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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
四章:夏の終わり

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分からないところが、分からない

「……今日のコレって、橘くんの財布から出たん……よな?」


「……、――、……名義は、千影にしたけどな」


「マジか……なんつーか……橘くんの周りだけ……世界が違うわ」


「おお、走り屋チームひとりでボコるは、熊殺すは、俺たち〆るは……マジ洒落にならねぇ」

 

 一体全体、どういう感心の仕方なのか? といったところではあったけれど……。


 普段は慣れ合いなんて……まるで興味も湧かない俺だと言うのに。


 風の吹き回しか、作業の手を止めてテーブルに置いたペットボトルに手を伸ばすと――こいつらの雑談に、加わる気になっていた。


「気にするな。お前たちにはとりあえず……2学期末のテストでは、全教科赤点だけはクリアしてもらう。


「――俺からすれば、お話にもならんハードルではあるけど……まぁ、今日のこれらは


「俺からの労いの一環だとでも思ってくれ


「千影の親父さんは……欧州を転戦していて、最近は中々帰ってこないんだけれど、一流と言っていい方だ――」


「な、なぁ……橘……くん? 今、気付いたんだけど……ひょっとして……千影の姐さんのお父さんって……星山(せいざん)レーシングの……」


 スポーツニュースでの露出も多い、親父さんのこと……バイクというものに、憧憬の様なものを抱くこいつらが知っていたとしても、なんの不思議は無かったけれど。


 俺がその問いを首肯すると、3年連中は一様に顔を強張らせた。


「……珍しく、勘が働くじゃないか」


 キャップを締めたペットボトルを、膝の上で杖ついて弄び、こいつらが聞きたいに違いないことについてを ひとつひとつ聞かせてやることに。


「……ご想像の通り、千影の親父さんは――世界を股にかけて転戦する、星山レーシングの創設者で、チーム星山で主任走者を務める その人だ。


「小さい頃から良く俺も……親父さんが小さい子供には とことん甘いのと、お隣さんということもあって……


「愛娘の幼馴染というよしみで連れられて……ピットなんかにも出入りさせて貰っていてな?


「小学生の頃からレースに出てる 千影のマシンの手入れのイロハなんかも勉強させて貰ってた。


「お前らが話す……漫画だなんだの暴走族やら、先の話で出た……、――なんで知ってる?


「――まぁ例によって、例の如くか。……話が逸れた。


「その走り屋だのとかいう連中なんて……お話にもならない方の教えを、物心つくか つかないかの時から、たっぷりと詰め込まれたのが、千影だ――


「面白くも無い勉強の息抜きや、俺の我儘に付き合ってくれる対価として考えるなら……破格じゃないか?


「お前たちが、学校の勉強なんてものにモチベーションが上がらないのも……まぁ理解できるけどな


「親父さんには、千影のメンテナンスも俺は頼まれてる。


「そんな訳でだ……もし良ければ、このお勉強会の一環として――定期的に……まぁサーキットを押さえるには、施設側のスケジュールもあるし、金もバカにはならないから、頻繁に……とはいかないんだが


「こう言った感じの集まりを他にも開こうか……とも、考えてる。


「なんだったら、お前たち ひとりひとりに――今日、千影が乗っていたマシンと、同グレードの物を見繕って進呈してやってもいい。


「残念なことに……それなりに まとまった金は持ってはいても


「実のところ俺は……金自体には、あまり興味も無くてだな――どうだ?


「ちなみにチューンナップに関しては、期待してくれてイイぞ?」



 * * *



「アルファベット帖終了ッ! 次行くぞ次ィ!!」


 単語帖以前と言い切れる、地獄のような その名称。


 アルファベットの形すら良く理解できていない こいつらのために。


 イオナが片手間に描いてコピーしてくれた――いく分どころか、直球で女の痴態を、無理矢理アルファベットに組み入れてみせた、卑猥な構図 目白押しの代物。


 下心を上手く くすぐるイオナの――見事な目論見だった訳だけど……それは、こいつらのお勉強の一助に間違いなく買ってくれていた。


「次ィ! 九九ぅ!」


「ヤン車が1ィ! ヤン車が2ィ! ヤン車が3んん!!」


 数学どころか算数の域にまで程度を落としての九九だったけれど……3年たちは最初、九九と言うものすらできなかった。


 自慢ではないけれど、学校の勉強で悩んだりした経験が無い俺。


 そんな俺だけに、こいつらの『分からないところが、分からない』と言う問答めいたものが、俺には皆目……理解もできなければ、見当すらもつかなかった。


 レベルを落としに落として――小学校でやるようなドリルから積み上げていけば、こいつらでもどうにかなるだろうという、俺の安易な目論見は直ぐに行き詰まりをみせ……


 そこからどう、この初歩の初歩とも言える算数を教えようかと考えて……頭を悩ませていると――

驚くほど事も無げに、それについての考え方を示してくれたのは澪だった。


 九九の暗唱の途中で、つまづいて……連中が投げ出そうとする兆候が表れたところで


 宿の浴衣を着込んだ澪が、今から小噺でも始めますといった感じで皆の前に座った。


 そんな彼女を囲んで、むさ苦しさ全開の3年たちが詰め寄って耳を傾ける。


(……でも、その内容は九九)


「あのね、先輩さん方……九九ってのはさ? 超役に立つんよ、まぁ聞こう」

いつもブクマ有難うございます。


宜しければ、お読み下さった御感想や「いいね」


その他ブックマークや、このあとがきの下の方に

あります☆でのポイント


それらで御評価等戴けますと、それをもとに今後の

参考やモチベーションに変えさせて戴きますので


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

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