表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グロリア・フォン・コードウェルの断罪と復讐(書籍版:悪役令嬢グロリア・フォン・コードウェルの断罪と復讐)  作者: 万丸うさこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/85

第55話 消す

 いいの? と、A子が心配そうに言ってきた。


 (さすがに王太子のエドワードは襲撃現場には行けないだろうから、立会人ってたぶんブライアンになるよね? あの脳筋思いこみ騎士と転生ヒロインに聖地なんて行かせたら絶対暴走するよ?)


 醸造所とか下手すると破壊されそう。

 じゃなくても「癒しの力、ありました!」って捏造して聖女判定出しそうじゃん。


 そわそわ、おろおろ……そんな擬音が聞こえてきそうなくらい焦った様子でA子が言う。


 エイブラムも眉をひそめながらA子と同じ懸念を言って、首を振った。


 「導き手のペンダントを壊したことに対しては然るべき罰を受けるべきだとは思っているが、正直言って、私はメロディが聖女と詐欺師のどちらであってもかまわない」


 ついでに言えば、その中身が前世の聖女だったメロディでないのならば、今世でグロリアが復讐する理由もないのだ。


 こちらの邪魔さえしなければ、グロリアだってその人生を邪魔しようとは思わない。

 そのまま学園を卒業し、ソールズベリー男爵家の養子として同格の貴族と結婚して生きていけばいいと考えていた。


 「その力が本物ならば、ぜひ聖地の負傷者を癒してもらおうではないか。人々を救ってくれるのなら、導き手として聖女様に感謝の言葉を述べよう」


 メロディが本当に聖女として覚醒したとしても、使い道はあるのだ。


 たとえば窮地に聖女を差し向けたのがグロリアであるということを公表する。

 導き手であるグロリアに無礼を働いたが、それを許して、しかも聖女として覚醒するきっかけを作ったグロリアの評判は上がるだろう。その程度には使える。


 「そしてもし詐欺師だったとしたら……聖女と偽って傷病者の前に立つことの罪深さを反省するきっかけになるだろう。聖女詐称は死刑と決まっているが、己を省みることもできず死ぬよりは、罪を神に懺悔する機会を与えたい」


 心優しい紫の導き手様だろう? と、心の中でA子に語る。

 甘い。けれど罰するのは司法の仕事であって導き手の仕事ではない。


 導き手は許し、導き、寄り添うのが仕事だ。


 内実はどうであれ、そう見えるように振る舞うのが仕事なのだ。

 そしてそのイメージが崩れないかぎり、人々はどこまでも従順に導き手(グロリア)に従うだろう。


 苦笑するA子とは違って、エイブラムは感心したようにグロリアを見ている。


 聖女の力によって治るかもしれないと期待させておいて、裏切ればどうなるか。

 別の世界の住人であったA子やメロディは想像できないかもしれないが、信心は時に人を簡単に殺すのだ。


 聖女を騙った女に懺悔をする時間が残されていれば、それは幸運なほうだろう。


 今世のメロディに復讐する理由はない。

 しかし中身が変わったメロディは〝聖女〟ではなく〝ヒロイン〟としてグロリアの邪魔をした。


 だから消す。


 グロリアが手を下して消すのではない。

 彼女が自ら自分の首を絞めて消えていくのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