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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
四章:夏の終わり

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想像を絶する そのスペック

 立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。


 そんな花たちの形容も……ひょっとすれば、そつなく当てはめる事も可能な。


 儚げで清楚を絵に描いたような、見目を備える女子だったことを――俺は、今更ながらに思い出していた。


 それを躊躇いも無くぶち壊す、奇行さえなければ……。


 付き合いの長い澪の弁によるなら、よくもまぁ……自分と言う素材を、ああも惜しげも無く台無しにできるものといった、残念さな訳だけれど。


 ――ともあれ。


 俺の計らいに腹を立てて退室しようとしていた3年連中は。


 その女子に対する甚だ脆弱な耐性が仇となって……。


 普段のイオナを知る俺からすれば――


「どこからその気色の悪い声を出しているんだ?」


 と訊ねたくなるような……そんな作りに作った、テクスチャー過剰な


「……ところで、ひょっとしてお帰りに……なられる……ところだったん……ですか? ええ~ッ?! わたし……みんなと一緒にマリカしたり、スマブラしたり、スプラしたり……チューベット(……もう無いんだよ)食べながら、宿題片付けたかったのにィ!」


 猫を被った上での……雑な袖引きにコロっと絆されて。


「ちッ……女って奴は、これだからよォ!」


 俺の申し出の時とは、打って変わって――雲泥の差で態度を軟化させて。


 ……渋々、うきうきと。


 また部屋の中へと戻って、好き好きに自分の座る場所を確保し直すと――彼女の音頭に従って、戯れ始めたのだった。


(……根性ってなんだ?)



 * * *



「掛け算! 九九……始めッ!」


 イオナの化けの皮は、10分も持たなかった。


 けれども3年連中は、ささやか過ぎる悪態を吐きながらではあったものの――これに関しては、無限とも言えそうな懐の広さで受け入れてみせ。


 気が付いてみれば、連中のためのお勉強会は……何故だか成立する運びとなった。


 所々、間違えたままの九九を……勢いで誤魔化し誤魔化し、口にする3年連中を睥睨(へいげい)するようにステージから。


 ご主人のザラメ氏と一緒に監督するイオナ。


 この……暇さえあれば、引き篭もって絵を描きたがる奴が……一体、どういう風の吹き回しで、このお勉強会の場に入り浸る気になったのかは、杳として知れなかったけれど――


 兎にも角にも、当初の目論見通り。


 連中の目も当てられない成績をなんとかしようという、この集まりは成立。


「や、やって……、――、……られるかァ!」


 ――かと思えば忍耐を切らせた ひとりが、床で大の字になって九九を放り投げた。


(……しょ、小学校で習う内容だぞ?)


 とは言っても。


 こいつらのデキの悪さは、筆舌に尽くしがたいものがあっただけに。


 (つまづいて)いて投げに入る展開と言うのも、想像はついていた展開な訳だけど……。


 この場を設けるにあたって、まず俺は――こいつらのスペックを明らかにするべく、軽いテストめいたものを行った。


 すると、その結果は驚くべきもので――


 まず九九を始めとして四則計算が壊滅的にできない。


 繰り上がり、繰り下がりでもあろうものなら確実にできない。


 百分率は「ゼロは無ぇ」「100パーはぜってぇ!」と、これだけは……概念的に理解できている……かの様。


 次いで英語に至っては、アルファベットが書けない。


 比喩などでは無く、本当に書けない。


 aとdの違いが分からないというなら……百万歩譲ってまだ……と、いったところだけど。


 aとbの違いも分からない。


 こいつらに合わせたつもりで出した「自分の名前を英語で書いて下さい」という設問に対しては、

〝アイ・エイム・デス・オレ〟


 一体、何語なんだ! と頭を抱えそうになるカタカナが書き殴られる始末。


 書いた本人の顔を窺ってみれば……その自信(みなぎ)る目の輝きに――なんだかスペインかポルトガル辺りに存在する言葉の様な……錯覚すら覚えないでもない。


 けれど悲しいかな……求めたものは英語の解答。


 そして、まさかまさかと思いながら……ひらがなで50音を書かせてみたところ。


 今度は『あ』と『お』の違いが分からない。


 『ぬ』と『め』の違いも分からない。


 そもそも50音ってなんだ? と、その並びすらも知らなかったという超展開が待ち受けていた。


「へ、でも社会は得意だぜ? 橘くんよォ。なんせ……この歳まで、社会の底辺を舐めてきたからな」


 ……もはや、ここまで来ればコイツらには……なにひとつ期待はできないと、諦めモードに入った俺を責める狭量な方はおられまい。


 色々と用法を間違えている、良く分からない強気な発言を耳にして――物は試しにと、適当と思える問題を出してやれば。


「……八代将軍で……目安箱などの善政を行い名君と言われた人物は?」


「お……おおォ! 知ってる! 知ってる知ってる!? ……と、と、と、徳田……徳田新之助だらァ!」


(……誰、それ)


 初めて聞く名前に、確認のために検索してみれば――、一昔前に放送が終了したらしい時代劇の主人公……徳川吉宗が世を忍ぶ際に用いた仮の名前。


(こ、これは……もういっそ……正解とすべきな気すら……する)


「信長を討った光秀が……秀吉に討たれるまでの短い期間で終わった天下の事をなんという?」


「三日坊主」


「縄文時代の生活はどんなものだったか」


「マンモス殺してた……そんで牙を積み上げて、太陽に届く塔を作ろうとしてた」


(……牙? 塔? なにそれ)


「……なぁ化学。俺の好きな化学の問題出していいか?」


「こォいやァーーーー!!」

いつもブクマ有難うございます。


宜しければ、お読み下さった御感想や「いいね」


その他ブックマークや、このあとがきの下の方に

あります☆でのポイント


それらで御評価等戴けますと、それをもとに今後の

参考やモチベーションに変えさせて戴きますので


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

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