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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
二章:アウトサイダー

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刃の糸 【Picture】

 明らかにオンロード・バイクに不向きな林道を駆け登る。


 積もった杉の葉にタイヤを取られるたびに、ひやりとさせられた場面はあったものの、千影が操縦を誤るような事は無かった。


 いつにメンテナンスされたのかもわからない、申し訳程度に舗装された林道から、剥がれた小石がカウルに飛んだ音も何度も聞いた。


 こいつらしくもない蛮勇ではあったけれども……お陰で、一ノ瀬さんを乗せたバンを示すマーカーに直ぐに追い着いて――目的地に到着。


 マーカーの少し手前で、千影にバイクを停めさせて待機させると、俺はゆっくりと車に近づく事にした。


 林道のわずかな離合スペースに寄せられた、車内で格闘する彼女の――窮地を告げる車のサスの浮き沈みが……勘の良いことに、俺の接近に気づいたのか静かに鳴りを潜める。


 ――中から明らかに……福祉にも、飲食業にも携わっている様には見えない輩が2人、ベルトのバックルを弄りながら顔を見せた。


「すいませぇん! ……わっりいんだけどさぁ! ここ私有地なんだわぁ! 直ぐに出てってくんないと、けーさつ呼ばにゃいかんのだけどぉ!」


 警察なんて呼ばれた日には、困るのは自分たちだろうに。


 出てきた2人が、太々しい物言いで喚く。


「……あん? 人の話聞いてなかったんかよ? なんのつもりだよそりゃ……こっちとら地権者様だぞ! 地権者様ァ!」


 俺が、ゆっくりと両腕を持ち上げて かざしてみせると――男ふたりは、こちらに寄りながら不機嫌そうに ぶつくさ溢す。


 ――ほぼ同時に。


 設定した極小の指の動きを俺が行った瞬間。


 それを読み取った筋電位センサーが、装置の電子トリガーを引いた。


 ぱんッ!


 下腕部側面肘側にレイアウトした――元々は千影のライダー・スーツのエアバッグで使用される、炭酸ガスのボンベのバルブが解放されるや否や


 その小さなガスボンベと並行して取り付けた装置が、スピアガン(水中銃)の銛先を模した射出体を、2枚のウィング・バーブ(羽根状の返し)を開いて発射。


挿絵(By みてみん)


「お゛ぉう?!」


 目の前で突然、発射された〝なにか〟に驚いた声を上げて、腕で顔を庇おうとする男と、飛び退こうとする もう一人。


 その2人を逸れて飛んだラインを――手元の動きで操作すると、射出体は2人の周りを飛んで絡め取った。


「ひッ! い! 痛ッ!」


「な! なんだこれ! ふ、ふざけんじゃねぇぞ! テメぇ!! さっさと取れや、コレぇ!」


 手元のラインを引いて括りあげた途端、2人が怒声を張り上げる。


 凧揚げという文化が存在する国であれば、わりと世界中に普遍的に存在する……喧嘩凧という風習。


 最近では相手の糸を切断するため、糸にグラスファイバー粉末を塗布する事も〝ままある〟のだとか。


 そのお遊びの場において、風に煽られ――操作を失った凧が観客席に飛び込んでしまい、観客の頸動脈を切断する死亡事故や、不慣れな遊戯者の指を切断してしまうなどの、鋭利な切れ味を付与された事による事故も後を絶たないと聞く。


 季節がらの薄手のアウターとはいえ、括りあげた男ふたりを……着衣の上からでも出血させる切れ味を見る限り、話は本当の事なのだろう。


 とはいえ――本来の凧糸であれば刃物を用いれば容易に切断する事も、可能ではあるし、ライターなんかで炙りさえすれば、焼き切る事も容易い。


 そんな訳で今、目の前の2人を括りあげるのに使ったラインは――


 グラスファイバー系繊維のスペクトラを使用した、釣り具メーカーの逸品をベースに加工した物。


 身動きするたびに、肉に糸を食い込ませて出血を繰り返す男2人と、引張強度に裏付けられた堅固な拘束を見る限り


 結局のところは、刃物やライターを用いれば簡単に切断可能なものでは有るにしても……中々の出来。


「てッめぇ! こういうの犯罪だぞ! 分かってんのかゴルァ! いてッ! さっさと解けやァ!!」


 次第に喧しくなる2人を黙らせるために感電グローブで糸を掴んで、電気を流した途端――男たちは悲鳴も上げる事無く、静かになった。


(グラスファイバーだけあって電気抵抗は、やっぱり低いみたいだな……細いから、ちょっと確信は持てなかったけど……側雷のガイドにでも、なったんだろうか? 少し、勉強してみよう)


「――ライン、パージ」


 Blue tooth(ブルー・トゥース)で指定したコマンドを呟くと、装置がラインをボビン(糸巻き)ごと脱落させた。


 袖を振って切り離したボビンを足元に捨てると、辺りに澄んだ金属音が響き渡る。


「…………」


 フルフェイスを被ったまま、ファミリー・バンへ顔を向けると、一ノ瀬さんの口を塞いで――こちらの様子を車内から見守っていた気配のひとつが、スモーク・ガラスの向こうで


 怯えた 小さな声を上げた。



 * * *



 もはや籠手としての(おもむき)すら湛える、下腕部の装置の集合体。


 感電グローブの通電端子も兼ねるカーボンのパンチカップで、車の横の窓を叩き割って――

いつもブクマ有難うございます。


病み上がりな上に、左胸の肋骨の

……多分、上から3~4番目の


骨の……真ん中の下(内側?)辺り


妙に鈍いナマクラな痛みと……ふいごが

破れてるみたいな感触が


呼吸のたびにボロっちく響きますが

気にしません(´Д⊂ヽ


目の下の晴れないクマは、新たに

私が手に入れた個性として


マッハ拳のこやしにでも致します所存!


もし宜しければ お読み下さった御感想や


その他にもブックマークや、このあとがきの

下の方にあります☆でのポイントに代えて、


御評価戴けますと、それを元に今後の参考や

モチベーションに変えさせて戴きますので、


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

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