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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
二章:アウトサイダー

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うばー

「ええ~ッ! なぁんでぇ! 流れ的に『これから一緒に綺麗な、おベベ道楽に励みましょうね♡』 ……って、ところじゃないのおぉぉぉッ?! いや正直、着て貰いたいのは千影ママの方だったりするんだけどぉ!」


 詳しくはないけれども、なんだかデスメタルめいたグロウルの効いた声で、既に化けの皮を被ることを諦めたらしいイオナが食い下がる。


「……、――、……ごめんなさい」


 それに対して忸怩たる……と言った、やるせなさを浮かべて


 イオナとの、今後の『おべべ道楽』とやらについての皮算用について――、一ノ瀬さんが首を縦に振ることは無かった。


「……う、うん。急すぎるよね、一ノ瀬さんにも ご都合ってものがあるだろうし……し、仕方ない仕方ない……ざ、残念だったね? イオナちゃん」


 そして何故か、ふたりのやりとりに対して思うところでもあるのか……突然、ぎこちなく、目を泳がせる千影の様子に、不自然なものを覚えはしたけれども。


「う~ん……わっかんないなぁ……一ノ瀬さん」


 イオナと一ノ瀬さんとのやり取りに、俺と同じく黙って成り行きを見守っていた――


 幼稚園の頃には、この傍迷惑な奴(イオナです)との付き合いが始まっていた……らしい。


 澪が声をあげた。



 * * *



「なんかさ? さっきまでの一ノ瀬さんの空気……的な? 感じからすると、このバカ(イオナです)の話じゃないけど『お友達になりましょ~♬ そんでもって一緒に、ちくちくちくちく……お裁縫の世界にうぇるかぁむ♪』ってな感じだったじゃん? なんでいきなり そこで『やっぱり、ごめんなさい』ってなんの? こいつ(イオナです)の事は、心……底ッ! どうでも良いし――」


「ねぇ……澪、あんた……わたしのこと嫌いだったん?」


 すかさず入れられたイオナからの問いを、澪はスルー。


「一応、言わせて貰うとだけど……今、この場にまともな奴は……残念なことに千影しかいないんだけど」


「……おい、ちょっと待て。俺まで、こんな奴と十把一絡げとか承服しかねるぞ」


 たまらず上げた俺からの声まで澪の奴は、これまたスルー。


「――いやまぁ……合う合わないはあるし? こんな奴らと一緒に群れられるか♪ って言うんなら、しゃーなしだけど……わりと こいつ等って、ちょっと見ないレベルの珍獣揃ってるから、つるんでて退屈はしないんじゃないんかなぁ~? って思うんよ」


「……珍獣」


「キ印入ってる蔵人と……同じレベル」


 澪の言葉にモノ申したいことは、それはもう……屋上の(へり)からグラウンドに向けて、大声で取り留めのない主張を行うかみたいに、ありはしたけれども。


 一ノ瀬さんとイオナとのやり取りを傍らで見聞きして――なにやらモヤっとした事柄に、口を挟みたくなったのか。


 胸に覚えたものの、正体を見定めようとするかのように


 噛んで含めるみたいに、澪が問いかける。


「あ! あの……ご、ごめんな……さい。そういう事ではなくて……」


 澪からの言葉に泡を食って狼狽えてみせた後で――、一ノ瀬さんは


 イオナの奴を含めた、俺たちとの関わりを持つことに難色を示した その理由に始まり


 今、自身が置かれている境遇についてを……ぽつりぽつりと語って聞かせてくれた。



 * * *



「……お、お……おおぉぉう……な、なんとゆー」


 彼女が話してくれた内容に……俺を除く


 その場の3人が抱いた感想は――理解不能な事に


 イオナが吐き出した その言葉に見事に合致しているかの様だった。


「ごめんなさい」


 自身の事情に皆が失望したとでも思ったのか、一ノ瀬さんが俯く。


「一ノ瀬さんが気にすることじゃあない。ご家庭の……その……借金のために、バイトを始めなくてはならないなんて言うなら――モラトリアム以外のなにものでもない学校生活なんかで、油を売って遊び惚けてる俺らよりも……よっぽど立派じゃないか。わりの良いバイトを紹介してくれたなんて……その叔父さんのためにも頑張らないとだな」


「……うん、ありがとう。(蔵人です)くん」


 俺からの言葉に、真昼の太陽も眩みそうな――清らかな笑顔を浮かべてみせる一ノ瀬さん。


 経営が傾いた ご実家の生計を助けるため、身を粉にして働くつもりだという


 彼女へ、手向けとして送った言葉だった訳……だったが。


「……ねぇ? 蔵人……一ノ瀬さん……あんたら それ……マジで言ってんの?」


 けれども、その一切の他意も無ければ、純粋に彼女への激励のために送った言葉と、その返された反応に――千影を筆頭に……澪もイオナも。


 目の前でのやりとりの様子を、信じられないモノを見るかのような目。


「ど……どうした?」



 * * *



「え?! え!? ……そ、そんな!


「で、デリバリー・ヘルスって


「……デイケア・サービスみたいな感じで


「ウバー……なんとか……みたいに――


「お年寄りや、お身体の不自由な方の


「お家をまわって……


「お弁当を届けたり、お料理とかをして差し上げる感じの……お仕事じゃ……ないん……です……か」



 顔を見合わせた澪とイオナからの丁寧に、丁寧を重ねた……詳細な説明に、声を震わせて慌てふためく一ノ瀬さん。

いつもブクマ有難うございます。


コロナで臥せっている間にも、頂戴しました

ポイント本当に有難い限りで

m(__)m


活動報告の方にも書かせていただきましたが

現状まだ、完治したとは言えない状況ですので


更新サイクルが乱れるかも知れません。


もし宜しければ お読み下さった御感想や


その他にもブックマークや、このあとがきの

下の方にあります☆でのポイントに代えて、


御評価戴けますと、それを元に今後の参考や

モチベーションに変えさせて戴きますので、


お手数では御座いますが、何卒宜しく

お願い申し上げます。

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