アグニ=フィアンマ
ジベルは無事に森を抜けることができた。
「森を抜けられたから、もう少しで街に着くぞ」
森を抜けてからしばらく歩いていると、遠くに建物らしきものが地面から生えているようにして建っていた。
「なんで建物が埋まっているんだろう?」
ジベルは走ってその建物の方に向かった。するとそこは、建物が地面に埋まっていたのではなく、そこは大きなくぼみになっていて、そのくぼんだ所に街が広がっていた。
「ここはすごいな」
溝の深さと直径は相当大きい。
「ここからどうやって下に降りるんだろう?」
ジベルは辺りを見渡した。すると、すぐ近くに小さな小屋があるのを発見し、そこに向かってみることにした。
「すみませーん」
小屋の前で声をかけると、すぐに扉が開いた。
「なんだい」
小屋からはマッチョな男が出てきた。
「あの、この下の町、アンファングに行きたいんだけど、どうすればいいですか?」
ジベルはその男性に尋ねた。すると、
「なら、目的地に合ったロープウェイ乗り場を使うといいぞ。ロープウェイ乗り場は全部で4つある。」
そう言うと、マッチョなお兄さんは地図を持ってきてくれた。
「まずは方角で言うと、北に位置するロープウェイ乗り場を使うと、娯楽、ギャンブルが楽しめる所に着くようになっているぞ。東と西の乗降場を使えば、住宅街と、買い物や宿泊施設、まぁいわゆる日常に必要なものが揃えられる店が立ち並んでいる。そしてその中心にはこの街を仕切っている町長がいる役所など、公務員の施設が建っているぞ。」
そう説明すると、マッチョなお兄さんは地図をしまおうとした。
「まって、あともう一つの乗降場はどこにつくの?」
そう聞かれると、マッチョなお兄さんは大きく息を吐いた。
「あともう一つは、ここ南の乗降場だ。だが、ここから降りると、スラム街に着く。ここから降りることはお勧めしないし、見ての通り誰も乗りに来ない。ここはそういう場所さ。ほんとなんでこんなところに作ったのかね」
もう一度大きく息を吐きだした。
(ス、スラム街、、、、。そこはきっと、悪い人たちがいっぱいいて、怖いところに違いない)
ジベルはここから降りるのだけはやめようと思った。
「じゃあ、西か東から僕は行くことにするよ」
そうお兄さんに伝えると、
「それが賢明な判断だな。ここを溝の淵に沿って歩いて行けば、乗降場につく。たぶん人がたくさんいるからすぐにわかるぞ」
「わかった!いろいろと教えてくれてありがと!」
ジベルはお兄さんにお礼を言って東の乗降場を目指した。
しばらく歩いたが、くぼみが大きくなかなか乗降場までたどり着かなかった。
「どれくらい歩けば着くんだろう。さっきの地図を見た感じだと、さっきの乗降場から直角の位置にあるみたいだったけど」
ジベルは朝出発をするときに、お母さんに作ってもらったおにぎりを食べながら進んでいた。ジベルは出発して約一時間歩いたところで建物が見えてきた。
「きっとあの建物だ!」
走ってその建物に向かった。そこにはさっきと同じ乗降場とは思えないくらい人がたくさんいた。
「乗降場の最後尾はこちらです!乗降書を購入された方はこちらにお並びください!」
看板を持ちながら最後尾を示している人が大声で場所を示していた。
「うわー、人がいっぱいいる」
ジベルは辺りを見渡しながら、乗降書を買いに行き、最後尾に並んだ。
(ワクワクするな)
太陽は少し傾いていた。さっき乗降書を買うときに置いてあった時計で時間を確認したところ、時刻は15時を回っていた。
長い間順番を待っていると、ジベルの乗降の番になった。ゲートをくぐりロープウェイに乗った。
「これに乗って降りていくのか。ロープウェイに乗るのは初めてだな」
ワクワクしながら乗り、ロープウェイはアンファングに向かって動き出した。
「うわー、ほんとにすっごい高いんだな」
