放課後ストリーキング
「ありゃあ、イイしのぎに……なるんだろうなァ
「カマトトかと思やァ、マジもんみてぇだったし
「……どこのヒヒ爺ぃに売りつけるのかは知らねェけどよぉ?
「けどまァ……分かってるよ
「管理売春って奴な訳だ――
「しのぎを邪魔されたってんで、ムカッ腹立てて
「――あたしを呼び出したんだよな……
「こっちは、もう……わりと腹ァ括ってんだわ」
(……ん?)
* * *
目の前の彼女の言葉に、ここまでの流れとの……若干の齟齬を感じて
顔をあげてみれば――彼女は、おもむろに制服の上を
気っ風の良い脱ぎっぷりで、足元に叩きつけてみせた。
「……え? ……、――は??」
――固まる俺を他所に今度は、サイド・ジッパーを勢い良く下ろすと、すとんとスカートを足元に落とす彼女。
……点とした目を向けて、その様子を見守り
頭の中で必死になって……現在の状況の把握に こちらが努めていると
「白々しいんだよ……あたしも……まァ、ただじゃ……済まねェ訳だよな?」
恥ずかしそうに頬を――微かに朱に染めて
予想外過ぎる白のランジェリーの上下を腕で隠して、視線を泳がす……先輩。
「は? ……あ、あの? っちょ? ちょっと?」
戸惑いを隠しきれずに、思わず上げた俺の声に
「あ~あ~あ~ッ!? ……言い果さんでも結構。取り繕おうとせんでイイって! ジレってェ! こっちとら、こう見えて処女なんだよ! それでも腹ぁキメてきたんだから、ケジメつけろってんなら……ひとおもいにスパーん! と犯れよ! スパーんってよォ?! オオん!?」
こちらの煮え切れない空気か――それともこれから……彼女をどう辱めて弄んでやろうか……という陰湿さでも思い描くのか、声を荒立てる彼女。
「……あ、あの……せ、先輩?」
「この期に及んで、パイセンとか……そりゃあ……なんなのよ? あんたが……用があんのは――」
状況の激変を察して、必死に軌道修正を計ろうと考えた俺だったけれど、遅かった。
慣れないシチュエーションの処理に機能を停止した俺の頭が、答えを導き出すよりも早く。
「あたしの此処だけだろがァ!!」
こちらの手首をむんずと捉えた彼女は……自らの純白のパンツに――俺の手を突っ込ませた。
* * *
「ん゛の゛ォ゛あ゛あ゛あ゛ァ゛あ゛あ゛ぁッ!?」
手に生々しい仄かな温かさが伝わると同時に、
みっともなく取り乱して張り上げた……俺の声は――
放課後の校内中に響き渡ったに違いなかった。
……恐らく、多分。
「ばッ!? バカ野郎! デカい声出すんじゃないよ! 人が来ち……ま、まさか……人が見てる前であたしを嬲ろうって……か、その場に来た野郎ども交えて……代わる代わる……、――先公が来ようと関係ねぇって……手回しは済んでるから……諦めろって――そういう……こと……なん……か?」
こちらが、なにかを言おうとしても――それを片っ端から
次から次に……あらぬ方へと解釈するブラックボックス式思考回路の彼女に背を向けて、階段を駆け下りたのは、それから直ぐのこと。
「……は?」
逃げる俺の背中に投げかけられる疑問符。
「ふっざけんじゃねェぞ! ゴルァ! あたしじゃ商品にゃならねェってかァ! 待っちやァがれぇい!」
そして怒声の後に続くのは……背後から猛追してくる足音。
「……!、――!?、……?!」
恐らくは下着姿のまま――追いかけてきているに違いない、彼女を校内で撒くべく
あちらこちらを駆けずり回る中――先程、手で触れた感触に……混乱したままの俺の頭は。
(ぱ、ぱ、ぱ……パルクールッ! パルクールが要るッ!)
これまでの俺の人生を考えれば、突飛極まる そんな事を
ぐるぐる ぐるぐると考えていた。
* * *
「ツムギーに唾つけたのは、わたしなのに……」
「なに言ってんの……紬のお役に立ったのは蔵人と千影で、あんたと私はタクシーの中で、うんうん唸ってただけじゃん」
「うんうん唸る原因作ったのは蔵人の不味メシでしょうがよー……って、思い出したらまた……気持ち悪くなってきた」
「……珍しく気が合うじゃない……私も、今気持ち悪くなってきたところだわ」
ぼやくイオナを宥めると云うよりも――呆れた口調で投げやりに諭す、ふたりのやりとりを耳にしながら、傍らで一ノ瀬さんが困ったかの笑顔を浮かべる。
この街の中華料理店としては、大きな部類に入る店の――、一番奥の個室。
そこに予約を取って、皆で集まった本日の趣旨というものは
気晴らしを兼ねて……と言う名目の他愛のないものだった訳だが――予約しておいた美容院に行くから遅れると、連絡のあった
千影を除いた俺たち4人と、そしてプラス……1での会食の開始を待つ間、だらだらと俺たちは、無駄話に華を咲かせていた。
「それは そうと一ノ瀬さん。こんな手間を割いて貰って申し訳無いし……気兼ねなく適当に、手間賃なりとも……請求して頂けると、有難いんだけど……」
彼女に頼んだ仕事に対する、心苦しさから発した俺の言葉に――慌てふためく彼女。
「橘くんたちが居なかったら……私、とんでもない事になってたし……お礼だと思って貰えると」
いつもブクマ有難うございます。
酸素が足りていないせいか……一度寝ちゃうと
もうホント死んだみたいな深さの眠りに
ついちゃうんですけれど、後で起きれたら
ちょっとまた病院行ってきます。
(´Д⊂ヽ
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