「男ですから」
本編ゴー!
「バーストッ!!」
ツインテールの少女が真っ白なビーム的な何かを発射させた。
それは、辺り一面を呑み込み、力力が尽きたように小さくなっていった。
そこにあった建物は全壊し、そこにいた人たちの意識は無へと還った。
暗い闇の中、月星の明かり、そして、少女の背中にある真っ白な羽の輝りだけがあった。
バースト、の掛け声とともに発射されたビームは、かつて建物が建っていた場所にクレーターを作っていた。
それを少女は空から見下ろしていた。
何を思って見ているのかはわからない。けれど、けして楽しんではいないことだけは、顔を見るとわかる。
嬉しくもなく、楽しくもなく、怒っているのでもなく、それでいて、悲しくもない、曖昧な、未熟な、微妙な表情。
「・・・あなたたちには、申し訳ないことをしたかもしれません。けれど、こうしなければ、世界が終わっていました」
少女は、誰に言うでもなく、呟いた。その言葉からは、少女が言っていたように、申し訳なさそうにしているのが感じられた。
しかし、表情には出ていない。
表情はさっきから同じ。何も考えていないかのようだった。
◇◇◇
「モニター回復します!」
どこか戦艦めいた、とある場所。
《レーヴァテイン》それがこの、空中艦の名前である。
《レーヴァテイン》は今、空の上に浮かんでいた。とある少女よりももっと上に。
正面にある大型のモニターに映像が映し出された。それには、空を浮かぶ少女とクレーターが映っていた。
「魔力消滅を確認。結界の破損なし。生命反応・・・ありません」
【電子の魔女】の二つ名を持つアルティー・メリオンは、そう報告した。
この《レーヴァテイン》には、総勢五十名のクルーが乗っている。その大半が魔女である女性たちである。
基本的に魔法使いは、女性に適用率に分がある。その為、男性の魔法使いより女性の魔法使いの方がはるかに多い。
しかし、男性に適用しづらいとは言っても、男性も女性と同じく、強い。
「マキナちゃんの様子は?」
アルティーたちがいるフロアよりも高い位置にある艦長席に座っているイスメル・ブローダンス艦長は、モニターに映る少女を見て聞いた。
「はっ。魔力残量に問題なし。負傷しているものの、軽傷のため、問題なし。脳波の異常もありません。外部からの攻撃もありません」
アルティーの報告でほっとしたイスメルは、そう、と呟いて息を吐きながら、椅子の背もたれに寄りかかった。
「ミッションコンプリート。アルティー、マキナちゃんに通信繋げて」
「繋ぎます」
アルティーはコンソールを操作し、マキナの通信機に繋げる。
一拍おいて、マキナの声が聞こえてきた。
「かんちょー、終わったよー」
マキナは、先程の台詞とは裏腹な喋り方をしていた。
「見てたわよー。で、さっきのは何だったの?」
イスメルは、不思議そうにしていた。いつものマキナとは、違ったからだ。
「ああ、あれのこと?わたしが言ってたことだよね」
「それもだけど、喋り方もおかしかったわよ」
「あれはねー。悪者っぽさを出しつつ、それは、世界のためだった──みたいな設定にしたら面白そうかなーって思って」
そう、彼女は、悪者ではない。正義の味方である。
「なにやってるのよ。・・・まあ、いいわ。すぐ回収するから待ってて。
・・・転送装置を起動。マキナちゃんを回収して」
「了解しました」
クルーの一人の少女──ユークリス・シュバリヤは、転送装置の準備をし始めた。
「転移装置起動完了。マキナちゃんを回収します」
転送装置が起動すると、マキナの上下に丸い魔方陣が浮び上がった。そして、そこから青白い光が上下から出てきたかと思うと、上下にある魔方陣がマキナの中心に向かって移動をし始めた。それは、約三秒の出来事だった。魔方陣が中心に向かうにつれて、上半身と下半身が消えていき──魔方陣が重なると、マキナの姿はなかった。《レーヴァテイン》に転送されたのだ。
「転送完了」
「ありがとう。
これより、本艦は、待機に入る。進路を南へ変更。目標、マキナちゃんの家」
『はっ!』
イスメルの命令にクルーたちは、作業を開始する。
プスー、と音をたてながらクルーたちがいるフロアの左奥にあるドアがスライドして開いた。
「魔法少女マキナ!ただいま、帰還しました!」
入ってきたのは、マキナである。
さっき着ていた服とは違う服を着ていた。相変わらずツインテールにはしているが。
「あら、おかえり」
イスメルは、マキナを見て微笑んだ。
マキナは、階段を上ってイスメルのところに向かう。
「楽勝だったぜ!」
と言いながら、マキナは笑う。
「あ、マキナちゃんだー。お疲れ様ー」
そう言ったのは、アルティー。
アルティーは、マキナに手をブンブンと振る。
「やっほー」
マキナもそれに返すように手を振る。
「こら、アルティー?仕事は?」
イスメルは、アルティーに聞く。その時のイスメルの顔は・・・言うまでもないだろう。
「ちょ、イスメル?なんでそんな顔をしているのですか・・・!?」
「何言ってるの?いつもの顔よぉ。何言ってるのー?」
「ひぃぃぃ・・・!?」
「やらなきゃいけないことがあったんじゃなかったっけ?」
「え?そうなの?邪魔しちゃったかな?アルティー」
