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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
四章:夏の終わり

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澪先生の九九講座 ※こいつらは中学生です

「例えばね? んーちょっと目を閉じて……そうそう想像して、想像して?


「蔵人をリーダーに掲げた、先輩さん方ぁ……無敵軍団にぃ喧嘩を売ってくるぅ、バカどもの群れをぉ……まずは想像しよう!


「……おい?」


「シャラップ! 蔵人! お座りッ!」


 なんだか放置し難い雲行きの……澪先生による九九講座。


 言われるがまま素直に目を閉じて――脳裏に浮かぶ居もしない敵にボルテージを高め始める3年共。


「ぶっ潰してやるッ!」


「そうだ! ぶっ潰せ! てか、そいつら何人居るの!」


「知るかァ! そりゃあ……ひとり残らずぶっ潰すだらァ!!」


(……九九……なんだよ……な?)


 ことの先がまるで見えてこない、目の前のやりとり。


 首を傾げて、成り行きを見守ってみれば――


「ハイ、目を開けて」


 澪が皆に目を開くように促した。


 そして言われるままに目を開いた3年共の目は、殺気に満ち満ちて座りきっていた。


「いま~、先輩方の目の前にたァくさんのお馬鹿さんたちが居た訳ですがァ


「こういう時に役に立つのが九九です」


(……そ、そうなのか?)


 俺の知る九九から、かけ離れた澪の九九。


 普通に算数のドリルから始めようとした俺の時とは打って変わって、連中は澪の言う事を真摯に耳を傾けていた。


「イオナ! ちゃちゃっとでイイから、悪そうな奴の顔を描いてみそ?」


「……適当に描けってことぉ? 描きこんじゃダメぇ??」


「それはまた今度。あんたの気が済むまで、ゆっくり描いたらイイっしょ」


「……ん~、――、……、――、……、……、ほい……こんな感じ?」


「次、バイク!」


 言われるがままに落書き帳に鉛筆を走らせるイオナが書き終えた物を、澪が3年たちに向ける。


「「……つまり……どういうこった??」」


 こいつらでなくとも聞き返したくなる――この流れ。


「つまりね? この……悪そうなヤンキー5人が、6グループ居たとします! ボコる相手は全部で何人!」


「全員ダラァ!?」


「違ァう! 正確に!!」


 澪からのダメ出しを受けて、指折り数え始める3年。


 両手両足の指を総動員したところで当然、答えに辿り着けるハズも無いことに、何故すぐに気がつかないのか。


 うんうんと頭を捻って考える3年を前に――暫くして。


「ハイ、みんなボコられたァ……考えてる時間が長すぎてぇ。考えがまとまる間にィ……全員ボコられましたァ」


「んだとぉ! ナメてんのかァ!!」


「バカ野郎! もう一度言うぞ? バカ野郎!」


「……この……アマぁ……バックに橘くんがついてるからって……調子に乗りやがってぇ」


「調子に乗ってるのは、先輩さん方。あんね? つまり、この九九ってのは……喧嘩で〆る相手の数をマッハで数えて、先輩さん方ひとり当たり……何人ずつを相手にすれば良いかを知る事ができる――すっばらしい代物なんよ」


「「「「「「……ッツ?!」」」」」」


(いや、もう……なんなんだよ本当に)



 * * *



「千影ままァ……寒いの……一緒のお布団に入れて」


「イオナちゃは、前科があるから……ヤダ」


「……千影ままぁ? 蔵人ぱぱと、つむぎおねーちゃん……べったりだよ? わたしたち……捨てられちゃったね……ぷしゅぷしゅぷしゅぷしゅ♪」


 イオナが千影を煽る。


 雑音に耐えかねたのか……手を休めた一ノ瀬さんが、そちらへと向かうと、足元で布団を被って丸くなる ふたりを見おろして――


「星山さん……結城さん……静かにして下さい。あんまり……うるさいようだと……そのお口、縫っちゃいますよ?」


 そら恐ろしいことを口にした。


「イオナちゃのせいで怒られたッ!」


「ち、千影まま! 千影ままァ! 怖い! つむぎちゃん怖い! お布団入れて! 入れてぇ!!」


 つつかれた巻貝みたいに布団の中に引っ込んで、小声で言い合うふたり。釘を刺せたのを確認すると一ノ瀬さんが俺の元にへまた戻って来た。


 エアコンを最低温度に設定した部屋の中で、布団に包まって……危険が去ったことを確認するみたいに不精にも顔だけを外に出すふたりへ俺は視線を飛ばす。


「もう、少しだけ……動かないでいて下さいね?」


 俺の傍らで膝をついた一ノ瀬さんが、型紙を待ち針で留めていく。


 間を取り繕うために気の利いた会話のひとつもできればと思いはするけれど――生憎とそんな社交術なんて俺には無し。


 真剣そのものといった表情で、熟練テーラー顔負けの手際で作業を熟す彼女が、どうやらイメージも纏まったってきたのか、先に留めた針を抜いて――1ミリあるかないかといった寸法を詰め直して行く。


「一ノ瀬さん……ご厚意は有難いんだけれど……あまり根を詰めるのは良くない。湯冷めもするし、適当なところで休憩しないか?」


「ご、ごめんなさい?! ……橘くん。あと少し……あと少しだけ辛抱して欲しいの。もうちょっとだけ」


 こちらが暇を無心したみたいな、元も子もない彼女からの詫びの言葉。


 ほんのちょっと、手を休めて一息入れて欲しいと思っただけだのに……それは、彼女には伝わらなかったらしい。


「おっじゃましま~っす♪ う! うおおぉ!? さ、寒ッ! 寒いよ紬ィ! わ、私のお布団はどこ! どこなの?! イイや。千影のお布団に入っちゃろ♡」


「ちょッ?! 澪ッ! 狭い! 狭ァい! ここは千影ママと、わたしでいっぱいなんだっちゅーの! あっち行けッ! あっち行けってぇ……」


()いではないか、好いではないか♡ げひゃひゃひゃひゃッ……てか千影」


「……へぅ?」

いつもブクマ有難うございます。


全年齢の方で投稿しております、もうひとつのお話

【おっぱいバカ】


これを書き上げた後に、二日続けての震災に見舞われて

ロストしたデータを繕い直して


データを保護するためにと、なろうでの投稿を始めた訳ですが


東北の方でまた震災があったとか。


その数年後に、こちらの方で震災が起こったことを考えると

また来るような気がして堪らないものがあります。


次にまた被災した際には、我が家は果たしてもってくれるのか。


こんなまだ寒い時期に被災された東北の方々、何卒ご無事で。


宜しければ、お読み下さった御感想や「いいね」


その他ブックマークや、このあとがきの下の方に

あります☆でのポイント


それらで御評価等戴けますと、それをもとに今後の

参考やモチベーションに変えさせて戴きますので


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

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