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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
三章:モラトリアム

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フー・マンチューの朝

「し、信じられないネ……こ、この坊や……あ、悪形式(あくぎょうしき)まで身につけおったネ」



 柊先輩の店の奥まった場所にある専用駐車場で、顎を伝う汗を拭っていると……ここ最近、俺の先生となって下さった――厨房の皆さんが愉し気な悲鳴。


「陳さん、賭けはワタシの勝ちネ。坊やなら……やれる思たヨー。麻雀の勝ち分の千円、チャラにして貰うネ」


「……ア、アイヤアァ……ワタシノ、ワタシノ今日の煙草代、坊やのせいで吹っ飛んだネ……なんて……ロクでもない生徒か……恩を仇で返されるとは――まさに この事ネ」


 そんなこと微塵も思ってもいないくせして口にされた――コミカルな泣き言に


 暇つぶしに顔を出してきた先生方が、どっと笑う。


 存分に皆さんからの賞賛にも似た笑いを集めて満足したのか、先生がこちらを向く。



「……本当だったら、ワタシたちの武術(ウーシュウ)というものはネ? 〝子〟が師を選ぶのでは無く、師が〝子〟を選ぶのヨ。伝える人間と……伝えられる人間の――相性に性格、生まれ育った家庭環境、年代まで考えて――


「長~い時間をかけて伝えるものなのネ。そうでないと風格? 拳……風? 日本語ムズカシイ……坊や、頭イイんだから自分で調べるネ



 例えるならダンサーや、音楽を志す人間でいうなら……楽曲の楽譜を遮二無二追うだけでは成立しないのが、武術だと……仰りたいのか。


 口から出てこない御様子の――お世辞にも上手とは言えない日本語に閉口して、先生が眉間に皺を寄せる。



「とにかく、そうでないと……そう言うものを正しく伝える事ができないし、伝承の過程で生まれた小さな小さな違いは、少しずつ積み重なって――


「何百年も経たない内に、伝えるべき事そのものが、消えてしまう……だからワタシたちの先祖は、ものすご~く……神経衰弱になって――」


「神経質です 陳先生」


「……うるさいヨ、坊や。あぁ……なにをワタシ、言おうとしたカ。オ前が話の腰揉んだから忘れちゃたヨ! そうそう、そうだった……そうだったネ


「そんな訳でネ、坊やみたいに形と動き――これについては、見ただけで覚えてしまう様な賢い生徒も、たまにはいるヨ


「でも、悪行式……これを見ただけで完璧にやってみせるテ、坊や……オ前、一体どういう脳ミソと目ん玉してるカ? 気色悪いヨ……ワタシがコレ、どれだけ苦労して身に付けたと思ってるネ」



 どうと聞かれても、昔からいつも――


 強く関心を示した……もしくは、必要性を認めた事柄に、限られはしたものの


 それらは、それなりに自分のモノにすることができたと……以外、言いようもなかった。


 先生からの言葉に……なんと返せば良いのかも正直なところ――分からずに、どう説明したものかと、悩んでみれば。



「見ただけでモリモリ武術を吸収する……この坊や見てるの愉しくなって、調子に乗って……見せてしまった陳さんが、ぜぇ~んぶ! 悪いネ」


「ワタシか?! ワタシが悪いカっ!?」



 先生の一人が笑って、そんな風に助け舟を出して下さった。



「この坊や、身体が育ち切って無いから、硬功夫(インゴンフー)ダメ。スタミナも無い。あと身体も、もっと柔らかい方が良い。でもそこは、ワタシたちが餌やりながら鍛えると面白い思うネ」



「ホントよ。日本に来て面白いオモチャ、ワタシたち見つけたネ。愉しみで仕方無いヨ。ワタシの器戒(きかい)全部を教え込むネ。最高の暇潰しヨ」



「やめるネ。坊やを悪の道に引き摺り込む良くないヨ不良中国人。若者は慎み深く礼儀を持って正道を歩くのが努めヨ。まずは学業を成させ、次に手には職を……武術は、それから。護るお宝も無いのに蔵ばかり立派に造って、どうしますか?」



「お宝は……坊や若いし、それだけで充分思うヨ。羨ましいくらい思う。学業も就職も……この坊やに関しては、ワタシたちが心配する必要も無いですネ。……でも、後の問題は気功(チークン)ヨ。ワタシたちの文化に根差した……寓話で抽象的に伝えられる概念――


「アイヤ……煙草無いネ。ちょっと1本クレよ貴方――謝謝」


「……日本人の この坊やが、池がどうの炉がどうのと……理解できるかが大問題ネ。絶対に龙珠(ドラゴンボールだよ)みたいなものだと思う違いないネ。あんなふうに(りき)んでも屁しか……でないヨ」



「それよりも、なによりも……この坊やの素晴らしいところは、思い切りの良さネ。普通、経験の無い人間に、対手(ついしゅ)散打(さんだ)やらせたら、相手の前で縮こまる思うヨ。でも、この子……全然それが無い。打って来いって言ったら、迷いもなく打ってくる」


「〝子〟を褒めるものじゃないネ」


「――ついうっかりネ。許すヨ。でも貴方、今まで……こんな坊や見たことありますカ? 套路(とうろ)にしても……動いている最中とか、絶対なにも考えていないの分かりますネ。これが本当に凄いヨ。普通は、次は次に次して……って、ひとつひとつ考えてしまうものネ。始めたばかりで完全に無意識に動ける……凄くないカ?」



「貴方たち……ワタシたちが、この坊やに武術教える様になって まだ、一週間くらいヨ?

気が早すぎないカ?」

いつもブクマ有難うございます。


主人公が求めた、パルクルールを

どう体得させるかは悩んだんですけど……


そのままパルクールを身に着けさせるには

あまりにもまだ、一般的ではないし


代案としてプロレスのルチャ

をと考えてみましたところ


こちらも一般的ではないのは同じですが

知名度と、市民権は……まだ、なんとか(苦しい)


けれどルチャは、拙作【おっぱいバカ】で

得意とするキャラを もう出しちゃった後でしたので


ボツにしました(´Д⊂ヽ


それで行き着いたアイディアが、時計塔から

落下するジャッキーだったというね。


凡な頭で、スマヌ……スマヌ……


もし宜しければ お読み下さった御感想や


その他にもブックマークや、このあとがきの

下の方にあります☆でのポイントに代えて、


御評価戴けますと、それを元に今後の参考や

モチベーションに変えさせて戴きますので、


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

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