表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
三章:モラトリアム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/216

祭り後の寂しさにも似て

「待て澪。トラクターを使ったってコンクリートや、アスファルトは耕せないぞ。お前は俺の頭をなんだと思ってんだ。あと柊先輩の話には、色々と注釈が要る。供述と反証の時間を設けさせてくれ


「あと、仮に……これは、あくまでも仮の話だ……いいか? もし俺が、この店を継がせて貰う事になったりしたなら――即日閉店間違い無しだぞ。全然、おめでたくはないぞ」



「くく……くーちゃ……ん」


「千影、頼む……頼むから俺の言い分を聞いてくれ。泣き出しそうな顔をするんじゃない。さっきまでの御機嫌なお顔はどこに行った? 一ノ瀬さん……汚物を見るみたいな……そんな目で俺を見ないでくれ。普通に堪える」


「……たち……ばな……くん。私、そんな橘くんでも……大事な友達だから、あ、あ、あ……そうだ♪ 良かったら制服……また少しの間、預けてくれない……かな。暫く夏服だし良いよね? なんだか橘くん、その内……女子に刺されたりしそうだし――園芸部のみんなの……手袋を縫うために買った……アラミドの生地と、糸が……まだ沢山残ってるから。制服の内側に4層くらいインサートして、縫って……あげ……る」


「さ、刺されるのか俺? そ、それは……か、確定事項として……そうなるのか? いや、アラミドって、そこまで刺したり突いたりとかに強かったっけ? それは良いとして、色々と……なんでだ??」


「げひゃひゃひゃひゃ♪ 橘きゅぅん♡ 大変だねぇ♬ おねーちゃんはキミを応援してるからねぇ?」


「……恨みますよ柊先輩。今度、ちょっとまた……お時間戴いてもイイですかね……」


「え~? いや、イイよぉ……まぁたアレだべ? 人気の無いとこに あたし呼び出して、あわよくばエロい事しちまおうとか考えてんだろ? いやぁ~流石にねぇ? 悪ぃけど無しで、無し無し♬ ワリぃねぇ~♪ あたしさぁ? 見た目ほど軽い女子でもなければ、わりと身持ちは固ぇ方なんだわ♡」


「……どうしよう澪、 わたし このヤンキー入ってる先輩さん……好きかも知れない。柊……律子さんって言ったけ? いよっし、覚えたわ」


「んぉ? 珍しい事もあるもんだね。そりゃ」



 * * *



 せめて千影と一ノ瀬さんの誤解だけは解かねばと悪戦苦闘を繰り返し――たっぷり閉店間際まで、居座り続け


「橘ァ! 代金はまけてやっから! またその内、お前の奢りでメシ食おうぜ!」


 ひどく……ご機嫌な先輩に、店の外まで見送られて御披楽喜(おひらき)の運びと相成った。


 澪と、イオナと別れ


 途中まで帰る方向が同じの一ノ瀬さんと、無くなったバスの代わりに捕まえたタクシーに相乗りして――彼女を下ろした後。


 千影とふたり、家に帰りついて


「……疲れた……な……どーして、あーも……他人様を弄るのが……好きな奴らばかり、俺たちに寄り付いて来るんだ……」


 ()ちてみれば、袖を抓む千影の手。


「どうした?」


 その意図するところも、様子もなにも……なにひとつ酌めずに訊ねると――


「くーちゃん……今日は……もう少し、もう少しだけ……一緒に お話してたい……」


 ぽつり ぽつりと……そんな調子で、千影が我儘を口にした。



 * * *



 家に寄り付きもしない――俺たち互いの両親。


 もうだいぶ前から、俺と千影の匂いしかしなくなった家の中で


 装置を見て回って、時間を潰していると


 風呂に湯を張りに向かった この家の一人娘が一仕事を終えて


 その事を伝えに戻って来た。


 いつも通りの入浴の順番。


 こいつが湯が汚れることを気にし始めたのは、いつからの事だったか。


 勝手知ったる家の風呂で


 ひとり 湯に浸かっていると


 浴室と脱衣所を隔てるガラスの向こうに、千影のシルエット。


 持ってきてくれた、俺のパジャマを置いて


「久しぶりに……一緒にお風呂入っちゃおうかなぁ」


 なんだか浮かれっ放しの千影の声。


 この引っ込み思案で 人一倍の恥ずかしがり屋のこいつが――2年ぶりに、一緒に入浴しようかと口にしたけれど


 そんな真似、千影にできるハズも無し。


「入れば良いんじゃないか?」


 他愛の無い幼馴染の戯言に――なんとはなしに……そんな風に返して。


 浴槽で顔を洗うと、湯から上がって髪を洗う事にした。


 我が家では父親らしい存在の気配も、希薄だった事もあって


 ――いつからか愛用するようになった千影の親父さんの……置かれっ放しになっていたシャンプー。


 髪を濡らしてトニックの利いた それを手に取ると、硬く目を瞑って地肌を洗う。



「痒いところはありますかぁ♪」



 唐突に言葉尻の弾むような声が浴室に反響した。


 そして頭皮に感じた……細い、千影の指の感触に


 俺は……唯々、唖然。


 

 * * *



 シャワーで髪を濡らしている最中に、入ってきていたに違いない、この考え無し。


 ――完全に安心しきって、ドアを開ける音にすら……俺は、気づきもしなかった。


「なに考えてんだよ……おまえ」


 呆れた声のひとつを俺が上げたとて――誰からも非難される事は無いに違いない。


 こちらはタオルひとつ、巻いてもいないと言うのに……こいつは、背後に立つなり


 そのまま愉しそうに俺の髪を洗い始めた。

いつもブクマ有難うございます。


千影、差しに入った! 差しに入ったァ!

独走ストレートです! 他を寄せ付けません!!

(黙れ)


……もし、宜しければ(´Д⊂ヽ


お読み下さった御感想や


その他にもブックマークや、このあとがきの

下の方にあります☆でのポイントに代えて、


御評価戴けますと、それを元に今後の参考や

モチベーションに変えさせて戴きますので、


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