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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
三章:モラトリアム

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ヘリテージ ~Heritage~

 俺の言葉が終わるや否や、わっと歓声を上げて輪を狭める同好会の女子たち。


 バーゲンセールに殺到する女性に押し出されるみたいなノリで、輪の外に追いやられた俺は――


 用事も済んだことから お暇することにした。


「あ! あの! た、橘くん!」


 声には少々、緊張した響き。


「こ、このミシンたちを提供して頂けるのは、物凄く……有難いんですけれど……うちの学校は、古い足踏みミシンが――今も現役なくらいでしたし……そ、その」


 歯切れの悪い言葉に、首を傾げそうになり耳を傾ける。


「コンピュータ・ミシンって、一台……100万円前後は……するものなんですよ? それを4台も……それに、皮革用の業務用ミシンに……多分ご存じ無かったんでしょうけど……シューズ用ミシンまで――」


 言葉を選び選びと言った様子で……他の女子が、すっかり失念していたのだろう点についてを


 ――しっかりと、呈してきた。


 その言葉に皆が一気に静まり返る。


「……ひょっとして、修理……代金の事について聞いてるのか?」


 俺の一言に、何人かが顔を青褪めさせた。


 きっと雀の涙程度の活動費では賄えないと思ったのだろう。



「――別にいいよ〝お友達〟なんだろ? この間は結局、制服の仕立て直しの代金も受け取って貰えなかったし。その代わりだとでも思って……貰ってくれ。


「でも……そうだな。もし、どうしても……って言うなら――


「3年の()()()()()にジュースでも1本ずつ、差し入れてやってくれるか?  


「ここまで そのミシンを運んで、校舎に入れてくれたのは、あの人たちだし


「あぁ……あと、忘れてた


「提供元が、俺ってのは……くれぐれも学校の方には内緒にしておいてくれ。なんだか面倒な気もするし……その……困る」



 こちらの費やした言葉の内容が、取るに足らない程度のものと知れた途端、


 表情を明るくする、現金な他の女子たちの様には考えられないのか――


 一ノ瀬さんが、なおも逡巡を浮かべる。


「――なかなか愉しかったぞ? それの修理。メーカーだけに留まらず、年式毎に異なる機構。普段目にしない仕組みと構造のオンパレードで、久しぶりにワクワクできた。そんな訳でだな。直ってしまったそれらは、俺からすれば……もう、なんの価値も無い代物でしかないんだ。要らないって言うなら……お手間を取らせて申し訳なく思うけど、棄ててくれ」


 俺と一ノ瀬さんの顔を見比べ、そわそわした表情で展開を見守る――同好会の女子たち。


 そんな彼女たちの表情に……一ノ瀬さんは、困ったかの 柔らかな笑顔をひとつ浮かべると


「そういう事でしたら……有難く使わせて頂きます。代々、この同好会が引き継ぐ備品として。勿論、学校の方には……この場の全員で内緒にして」


 漸く、この頑固極まる女子は根負けして――


 俺からの心尽くしを受け取ってくれた。



 * * *



〝おはよッ! ん? ん? んー? 今朝も朝早くから励んでおるのかね 少年んー♪〟


 柊先輩との校舎内での追いかけっこから……何故か頭の片隅にこびり付いて離れなくなった、自身のフィジカルの貧相さに対する……、――コンプレックス?


 いや、そこまではいかない。


 けれども、認識してしまった脆弱さに対しては考えるものもあって……これをどうにかしようと、一念発起して始めた日課の途中。


 息を()いての走り込みの中で、徹夜明けとしか思えないテンションの


 イオナからのウザ絡みを受ける羽目になってしまっていた。


〝……後で……いいか……〟


 Blue tooth(ブルー・トゥース)越しに息も整わない中でのやりとり。


 手首のスマートウォッチで確認しても――自身に課したノルマの……まだ半分にも達してはいない。


 このまま……こいつの無駄話に付き合わされても、ペースを乱されるだけなのが目に見えてる。


 できれば話もそこそこに切り上げたかったものの、話し相手にでも飢えているのか


 こいつは――それを許してはくれなかった。



〝く、くらんどくん……もそっと、もそっとだけ……そのハァハァを聞かせては貰えんかね……わ、わたしイイ子にしてるから。イイ子にしてるから! 男子の生ハァハァ……(たぎ)るッ! (はかど)るっ! おおぉぉお……なんだか下っ腹の辺りが、きゅんきゅんくるぞぉ!?〟


〝好きにしろ〟


〝あ、あと……で、できたら……できたら……なんだけどね? その息遣いのまま「い、イオナおねーちゃあぁん! そ、そんなのダメだよぉう! こ、こんなことイケないよぉう!」って、言っては貰えない……かな? ……そうしたら……そうしたら……助かりますよってに!〟


〝なにを言ってんだ……、――お前。……良いから、もうさっさと……寝ろって……〟



 考えられる後々の面倒臭さは、頭も痛いものの――


 俺は煩わしさからハンズフリーを切ると、残りのノルマを消化しつつ――ここ最近、毎朝足を運ぶようになった目的地へと急ぐことにした。

いつもブクマ有難うございます。


……はい。ここから暫く、吐き気を催す

主人公ヨイショ回。


ゲロ袋の準備は、皆さんお済みですか?


もし宜しければ お読み下さった御感想や


その他にもブックマークや、このあとがきの

下の方にあります☆でのポイントに代えて、


御評価戴けますと、それを元に今後の参考や

モチベーションに変えさせて戴きますので、


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

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