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処女搾乳  作者: ……くくく、えっ?
二章:アウトサイダー

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ナード・オブ・ザ・リング 【Picture】

「う、うん。前々から欲しかったから買ってしまった。無駄遣いを……お前に責められるのを誤魔化す意図は――無かったつもりではあるけど、言われてみれば……そう……なの……かも、知れん」


 目を泳がせてトーン・ダウンする俺に


「んん?」


 怪訝そうな視線を向ける澪が、こちらの手首を強引に取って、合服のシャツの袖を捲った。


「んお?! ゴ、ゴツ! クロムっぽい!? えっ? えっ?! ふつうに格好良くね??」


「レザーマン・トラッド。サード・パーティーでラウンド・タイプの林檎が併用可能になったモデル……を待っていたんだけど。いつまで待っても出なかったから、ガーミンのミルスペックの奴を買った。ベルト部分になってるブレスレットが、鋼材粉末を焼結成形して製造するって言う、大手のマルチツール・メーカーが威信をかけて世に送り出した代物だ。


挿絵(By みてみん)


「29種類の工具として使用可能なウェアラブル工具って奴で……9・11以降のアメリカの機内持ち込み基準も通過した優れモノで……だな。もう何年も前から……どーしても欲しかったんだコレ。俺の細い手首には、全部のピースが組み込めないのが残念だけど」


 意外にも、この武骨なデザインに好意的な声を上げてくれた、澪とイオナのふたりでは……あったけれども――


 それとは対照的に、ロクでも無い買い物に小言を連ねようか、どうしようかと……タイミングを見計らう様に、こちらに冷たい視線を投げかけてくる千影のプレッシャーに俺は堪りかねて


 視線から逃れる様に目を逸らして、紙袋の底から更に包みを取り出すと――その小さな箱を3人の前に並べて置いた。


「大盤振る舞いじゃん蔵人。まだ、なんかくれるの?」



  * * *



「くーちゃん! これはダメッ! 絶対にダメッ! これは、本当に最低な事なんだよ!」


 静かな佇まいを保ってきた千影が烈火の如く、怒りを顕わにして――この幼馴染にとって、最上の怒りのグレードを示す、仮称「ほっぺぷくぅ」を、幾度も幾度も憚る事無くみせる。


「な、なんでだ!? 構築する重要システムには、バックアップって言う存在が必須なんだぞ?!」


 どうした訳かの女子一同からの……想像もしなかった反応に翻弄される俺。


「……ま、まさか蔵人が、わたしたちを『うえッへへへへ……こいつら全員……今日から俺のハーレム要員なんや~』みたいな? 頭エロゲ―的思考の持ち主だったなんて……どうしよう。千影、澪。このクズっクズのクズっぷりに……穢れた魂の琴線びんびんびん震わされちゃうんだけど。あんたらの……正妻戦争に、わたしも加わってよい? にぎやかしで良いから」


「……おい、イオナ。なにを訳の分からん事を言ってる? 俺はただ……このスマート・リングをバックアップとして身に着けるようにしてくれって頼んだだけだろうが」


「それ! それが いけないんだよ! くーちゃん!」


「意味が分からん。別に、婚約指輪を出した訳でも無いだろうが。……あ、ま……まさか。このスマート・リングが――、……家畜の出荷管理をするためのタグを元に生み出されたっていう……ひょ、ひょっとして……そ、その来歴についてを腹を立てているのか? ……い、いやそれなら……ご立腹は……ご、御尤も。イオナの話もそこで噛み合うわけか……。配慮が足りなかった。いや、これは困った……どうしよう」


「か、か、か、家畜ッ! ……牛。ぉおお、薄い本的思考をナチュラルに垣間見せる……我らヲタの魂の原石! く、く、く……蔵人。わたしの旦那様のザラメくんを交えて……NTRドラマでも始めてみんかね? ほんのちょ~っと……ほんのちょ~っとだけ。先っちょ! 先っちょだけで良いから! なんなら今夜から わたしの部屋で、萌ゲーのマラソンでも始めよう。君には、素晴らしい素質と未来がある! ……一緒に堕ちよ?」


「お前の言ってる事は、いつも……本気で分からんのだって。帰って調べてみるまで返事は待って貰っていいか? あとマラソンとやらの方は、申し訳無いけど……正直、あまり興味なくてだな……こうみえて毎日、やる事がホント多いんだ」


「ぷひっ♪」


「ダメ! ダメぇっ!! くーちゃん! くーーーちゃん!! イオナちゃんの誘いに乗っちゃ駄目ッ! 悪い子になっちゃうから! 後の方だけじゃなくて、そこは前の方も即答で断って!!」


「え、おおぉ……なんだか良く分からんが……わ、分かった」


「……で? 蔵人。この指輪みたいの……なにができるの?」


 脇に逸れて転がり出して、止まる様子も見えない程に、勢いづいた流れを遮ってくれたのは澪だった。


 指に嵌めたチタン・シルバーとピンク・ゴールドが緩やかにツイストし、デザインを損なわない様に配慮された、極小の強化ガラスのディスプレイがあしらわれたリングを眺める その様に。


 息を呑む――千影と、過呼吸気味に……荒い息を繰り返すイオナ。


「キモイよ……あんた」


 そんなイオナの様子を斬って捨てる澪の様子に――取り乱すだけ取り乱した自身のサマを省みる余裕もできたのか。


 なにやら腹に据えかねるものも……ある風ながらも。


 目の前に置かれたリングを勢い良く引っ掴んで


「むーッ!」


 ――膨れっ面を浮かべて、自分の指に嵌める千影。


「ぶ、ぶひひひッ♫ んじゃ、わぁ〜たっしもっ♪」


「…………」


 いつも通り理解に苦しむ、イオナの……恐らくはサブカルチャーか、何かの模倣らしき反応を見ながら――3人がリングを指に嵌めたのを見計らって俺は、それらの機能についてを説明した。

【属性】

橘 蔵人  :C/D

星山 千影 :L/L

結城 イオナ:N/N

来栖 澪  :?/?


……真に、受けないでネ(死)


ブクマ有難うございます。


もし宜しければ お読み下さった御感想等を

戴けましたら、大変有難く


その他にもブックマークや、このあとがきの

下の方にあります☆でのポイントに代えて、


御評価戴いても それを元に参考にさせて

貰いますので、何卒宜しく


お願い申し上げます。

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