歯医者
これも短編集に入っていた
とある、歯医者さんに、私は通っていた。
その歯医者さんは腕が良くて、私以外にも人が来ていた。
むろん、予約は一週間先であり、三日以内はまずない。
それほど腕が良くて、すぐに終わってしまう。
麻酔も、痛みは小さくあるも、震えない手からは私を安心させる。
歯医者とは、昔から怖かったが、実際、行ってしまえば何の事もない。
待ち時間に聞こえる音は怖いが、いざ自分がやられる時にはもう何の気にならない。
15分程度で、終わり、私は帰る。
そして数ヶ月後、虫歯ができてしまった。
あぁ痛い…奥歯の方であるから、噛むと共に痛みがやってくるのはとてもきつい。
私は悶え苦しむ。
あの時、予約して行けばよかったと今でも私は後悔している。
痛いには痛いが、仕事がとても忙しい私は、歯医者に行ける時間なんて、なかった。
家に帰る頃には、もうヘトヘトでシャワーを浴びずベッドかソファに倒れてしまう。
酷い時は、玄関に寝ていた時もあった。
歯医者に行かなかったせいか、虫歯が進行してしまい、ついには神経まで侵された。
激痛が、酷い、痛い、大人であるのに、泣いてしまった。
涙を流しながら、私は奥歯をぐらぐらとさせながら取ろうとしていた。
次の日、私は虫歯の事を話し、なんとか二時間ほど休みを貰った。
この会社は、ここまで進行しなければ休みをろくにもらえないほど、きつい会社なのだ。
あの歯医者は予約してない為に、私は、色々な歯医者を探したが、どこも混んでおり、ようやく見つける頃には、一時間経っていた。
私は急いで中に入り、虫歯のを事を言うと、すぐに取り掛かろうと言われ、案内された椅子に座った。
その歯医者はとても古いのか、私以外誰もおらず、女も少し老けて美人ではない。
不安で一杯な私は、安心できずにいたが、この言葉で少しは安心した。
「大丈夫。…あぁでもね、こりゃ全身麻酔する必要がある」と医師は言った。
私は全身麻酔という言葉で安心した。
何故なら、痛みが無いと、治療時間は眠っていられるから、私は安堵した。
早速、私は麻酔ガスを入れられて眠ってしまった。
何時間経っただろうか?私は眼を覚めると白くて所々カビがあるカーテンに囲まれていた。
服も背広ではなく、患者衣を着せられていた。
カシャとカーテンが退かされて、医師がむっつりとした表情で入ってきては、
「安心しなさい。無事、神経を取り除いたよ」と言って、私は非常に安心したと同時に、口の中に何か、とてつもない違和感に襲われた。
なんだ、この柔らかい…歯なのか?
私は言葉を喋ることができずに、酷い頭痛に襲われた。
痛い、何か、歯を噛みしめると、グニュっとした不快な感触に襲われた。
「か…かみ」
鏡が欲しい。医師はむっつりとした表情のまま、両手を後ろに組んでいるのに、私は恐怖心を抱いた
横の台に鏡を見つけた私は、早く見たいと手に取り、鏡を見て、口を大きく開けた。
下と上の歯が全て無くなっている。そしてその抜かれた穴全てに、ウヨウヨとうごめく緑色の芋虫がいた。
蜂の子のように、頭を動かしては逃げようとしている。
私はパニックになり、芋虫を指で摘み、取ろうとするも、穴の奥に縮んでは、取れずに、前の方だけでもと、なんとか摘んでは離そうとするも、頭の部分だけが取れて、後ろ部分は穴の奥に縫われていては、くっついていたのだった。
もう少し…私に表現と描写力があったら…