エイプリールフール
エイプリールフールだし恋愛ものとかSFとかの短編上げようと思ってたんですが、某SNSで新年に流行った企画の投稿を見つけて思いついたので変えました。しょうもない話です。
【偽勇者】
「聞いたか?あの勇者がSNSで100人助けるキャンペーンやるんだってよ。」
「ああ、知ってるよ、これだろ?トレンド上位に『勇者』、『100人』とか入ってたし。凄い数のRTだった。」
勇者@hero_af
【キャンペーン】
この度の困難につき、無償で100人を助けるキャンペーンをしようと思う。
助けるものはこのアカウントをフォロワー&この投稿をRTしたものの中から抽選だ。
当選した者の救済には勇者の名に誓い私は全力を尽くすと誓おう。
#救済、#勇者
xxxx年4月1日0時0分
「確かRTとフォローした人から抽選って話だったっけ?勇者って政府直属だけど、今は某ウィルスで国内どこもやばいけど政府は忙しいから書類審査が時間かかる勅令で動かせないから個人的活動としてやるんだってな。」
「まあ勇者は”神の代行者”って立場もあって信頼できるし皆すがりたいんだろう。僕だってタダで助けてくれるなら喜んでRTとフォローくらいするよ。今は村が大変だしね。」
「じゃあ、おまえもキャンペーン参加してるんだ。……どのアカウントフォローした?」
「え?勿論、勇者のアカウントだけど……?」
「そうじゃねぇよ。今本物の勇者に便乗して偽物勇者のアカウントがたくさんあるんだよ。しかも、かなりの数のRTされてたんだ。」
「ええ……。このアカウントだけど。」
「ああ、そりゃ見事に偽物だな。おまえSNSとか疎いんだから気を付けろよ?この前も現在地つけたまんま投稿してただろ。教えてやったけどあれ消したのか?」
「ううん、まだだよ?そんなに危ないのか?」
「当ったり前だろ!特に今のご時世、某ウィルスで治安が悪化して物騒なんだ。しっかり消しとけ!今すぐでも消したほうがいい。」
「分かったよ……。そう言えば、本物のアカウントのキャンペーンってまだ間に合うかな?」
「いや、もう駄目。今日の正午までだったはず。」
「はあ。まあ当選するわけないし、どうでもいいかあ。僕の村、今本当に大変でね。魔物が大量発生してるんだけど、冒険者が某ウィルスで村に来ないから危ない状況なんだ。」
「それ……ガチでヤバくないか?大量発生ってどれくらいだよ?行政機関には報告したのか?」
「数は100体以上は堅いってところかな。勿論報告はしたよ?でも、うちの村って辺境だろ?行政機関が動くまで持つか分からないね……。」
「おまえ、よく呑気で居られるな。それは本当にやべぇよ。それこそSNSで投稿しなかったのか?それだけヤバい事態なら話題にもなるだろ!」
「投稿はしたけど、僕のアカウントのフォロワーはリアルの知り合いが数人とすぱむ?だけだよ。RTなんてされてない。」
「マジか……。おまえ今から帰るんだろ?大丈夫なのか?」
「まあね。僕だって男だ。戦力に数えられるんだから帰らないわけにはいかないし、家族も待ってる。」
「……写真とかあったらくれないか?俺のアカウントの方がフォロワー多いし、わんちゃんあるかも。」
「ありがとう、後で送るよ。じゃあまたね。」
「おう、死ぬなよ?」
「うん、死なないよ。」
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「あれ!?なんでこんなに人がいるの?」
「おお、戻ったか。よくやってくれたな!あと少しで本当に魔物に村がやられるところじゃった。お主が勇者殿に事態を知らせてくれたおかげで助かったわい!」
「ええ!?勇者?僕はそんなことしてないけど……。」
「む?お主が勇者殿のキャンペーンに当選したから、勇者殿が高額なお金を掛けてこの村の魔物退治を多くの冒険者に依頼してくれたと聞いたが。……電話鳴ってるぞ。」
「ああ、失礼。
もしもし、」
「もしもし!やっと出た。SNS見たか?この前お前がRTした偽物のアカウント見てみろ凄いぞ!」
「え?うん、見てみる。」
偽勇者@hero_af
偽善者の偽勇者。
フォロー1 フォロワー10万
偽勇者@hero_af
私は偽物で偽善者です。正直、エイプリールフールのネタ投稿に悪質な失敗をしただけなのですが、仮にも”誓った”なんて言葉を使ってしまったのでRTされた方の中で目に留まった本当に困っていそうな方の元に冒険者を送らせていただきました。身元は明かせませんが、何分お金には困っていなかったので。」
「ええ……。こんな事ってあるんだね……。」
「ああ、本当に偶然なのかわかんねぇけど凄いよな。おまえ、あとでお礼くらい言っとけよ。」
「うん、そうするよ。」