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15話 接戦


「どうした花華?」


「あのっ……私も審判として参加します!!」


 俺の後ろに隠れながらも強く吠えるように叫ぶ。明らかにフォルティーのことを敵視している。


「ほぉ……オレ達が不正しないか不安といったところか?」


「そ、そうです!」


 フォルティーがより一層強く花華を睨め付ける。

 それもそうだろう。何もしてないのにここまで疑いを持たれたら誰でも良い気分にはならない。


「勝手にしろ。邪魔したら殺すからな」


 一発くらい殴ってくるかと思ったが、彼はそこまで血気盛んではなく冷静に事をいなす。

 そうしてフォルティー側はあと数名魔物に対する牽制と監視のために配信者を向かわせ、俺達三人もダンジョンへと赴こうとする。


「そういえば配信はどうする? お前の……アレギィとしての名誉を守りたいなら配信をオフにすることも勧めるが?」


 ダンジョンに行く際は配信をオンかオフにするか選ぶことができる。ただオフにしてもサブネルソンには映像が行く。


「まぁ……オフに頼むよ。一位のあんたの名誉を傷つけて恨まれたんじゃたまったもんじゃないからな」


 俺は今までの礼も兼ねてあえてのオフで頼むことにする。


「ふっ……面白い男だな。あいつらにもオフにするよう伝えておく。少し待て」  


 そうして数分後。準備が終わり俺達三人はダンジョンへと転送されていく。


「随分と見晴らしの良い野原だな」


「お互い不正や小細工はできない。純粋に力や技術を見せつけ合うだけだ」

 

 転送された先は数キロ先まで何もない平原。離れた所にはフォルティーの仲間が数名囲むようにして外側を見張っている。

 魔物はもう倒し終わったのか誰も戦闘を行う気配はない。


「さぁやろう。お前も武器を出せ」


 フォルティーはアーマーの背中部分に付いていた棒を取り外す。そこに付いてあるスイッチを押すと棒の先端が変形しハンマーとなる。


「あぁ! 一位の強さを見せてくれ!」


 俺もアーマー付属の剣を装備し構える。


「じゃあ私はあっちに行ってますので……卑怯なことはしないでくださいよ」


「いいからさっさと行け」


 花華は他の誰もいない所まで行きこちらをじっと見つめ続ける。


「勝敗は負けを宣言するかアーマーが解除され地上へ戻された方が負け……でいいか?」


「あぁそれで構わないぜ!」


「ならやろう……お前の力を見極めてやる」


 お互いもう言葉は要らず、試合が始まり緊張が一気に引き締められる。

 そしてそれが爆発してお互い同時に前に飛び出る。ハンマーと剣が真正面からぶつかり俺は大きく後退させられる。

 真正面からでは不利だがこちらの方が小回りが効く。俺は手数で圧倒しようと素早い突きを繰り出す。


「中々やるな……次は趣を変えよう」


 フォルティーはボタンを二回押してバイクを出現させ、そこにオーブを嵌める。


[マジンバイク]


 バイクは変形し二足歩行の巨大なロボットとなる。頭に当たる部分には操縦席があり彼はそこに乗り込む。

 ロボットの両手には機関銃らしきものが付いており、そこから目にも留まらぬ速さでエネルギー弾が発射される。

 咄嗟にもう一本の剣を取り出すが、二刀流にしても弾を防ぎきれない。アーマーを抉り鋭い熱が全身を襲う。


[ランスバイク]


 地面を蹴り付け土埃を舞わせ、ボタンを二回押しつつ左方向へ転がる。

 そのままオーブを嵌め込みつつバイクに乗り込み、機関銃で捉えきれないスピードで円を描くように走り彼を翻弄する。


「くっ……ちょこまかと……!!」


 肩からも機銃を生やし俺を撃つがそれらも俺には当たらない。隙を見て方向転換しロボの巨体に向けてバイクを突っ込ませる。

 鋼鉄のボディと槍の如き鋭さがぶつかり合い俺達は互いに凄まじい衝撃を受ける。

 俺とフォルティーはバイクから投げ出される。


「アレギィ……貴様中々やるな」


「そっちこそ。流石は一位なだけはあるぜ」


 体もテンションも温まってきてこれから戦いの本腰が入るという頃。俺達を囲んでいてフォルティーの仲間の一人が甲高い悲鳴を上げる。


「なっ、何だこいつは!?」


 金属がぶつかり合う音に俺達の戦意は削がれ、この場は一旦中断して音のする方に視線を向ける。

 そこには全身漆黒の鎧で包まれた魔物がいた。


「ちっ……見張ってろと言ったのにあんな魔物一匹に苦戦しやがって」


 フォルティーは地面にドスンと音を立ててハンマーを強く叩きつける。


「おい! 今すぐあいつの所に行くぞ! 続きは倒し終わってからだ!」


「あぁ分かった!!」


 俺達はバイクの状態を元に戻し、乱入してきた魔物に苦戦する人達の元までバイクを走らせるのだった。

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