表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
四章:夏の終わり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/216

糸に絡め取られる

「……………………」


 千影といい、澪といい。


 何故、こうも女子と言う生き物は不可解な存在なのか。


 色恋沙汰どころか、人としての振る舞いなんかでさえ――まともに出来もしない俺。


 木偶の如く突っ立ったまま、機能を停止した俺を


 愉し気に見つめる一ノ瀬さん。


「……勝負ありました? 密約は成立ですか? 沈黙は……この提案に対する、了承と看做しますけど……よろしいですか?」


 物言わぬ俺を相手に、彼女の求める解答しか用意されていないブラックボックスめいた――取り決めに対する返答の確認を矢継ぎ早に行って


「それじゃあ……調印」


 嬉しそうに笑みを浮かべる彼女が、束ねた黒髪のポニーテールを躍らせると


 ――俺の頬に、唇を触れさせた。



 * * *



 部屋に戻ると、それまでの様子を一転させて。


 一ノ瀬さんは、部屋の片隅に追いやられたテーブルの上に、ゼンマイ仕掛けのロボットの動作で、ぎこちなく抱えた飲み物を並べて――先程までの千影たちに倣うみたいに布団を頭から引っ被って包まると


「……うきゅあぁぁ……おちゅきゅるききゅおああ……」


 一体それは何語なのか? と訊ねたくなる声を漏らして、丸くなって……動かなくなった。


「くーちゃん? 紬ちゃ……どうしたの?」


 古い時代の音楽再生機器のテープレコーダー。


 壊れたそれを思わす音……のようなものを口にする、彼女の様子を気にした千影が訊ねると同時に。


 かまくらみたいに丸く膨らんだ布団が、びくっ! と大きく跳ね上がった。


「虫か……かべちょろでも……出た?」


 保護されたての仔猫そのものな、怯えっぷりを目にして澪も怪訝な顔。


 千影から尋ねられたことにも、訝る澪にも――


 それが不実以外の、なにものでも無い事を理解しながら


 俺には、なにも言うことはできなかった。


 彼女からすれば……一ノ瀬さんからすれば。


 先の振る舞いは、それほどの蛮勇を振り絞る必要があった訳だ。


「……ふ~ん♪」


 布団の中に引き籠って震える一ノ瀬さんと、押し黙ったままの俺を見比べて


 千影の布団の中から顔を出す澪が、何もかもを察した表情。


 弱ったネズミを見つけて、今から面白可笑しくいたぶって遊ぼうとする猫のような


 そんな笑み。


「千影ぇ?」


「どうしたの? 澪ちゃ」


「えっとねぇ……あのねぇ? 紬はねぇ?」


 一体、澪が……なにを言い始めるのか気で気も無かったし、布団の中に引き籠った一ノ瀬さんに至っては、それ以上に――澪が口にしようとする言葉に対して


 早鐘みたいに心臓を鳴らして、固唾を呑んで震えていたに違いなかったけれど。


「……澪ちゃ。また意地悪なこと言う気でしょ。一ノ瀬さんに そんなこと言うなら……一緒のお布団で寝てあげない。ハウス ハウス ハウス」


 なにかを察してみせた千影に、おしくら饅頭さながら、澪が布団から追い払われる。


「ちょ! ちょっと!? ち、千影ッ!!」


 唐突の仕打ちに上がった非難に――そっぽをむいたまま布団の中におしりを引っ込めると、千影がこちらを向いた。


「あ、くーちゃん電気消して? なんかもう……意地悪な澪ちゃ、やっつけるのに疲れたから おやすみなさいする」


 夜更かしする予定だからと、買い出しに出た気もしたけれど……


 うやむやに この場を逃れる体の良い口実を得られたのは有難い。


「じゃあ、電気消すぞ」



「ちょ、蔵人まで! 熟年夫婦かッ! 若さはどこ行った?! 若さは!! ぐうぅ……こ、この上は……必ず! 必ずやッ!! ……お前たち、ふたりの……らぶりーな……ばぶちゃん♡ に生まれ変わって……幸せ一杯に おギャりまくって、甘え尽くして!!


「このデケぇおっぱい、ちゅっちゅっ ちゅっちゅっ♪ して……健やかに育ちまくって


「あんたらが……あんたらがァッ!!


「『そろそろ……ふたりめが欲しいな♡ くーちゃん』……とか? あまあま♡ いちゃいちゃ♡ する頃くらいには? ああ……、――どうしよ……軽くムカついてきた。


「……タイミングを見計らって、ままぁ……怖い夢みたのぉ……おトイレ一緒に行こぉ……


「みたいなこと言いながら? 超ッ! ちょ~~~ぉおッ! 邪魔しちゃるからな! 覚悟しとけ!


「……、――あ……なんか……ダメだ


「あんたら ふたりの……完成予想図想像してたら……今度は……虚無ってきた


「折角の……みんな揃っての……温泉お泊り会だってのに


「もう、いいや……蔵人? 電気……消して消して……


「今から、お布団の中で鬱るから……おやすみ」



 パチッ


 躁鬱の発作でも起こしているのかと聞きたくなる、……不安になりそうな澪のテンションの半ば、部屋の電気を消すと、俺は逃げる様に退散。


 ――きっと今頃、大いびきの合唱を響かせているに違いない、3年たちが布団を並べる男子部屋へと、戻りながら


 一ノ瀬さんが提示してきた『密約』についての処し方に……俺は悩んでいた。











「……、――、……あの ぐひっ♪ ……レズショーは……まだ……なんでしょうか……ぐふひっ♡ お……おあずけ?」



 * * *



「結城ぃ……これやるわ」



「んおォ!? さ、さん! びゃく! えんッ!!


「え、なに? なになに? ひ、柊先輩ッ! 柊先輩ッ?! これ貰ってもイイの!? ……わ、わたしがぷりちー♡ な妹分ポジだから お小遣い??


「くれるって言うなら、わたし……これ遠慮なく、ザラメくんに貢いじゃうよ?!


「てか、これ……なんのお金?」



「……昨日、マッサージ・コーナーで知り合った おっさんたちとよ……徹マンしたn」


「て! 徹マン?!」


「一ノ瀬……なに……想像してやがる? 頭ピンクの……むっつりか?」


「ち! 違いますッ!!」

いつもブクマ有難うございます。


千影、澪、イオナ、紬、柊……お、お前ら

ゼってぇノクターン送りにしてやるからな。


……宜しければ、お読み下さった御感想や「いいね」


その他ブックマークや、このあとがきの下の方に

あります☆でのポイント


それらで御評価等戴けますと、それをもとに今後の

参考やモチベーションに変えさせて戴きますので


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