窓から外の景色を眺めていると、車内放送が流れた。
「みなさん、今日はこちらのロープウェイをご利用いただき誠にありがとうございます。この放送では、下の乗降場に着くまでの時間アンファングについて説明させていただきます」
ジベルはその放送に耳を傾けた。
「このアンファングという街は直径8キロメートル、深さ50メートルのくぼみの中に存在します。ここではアンファングは3つの町で構成されています。北の町スーノタウンは別名[夜の無い町]と呼ばれています。その理由は、ギャンブルから屋内外の遊び場など様々な娯楽施設を揃えています。飽きのない遊びをお客様にお届けしています」
(すごいな。どんな遊び場があるんだろう。一回は行ってみたいな)
ジベルもスーノタウンに興味がわいた。
「次に東と西の町、イーウエタウンをご説明させていただきます。この町はスーノタウンとはうって変わり、落ち着いた雰囲気の家やホテルなどお客様に安らぎの時間を提供させていただいております。ぜひ、宿泊にはこちらのホテルをご利用くださいませ」
(泊まるときはそこに行けばいいのか)
どんなホテルがあるのか想像が膨らんだ。
「最後に、すべての町の中心に存在するセンタータウン。ここはこの街の町長であるスタッド町長が住まれているご自宅があり、この街の役所などの公務員の施設もすべてここにあります。」
車内放送はまだまだ続いた。アンファングの有名な食べ物や人気のホテル、最近のニュースなど様々なことが流れていた。それを全部聞き終わるころには、アンファングの乗降場に着いていた。
「それでは良い旅を」
この言葉を最後に放送は終わり、ロープウェイを降りた。ゲートくぐって外に出ると、そこには高層ビルや、タワーマンションがそびえたっていた。
「建物下から見ると、上から見るよりも大きくみえる~」
ジベルは顔を真上にあげ、高い建物を見ていた。
「まずは、今日の宿泊場所を探さないといけないな」
ジベルは正面を向き、宿泊場所を求めて歩き出した。中心部に向かって歩いていくと、どんどん景色は変わり、まるでおとぎ話の世界に入ったような煌びやかな建物が並んでいた。一軒のホテルに目が留まりそこに入ってみることにした。入ると中もとてもきれいなところだった。天井には大きなシャンデリアがあり、床はカーペットで覆われていた。ジベルは辺りを見渡しながら、受付まで行った。
「いらっしゃいませ」
スーツを着た人が対応をしてくれた。
「今日はどのお部屋にお泊りになりますか?」
そう言うと三つのコースを見せられた。上からVIPルーム、スイートルーム、スタンダードルームに分かれていた。
「一番安いのがいいです」
「でしたら、スタンダードルームがお勧めかと思われます。一泊こちらの値段になるのですがよろしいでしょうか?」
そう言って見せられた金額はとんでもない額だった。
「あの~、僕スタンダードルームを頼んだんですけど、、、」
ジベルは聞き返した。
「はい、ですから、こちらのお値段になります」
店員はニコッと笑った。
「こんなに高いのは払えないよ!!」
一番安くてこの値段ということに驚いた。
「でしたら、お引き取り願います」
店員の顔はすぐに真顔になった。
「一個だけ質問してもいいですか?」
「なんでしょう」
店員は真顔のまま聞き返した。
「一番安いお店はどこにありますか?」
ジベルがそう尋ねると、
「一番安いのはわかりませんが、南の方に行けばここら辺のホテルよりはお安く泊まれると思いますよ」
口元だけニコッと笑い、少し見下したように言った。
(ここから南ってことは、スラム街の方か、、、)
少し怖くなったが店員に感謝の言葉を述べその場を後にした。
