記憶だが、確かそれによればトラックに跳ね飛ばされて下半身付随になっていたはずだ。


「でも一年前急に立ち上がれるようになって、さらにリハビリなしでダンスを踊れるようになったんです」


「妙な事件だろう? 君はどう思う?」


「どう思うって……その怪我自体が演出で嘘だったとか?」


 急に解答を聞かれ当たり障りのない返答をしてしまう。


「それはまずないね。彗星君を轢いたトラックの運転手は捕まってるし、病院の診断書もある。演出にしては凝りすぎている」


「それは……そうか」


 そこまで証拠があるなら怪我は確かにあったということとなる。なら注目すべきことは何故怪我があったのに急に治り、さらに激しい運動までできるようになったかということだ。


「私は心配なんです。あの子はまだ十六です。悪い大人に唆されて何か非合法な手術や薬をやってるんじゃないかって」


 彼女は心から彗星のことを心配し、一人の大人として未来を案じていた。

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