処女搾乳
貰ったお金で注文したピザで、もそもそと……ふたりで夕食を取って別れてから――数日後の夜。
千影からメール。
文面は日常において、そうそう お目にかかる機会も無い
「助けて」
と、打たれた一語のみ。
慌てて部屋の窓を開けて、サッシに足をかけると――勢いをつけて、隣の家のバルコニーへと飛んでショート・カットを決行。
いつも鍵の掛けられていない窓を開けて、部屋へと駆け込むと
電気の消されたままの部屋で、ベッドで枕に顔を埋めて泣くパジャマ姿の千影。
灯りのスイッチを押してみれば
部屋の中には、通販の段ボール箱と、
帽子の様なサイズ感のカップが連ねられ、タグが付いたまま散乱する――ブラの山。
そしてなんだか、見慣れない――散乱する電化製品らしきものの箱。
* * *
最初それを……なにかのキッチン・ウェアの類だと、思った。
天使の様な笑顔を浮かべる、柔らかなブロンドに 青い目の赤ちゃんのパッケージの写真が、そのイメージを補強した。
けれども、その電化製品らしきものの正体の究明よりも
まずは、すすり泣く千影に声をかけるべきに違いない。
振り向かせようと、肩に手をかけ
おっぱいのサイズに比して、軽い身体を ひっくり返すと、
同時に前を閉じ合わせていない、パジャマから飛び出して来たのは
……と言った風情と迫力でもって並ぶ、幼い頃の面影は、微塵も感じられない
大人の女性であっても、ここまでの頂に到達できるのは
国内総人口の何パーセント居るものだろうかと
今の今まで慌てて、この場に駆けつけた事情すらも忘れて
声も無くす程の規格外の巨乳。
うつ伏せで圧し潰され、先端に宿る蕾からは――うっすらと白い雫。
シーツの上には、大きな染みが ふたつ残されて……
それらは、俺の目に……酷く、艶めかしく映った。
* * *
――それは、さておき。
助けを求めてきた用件を訊ね、はだけたままの胸元を合わせてやると
ぽつりぽつりと、虚ろな目のままで
「おかあさんから……おっぱいを絞る機械が……送られて来たの。これで絞るだけ絞って、学校に行けば……多分、問題無いだろうから……って」
先程、目にした箱を振り返ってみてみれば――
確かに……それは、小洒落たキッチン・ウェアの類などでは無く。
幸せいっぱいのご家庭の生活を手助けする、極々用途も限られる代物。
とは言え、これがあれば問題も解決とあれば……なにを暗い顔をする必要があるのかと、首を傾げずにはいられない。
端的に言えば、おばさんのファイン・プレーな気すらしてくる。
辺りに散乱する 試すだけ試した後と、いわんばかりの母乳パッドとか言う……マタニティー・グッズが、その事を声高に訴えていた。
(こいつのサイズで……パッドとか入れられないでだろ)
「……これ」
俯いて、度の強い眼鏡を掛けながら――千影が呟く。
「わたし一人じゃ……使えないよぉぅ」
「……、――、……は?」
* * *
言葉の意味も理解できず、立ち尽くしてみれば
目の前に俺が居るにも関わらず、千影は胸元を曝して
生唾を呑み込むのを、必死に堪える俺を余所に――
ベッド脇に転がっていた、道具を手にして
それを乳房に当てて実演を開始。
断続的に繰り返される、間の抜けたシリコン・パッキンの鳴る音と、
カートリッジ・ボトルに満たされてゆく――白い母乳のシャワー。
いくら幼馴染とは言え……こうまで異性として意識して貰えないという事に関しては、
心中穏やかならないものも、あるけれども……。
しばらく、その様を眺めていると
どうして俺に助けを求めてきたのか、その理由についてが判明した。
* * *
カートリッジが、一杯に満たされようとした辺りで
縁から零れ出す母乳。
慌てて傍らに置かれていた、可愛らしいカバーがかけられたティッシュの箱を見つけて、引っ掴むと――
握り締めたティッシュの塊を、突き出すみたいにして手渡した。
「ありが……と……う」
濡らしたパジャマのズボンを拭きながらの消え入りそうな声。
部屋の中一杯にたなびく、甘い香り。
これからを想像して憂鬱の表情で、濡れた胸元を拭く千影の様子に
ドギマギとしつつ
場を取り繕うみたいに、必死に平静を装って
先程まで、スイッチの入れられていた機械を受け取って検分する事にした。
――見た限りでは、不良品という訳では無かった。
総てのパーツが過不足なく、組み立てられ
正しく使用する限りでは、委細問題は無さそう。
(とするなら……使用法……か?)
* * *
もう一度、使用する様を確認したいと伝えて
間際に顔を近づけて その様子を観察すると、その理由が明らかになった。
第二次性徴の最中にある幼馴染の、未だ伸び切っていない腕の長さに比して
なんの因果で ここまで育ってしまったのか……理解に苦しむ巨乳のせいで
この機械に取り付ける、シリコンのカップには偏りが生じて
隙間なく宛がうと言ったことができなかった……という。
分かってしまえば、どうと言う事も無い――不完全な使用法に基づく結果であったらしい。
それを伝えると、千影は沈鬱な空気を纏って途方にくれてみせた。
そんな訳で――その日から、俺は彼女の母乳を絞る専属の担当員となることが
なし崩し的に決まってしまったのだった。
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