店を出た後、店員に言われた通り南に向かって歩き始めた。約一時間かけてイーウエタウンとスラム街の境目付近までやってきた。そこはさっきの所とは違い。にぎやかさは無く、寂しい感じがあった。上からは気づかなかったが、スラム街の境目には高い壁が作られていた。
(ここら辺のホテルなら泊まれるかも)
そう思いホテルを探していると、路地裏から怒鳴り声が聞こえた。ジベルは恐る恐る声のした方を見ると、そこにはジベルと年齢は同じくらいの赤髪で手には黒い手袋のようなものをした少年が三人の男に囲まれていた。
「おい!俺の財布返せよ!!」
少年は大声で言った。
「盗まれるお前が悪いんだよ」
「これは俺たちのものだ」
「返してほしかったら力づくでやってみな」
三人は挑発するように言う。少年は下を向き、小さい声でしゃべった。
「力づくでもいいんだな」
三人たちには聞こえなかった。ジベルも息をのんでその場を見る。
「何を言ってるのか聞こえねーよ!!!」
「ぶっ倒してやる!!」
「泣かしてやる!!」
三人は一気に少年へ襲い掛かった。ジベルはそれを見てとっさに体が動き、両手に雷を溜めつつ、少年のもとに向かった。少年は両手を胸の前で迎えあわせ、そこに雷の球を作った。
「爆雷!!! <サンダー バースト!!!>」
そう叫ぶと、ニヤリと笑い両手を前に出し、雷の球を投げた。その球は3人の前に行き一気に爆発した。
「「ぎゃーーーーーーーー」」
三人は気絶をしてしまった。
「派手こそが本当のカッコ良さだ!!!」
そう言うと自分の財布を取り戻し、その場を去ろうとしてジベルの方を見た。
「なんだよ~、まだ仲間が一人いたのかよ」
そう言うと、両手に雷を溜め始めた。
「ち、ちがうよ!!君を助けようとして!!」
ジベルは誤解を解こうとするが少年は聞く耳を全く持たなかった。
少年はさっき3人に向かって撃った技をジベルに向かって撃ってきた。
「爆雷!!! <サンダー バースト!!!>」
雷の球がジベルに向かって飛んでくる。
(まずい避けられない。それなら、)
ジベルは今まで溜め続けた雷を右手に集め、体をねじった。
「!?」
少年は一瞬顔がピクついた。ジベルは球にタイミングを合わせ、技を撃った。
「雷銃!!!!! <グロ――――――ム!!!>」
ジベルの雷銃と少年の爆雷がぶつかりすごい爆風が起き、二人は後ろに飛ばされた。二人はすぐさま立ち上がり、少年はすごい勢いでジベルに近づいてきた。ジベルは戦闘態勢に入るも、
「お前!俺の爆雷を弾き返すとはすげーな!!しかも今の技なんだよ!すっげ―派手でかっこいいじゃんか!!」
少年は目を輝かせて言ってきた。
「今のはグロ―ムって技、、、」
ジベルはまだ話している途中だったが少年が話に割り込んできた。
「グロ―ムっていうのか!!かっけー!!」
少年はとても興奮している様子だった。
「お前なんて名前なんだ?」
少年が尋ねる。
「ジ、ジベル」
少年の勢いにジベルは押されていた。
「ジベルっていうのか!俺の名前はアグニ=フィアンマっていうんだ!よろしくな!」
アグニは手を差し出した。
「よ、よろしく。」
2人は握手をした。
「あのさ、僕の誤解は解けたの?」
ジベルはアグニに聞いた。
「おう!助けようとしてくれてたんだろ」
聞こえていたならなぜあんの危ないのを撃ってきたのか気になったがあえて聞かなかった。
ジベルは宿を探していることを思い出して、アグニに質問をした。
「僕、宿を探しているんだけど、どこか良いところないかな?」
すると、
「お前宿なしか!なら、俺が泊っている部屋に来いよ!もちろん部屋代は割り勘な!」
笑顔で答えた。
「本当に?!良いの!?あっでも、僕そんなにお金持ってないよ」
「大丈夫!俺もここの宿高すぎて、格安のところに泊っているから!じゃあ俺についてきな!」
そう言うとジベルはアグニと一緒に宿に向かった。
アグニのテンションの人が近くにずっといたら楽しそうだけど大変そう




