ジベルvsオルサ
ジベルは世界一のソルジャーになるために旅立った。まず、最初に向かったのは村にある役所だ。情報によると近いうちにソルジャーになるための試験が行われるらしいので、それに申し込みをしようとしていた。
「早くソルジャーの証を取ってソルジャーとして活動するぞ!」
ジベルは胸を躍らせながら役所に向かった。ジベルが生まれ育った村はそこまで大きくないのですぐに役所につくことができた。
「えーっと、試験の申込み、試験と申込みっと、、」
当たりを見渡し、ソルジャー試験の申し込みができる場所を探した。
「あっ、あそこだ!」
走ってその場所まで向かった。
「あの!」
ジベルがそう言うと、窓口で仕事をしていたお姉さんがこちらを向く。
「こんにちは、今日はどのようなご用件で来られましたか?」
お姉さんが笑顔で聞く。
「僕、ソルジャーの試験を受けたくて申し込みに来ました」
そう言うと、少し待つように言われ、お姉さんが申込書を持ってきた。
「こちらがソルジャーの(仮)申込書です。こちらに名前など、必要事項をご記入してください」
ジベルが不思議そうな顔をしてお姉さんを見る?
「仮?なんで、仮申込書なんですか?」
お姉さんに聞くと、
「本申し込みは試験会場のある村、街で、することになっています。理由としては、自分の生まれた所で申し込みをしても、途中でやめてしまう人が多発してしまったので、受ける人数をしっかりと把握するためにこのようにしています。ソルジャーは命の危険が隣り合わせの職業です。本申し込み後はキャンセルすることはできません。仮に本申し込みをしたのにもかかわらず、試験に参加しなかった場合は二度と試験を受けることができないので、注意してください」
全部話を聞き、その後にジベルは(仮)申込書に必要事項を書いた。
(僕はずっとソルジャーに憧れていたんだ。簡単に諦めてたまるか。そのためにあの時イシュムに教わった、雷の容量を増やす特訓をしてきたんだ)
必要事項を渡されると、地図と試験証を渡された。
「最後に、試験会場の描かれた地図と本申し込みをするための試験証を渡します。この地図を無くしますと、試験会場に行くのは困難となっていますのでくれぐれも紛失をなさらないようにお願いいたします。それではいってらっしゃいませ」
そう言うとお姉さんはお辞儀をした。ジベルは渡された、試験証をカバンに入れ地図を手に持ち役所を後にした。
役所の外に出ると、すぐに地図を広げた。地図は立体に表示され自分の位置を点で示していた。
「試験会場はアンファングという街にあるんだな。よーし!アンファングに向けて出発だ!」
しかし、地図をよく見たところ、アンファングには七年前に襲われてから一度も近づいていない森、トイフェルを抜けなければいけなかった。
「前までの僕とは違う。あの熊が出てきても今の僕ならなんとかできる!はず、、、」
不安はあったが、ソルジャーになるためだと思い自分を奮い立たせた。ジベルは地図をしまい、まずはトイフェルに向かった。
だいぶ歩くと森が見えてきた。七年前のことが頭を横切り歩くスピードと、鼓動が早くなる。
(大丈夫、大丈夫、、、)
何度も自分に言い聞かせ森に向かう。自分の気持ちに整理がつく前に森の入り口にまでついた。
「ここからはいつあの熊たちが出てきてもおかしくない」
イシュムが助けてくれる前の光景が目の前に浮かぶ。
(あの時イシュムが助けてくれなかったら)
ジベルは今でもあの時のことを夢に見て、眠れなくなるときがある。
(大丈夫、勇気を振り絞れ、ここで一歩を踏み出すんだ。そして、この悪夢を克服するんだ!)
勇気を振り絞り一歩ずつ、ゆっくりではあるが、確実に前に進んでいった。
頑張って歩き、だいたい森の半分まできた。
「だ、だいぶ進んだけど、まだかな」
ジベルは地図を広げ、自分の位置を確認した。
「まだ、半分か」
森を抜けアンファングまでのルートを確認していると、だいぶ離れた後ろの茂みが音を立てて揺れた。
「こ、これは、まさか、、、」
顔が青ざめていく。ジベルは七年前怖い体験をしてから、あの熊について調べた。しかし、情報が少なく、名前はオルサと言い、あの巨体だが足音がほとんどたてないのと、見つかったら危険ですぐに逃げることとしかわからなかった。
思い出しているうちにオルサの姿が目に入った。
(やばいすぐにげなきゃ)
オルサを見ながらゆっくりと後ろに下がっていく。すると後ろに茂みがあることに気づかず、少しだけ体が当たり小さな音が出てしまった。その音にオルサが気付きこちらを見た。
(あっ、オルサはすごく耳がいいんだね)
ジベルは新しい知識が増えたが、命の危険にさらされていた。
ジベルが見つかったオルサは全長が約8メートルのオルサの方では少し小さい方だった。オルサはジベルを見つけるともう突進で突っ込んできた。
「ギャーー!!」
ジベルは悲鳴を上げながら、ギリギリのところで攻撃をかわした。
(あっ、危なかった)
一安心していたがすぐにもう一回突進をしてきた、ジベルは逃げまどっていた。
(どうしよう、、、、やっぱりこんな化け物には勝てないよ)
ジベルが弱気になっていると、イシュムの顔が思い浮かんだ。
(そうだ、僕は世界一のソルジャーになって、イシュムに「あなたのおかげで強くなれました、ありがとうございました」って伝えるんだ。イシュムなら逃げない)
ジベルは不安を抑え込み振り返った。
(もう逃げない)
