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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
一章:処女搾乳

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来栖さん……あんまり、あいつに迷惑かけないで?

 拾い上げて重さを確かめると、知能の程度も知れそうな髪色のそいつの――横っ面をフルスイングして、夢の世界へと旅立たせる。


 手の平から手首に這い上がってくる、じーんとした痺れ。


 手に馴染まない それを足元に放り捨てると、乾いた音が、夜の空気の中に吸い込まれて消えた。


 身体の数ヵ所を破片でを切って――血を流して、しゃがみ込んで震える来栖に顔を向けると、怯えた声。


 傍らで放心したまま、失禁してへたり込む……以下、同へと歩み寄ると


 来栖たちにしてみれば、参加するまでは……愉しいイベントだったのかも知れない、今夜の集会。


 そこで起こった想像もしていなかった事態の後で、姿を現した……正体不明の人物であるところの俺に、ただならない気配でも感じたのか、


 お姫様方は、うさぎの様に身体を震わせていた。



 * * *



「てめぇかぁ?! こんな真似し腐りやがったのは!!」


 破片の散布界に巻き込まれながらも、軽傷で済むと言う事は、稀に起こり得る事らしい。


 今日のネット動画にある様な、街一面に衝撃波のモヤを這わせて、キノコ雲が上がるような――この世の終わりを感じさせる爆発の中でさえ、死者は200人も行かなかったりする事実を考えれば、予想もできていた事態。


 こちらが用意した得物の出来を考えれば、ただ単に……推して知るべしと言ったところになるのだろう。


 お姫様方同様に――身体のアチコチに傷を負った、先程殴り合いを演じていたデカいのが、突然タックルみたいな勢いで組み付いて来たかと思えば


 そのまま12時を周って明かりの消えた街灯に、俺を押し付ける様にして


 襟首を取って両腕で吊り上げた。


 男子の平均身長をやっと満たす、俺の背丈の24~25センチは、上回る背丈に……体重に至っては20キロ以上は重たいに違いない。


 怒りから、カニみたいに泡でも噴き始めそうな勢いで、デカいのが熱を噴く。


「どこの誰だか知らねぇけど……タダで済むと思うんじゃねぇぞ。ひょろガリぃ……俺の車に括りつけて……ゼロヨン祭りに参加させてやっからな……」


 ギリギリと襟首を締め上げながら……恫喝にしてはしまらない内容を、わざわざ御丁寧に告知して下さる――アホ。


 俺は、静かにパーカーの前ポケットに手を差し入れると、握りを掴んで


 

 目の前のデカい奴に、そのまま そっと押し当てると――スイッチを入れた。



 * * *



 ぱん


 車のバースト音にも似た乾いた音と、昏さに慣れた目に緑の残光。


 デカいのが顔に火傷をこさえて、地面の上で のたうちまわる。


 急に手放されたお陰で尻餅を付く形で、地面に放り捨てられた俺は、ゆっくりと立ち上がると――左肘に手を添えて、ぐるぐると先をまわし、痛めた箇所の調子を確かめた。


 どうやら火薬を奮発し過ぎたらしい。


「て、てめぇ……なにしやがった……なにしやがったんあ」


 涙を流して顔を押さえ、まわらない呂律で こちらへ なにかを問うデカいの。


「――日本語か英語で話してくれ。なにを言ってるのか、聞き取れない」


 パーカーの前ポケットのもう片方に入れておいた、残りひとつのモンロー・ナックルを手に取ると、這う這うの体で後ずさる――目の前の奴の腹に押し当て、スイッチを入れる。


 電池ボックスの単三電池から供給された電気が、ガラスを割って剥き出した、豆電球のフィラメントを燃焼させて、火薬に引火。


 再び、乾いた音が鳴ったと同時に――デカいのは動かなくなった。



 * * *



 来栖に一言告げて、その場を後にすると、


 来る途中の草むらに隠しておいた、替えの服に着替えて――顔を隠すために身につけていたマスクから、100均のゴーグル、軍手までを含めて 河口の洲の上でジッポ・ライターのオイルをまわし掛けして、火を点けた。


 みるみる火が、大きくなって石油製品が燃える黒い煙が上がる。


 手首の時計を確かめてみれば……あと2時間もすれば、潮も満ちる時刻。


 押し寄せてくる海の水に火は消えて、燃えサシの類は海に運ばれる。


 これで跡は残さず、隠ぺいできる……とは、安易に思いもしないけれど。


 とりあえずは……ひとまずは、これで充分。


 人気の無い時刻のこんな場所とはいえ、火を目にして俺に気付く人が居ないとも限らない。


 長居する理由もナシ。


 その場を離れると、俺は次の目的地へと向かう事にした。



 * * *



 一階の窓ガラスのバーナーで炙った箇所に、オイルのスプレーを噴くと、小さな音を立てて蜘蛛の巣状にヒビが走った。


 ヒビの入った箇所にドライバーを当てて、掛けられた鍵の摘まみを押すと、大した音も無く窓の解錠に成功。


 カーテンを静かに捲ると、そこはリビング。


 足音を忍ばせて、踏み入り……寝室は二階だろうかと、階段を昇ると――閉じられていないドアの隙間から、淫らに喘ぐ女の声。


 静かに、そちらへと近づいて……そっと中の様子を窺えば


 中ではクラスの担任と、校内で女子にチヤホヤと、もてはやされる隣のクラスの男子が、情事を一戦交えて、微睡んで――


 空いた小腹に目を醒まして、そのまま――お取込みを再開した


 ……と、言ったところだったらしい。


 校内で密かに噂されていた ふたりが情熱的に絡み合う、その様子をしばらく動画で撮影すると、


 俺は静かに その場を後にした。

いつもブクマ有難うございます。


宜しければ、お読み下さった御感想や「いいね」


その他ブックマークや、このあとがきの下の方に

あります☆でのポイント


それらで御評価等戴けますと、それをもとに今後の

参考やモチベーションに変えさせて戴きますので


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

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