そう思うと一回突進を避け、体をねじり左目でオルサを見て、すごい雷鳴を鳴らしながら、体内の雷を右手に溜め始めた。
オルサが状態を立て直して、また襲ってきた。
(大丈夫、殺さない程度で気絶させる)
ジベルはギリギリまで引き付けて技を放った。
「雷銃!!!!! <グロ――――――ム!!!>」
ジベルが叫ぶと右手に一気に放射しながらパンチをオルサの額にぶつけた。激しい爆発音とともに、オルサは後ろに吹き飛んでいった。ジベルは一瞬安心をしたが、オルサが死んでいないかすぐに確認をしに行った。
「よ、よかった~」
吹き飛んでいったオルサの心臓に耳を当ててみると鼓動の音がしっかりと聞こえたのだった。
「痛い思いをさせてごめんよ」
ジベルが謝り、その場を後にしようとすると、すごい咆哮が後ろから聞こえてきた。振り返るとそこには数体のオルサがいた。その中でもひときわ大きいのがいて、そいつの大きさは約15メートルある。
「あいつは七年前の、、、」
(そうだ、あの時襲われたのも普通のよりも大きかった。たぶんこいつがオルサのボスだ)
オルサのボスはじわじわと近づいてきた。ジベルは戦闘態勢に入る。
(さっきの時以上の雷を溜めないと)
雷を溜める態勢に入り、激しい雷鳴が鳴り響く。オルサのボスが勢いよく突っ込んできた。
(溜まってないけど撃つしかない)
「雷銃!!!!! <グロ――――――ム!!!>」
オルサのボスとジベルは相手に向かって振り下ろした。爆発音が響き、二人とも後ろに弾かれる。
(いててて、やっぱり足りなかったか。もっと溜める時間が必要だ。何かないか、、、)
ジベルは考えていたが、なかなか思い浮かばなかった。オルサのボスの攻撃を避けつつ、雷を溜めるのを試みるもなかなかうまくいかない。
(ちくしょう、溜める時間を与えてくれない。あの体の大きさでなんてスピードなんだ)
攻撃をすれすれで避け続け、何か策はないのか考え続けた。
「あっ!!」
ジベルはここで一つの策が思いついた。
(これならいけるかもしれない!)
そう思うと、すぐさま茂みに身を隠した。茂みに隠れたことで、オルサのボスはジベルを見失った。ジベルは音をたてないように近くの小石を拾い、自分の反対の木に向かって投げ音を立て、自分は音をたてないように雷を溜め始めた。オルサのボスは音のした方に向かって走り始めた。
しかし、音のした方にはジベルはいなかった。そこへ
「こっちだ!!!」
オルサのボスは声のする方を見る。ジベルはすかさず雷を溜め始めた。
(さっきの力でダメなら本気でやるしかない。大丈夫、あいつなら死ぬことはない)
さっきの雷鳴よりもすごい音をたてジベルの右手に雷が溜まっていく。オルサはすぐにジベルに襲い掛かった。
(よし!溜まった!今の僕の本気をぶつけてやる!)
あらかじめ少し溜めていたので、フルパワーで雷が溜まるのにそんなに時間はかからなかった。
両者、相手に向かって拳を向けた。
「グオオオオオオオオオオオ!!!」
「雷銃!!!!! <グロ――――――ム!!!>」
ジベルはオルサの攻撃を避け、さっきよりも激しい雷鳴と雷光と共に繰り出された雷銃はオルサの顔に直撃させた。
約15メートルあるオルサの体は後ろに吹っ飛び木に打ちつけられた。
「や、やった」
ジベルは喜び、達成感で心が溢れた。隠れていた数体のオルサがボスに近づく。
オルサの生死を確認するために一歩目を踏み出したが、その場に倒れこんでしまった。
(あれ、僕はなんで横になっているんだろう。そっか、雷を使いすぎちゃったのか。)
どんどん気が遠くなっていく。
(あっ、逃げなきゃ)
ジベルが最後に見た景色は、ボスの近くにいたオルサが自分に近づいてくるところだった。
・・・・・・・・・
激闘から約一時間が経過した。
ジベルはゆっくりと目を覚ました。
(ん、なんかこのモフモフが気持ちいい)
だが、さっき自分が倒れた所には柔らかいものがなかったことに気づく。あたりを見渡すと多くのオルサがジベルの周りに集まっていた。モフモフを感じたのはジベルの上で寝ていたからだ。
「君たち、僕が寝ている間守ってくれていたのかい?」
そう尋ねると、クーンと声を出した。この状況からジベルはある考えに至った。
「誤解していたよ。君たちは自分たちの住処に侵入してきた雷人や人間を攻撃していただけなんだね。君たちはただ、住処を守っていただけなんだ」
ニコッと笑いかけると、安心したようにオルサは起き上がった。
「雷人も人間もみんながみんな悪い人たちじゃないから、攻撃してこない者には襲い掛からないでくれるかな?」
ジベルはお願いをするように頼み込んだ。すると、言葉がわかったのかその言葉に反応をした。
「ありがとう!」
オルサから降り、カバンを持つとオルサのボスが視界に入った。急いで近づき心臓に耳を当ててみると鼓動がしっかりと聞こえた。生きていることにジベルは安心した。雷銃を生き物に撃ったのは初めてで、いつも練習相手は大きな岩だったからだ。
「よかった。僕のモットーはどんな生き物も無駄な殺生はしないだからね。」
これはジベルの目標の人であるイシュムが言っていた言葉である。
ボスが生きていることを確認ができたところで、ジベルはオルサ達に感謝の言葉を述べ、森を出発した。
「アンファングに向けて出発だ!!」
ジベルは森を抜け街に着くために、再び前に歩き出した。
自分のキャラクターが技を出していることに感動しています