「あ、うんうん。だ、大丈夫だよー、マキナちゃん・・・」
「頑張って?」
「おお!!やる気出たああああ!!」
「ちょ、なんでマキナちゃんに言われるとやる気出て、私ご言うとやなそうな顔をするのよー!」
「さーてね?わかりませんなー」
「にゃにおー!」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
そんな風に時間は流れていきます。
待ち構えているのが、邪悪の悪魔でもなんでも、そんなものを吹き飛ばすくらいの楽しい日々。
とある事件に巻き込まれた中学三年生の雨野坂真希波は、それがきっかけで魔法少女になることになってしまった。
けれど、それは、真希波本人の意思であり、決して苦とは思っていなかった。
そんな彼女の物語。
まずは、真希波が魔法少女になった時のお話をしましょう。
それは、中学三年生にたったばかりの春のことでありました。
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「何が『だだんだん』だぁぁぁぁぁぁ!」
学校帰り。
アキラドールという店の店内にあるフリースペースで電車が来るのを待っていると。
いつ頃だろうか。
俺──浅葱明都が、椅子に座って寛ぎながらスマホを弄っていると、向かいに座っていた友人の鐙啓が突然、大きな声を発した。
数十名いた同じ高校の生徒の中の数名が、こっちをちらりと見てきた。・・・・・・恥ずかしいなあ、おい。
「なんだってんだ、急に大声をだして。なにかいいことでもあったのかよ?」
啓は、「ちげーよ」と否定した。なんだ、いいことはなかったのか。
「これだこれ」
啓は、指先でテーブル──に貼ってあった小さな丸いシールをコンコン、と突っついた。それには絵が描いてあり、どうやら子供がもらったものらしい。
「なんでシールが貼ってあんだ。捨てるか持って帰るかしろよ」
俺はそう呟いた。
「ちげーよ。そこを見てほしいんじゃねぇ。ここに書いてある文を見てほしいんだ」
そう言われて、啓が再度指差したシールの上らへんを見る。そこには、『だだんだん』と書かれていた。
「ほんとだ。なんで『だだんだん』なんだ?」
俺は、大声を出さずに言った。
どういう状況での『だだんだん』なんだ?絵を見てもさっぱりわからん。
「『だだんだん』の意味がわからない」
啓はシールを剥がして、テーブルに上にあったバーコードがプリントされている紙に貼った。しかも、バーコードのところに。
なにしてんだよ。
とは言わなかったが、あはは、と俺は小さく笑った。
啓は、いつの間にかスマホでイヤホンをつけながら、ゲームをしていた。
それにならって、というわけではないけど、俺もゲームを始める。
最近、ゲームをしていないせいか、アプリを立ち上げたとき、懐かしいと感じた。
一ヶ月程してなかったもんなぁ。アニメ観たり、電子書籍を読んだり、メールしたりしか使ってなかった。
「おー、座れた座れた」
俺らは、三両続きの電車の三両目に乗り、後ろから二番目の位置にある四人席に座った。
五時30分。
この電車は、あと5分で出発する。にもかかわらず、あまり人がいなかった。
俺がいる三両目には、まだ席が空いていて、ニ人席がニつ、四人席が一つ、車両の後ろと前にある横並びになっている席は、八人くらいしか座っていなく、がら空きだった。
「四時電で帰ってんだろ。あと部活」
「んー、それにしても少なすぎじゃね?うちの学校だけが乗ってるわけじゃねぇかんなー。それに、大人もいるわけだし」
「いやまあ、そこは、ほら。たまたまだな、うん」
考えるのが面倒になってきたのか、うやむやに言った。
ま、たまたまかもしれないな。
ゴゴン。
寝ようかなー、なんて呑気に思っていたら、電車が動き出した。どうやら、35分になったようだ。
「あー、そういやー、あいつらいねぇな」
辺りを見渡してそう呟く。
「ああ、あいつら、4時電で帰った」
その呟きに啓が答える。
ふぉーん、そうか。
あいつらとは、第二高校に入学した同じ小、中学の有野西、湯山景光、西本隆邪の三人のことである。
そいつらと啓は、腐れ縁みたいなものらしい。保育園は違ったが、その当時からの付き合いだそうだ。
そんな奴らと啓が違う高校にしたのは、学力差──ということではない。啓は、工業系に興味があるらしく、選択できる総合学科にしたんだと。
俺は、まあ、あれだ。普通科ってなんか面倒そうだなぁと思ってな。そんで、じゃあ、総合学科にしようと思っただけで・・・何がしたいかは決めていない。
取り敢えず入学しただけの凡人である。
「はぁ・・・」
溜め息をついてしまうほど、自分自身に嫌気がさしてくる。
考えるのをやめよう。
俺は、スマホでゲームの続きをし始めた。
◇◇◇
どうも!雨野坂真希波です!皆さん、お元気ですかぁ?わたしは、バリバリ元気です──と、言いたいところですが、今は言えません。何故ならば──下校時刻だからです。
そうです。もう学校が終わり、授業で体も心もへとへとなのです。
中学三年生になったからなのでしょうか。余計に疲れがたまっているような気がします。
けれど、そんなことを言っても仕方がありません。先輩たちは、これを乗り切っていったのだから。
わたしはこれから、頑張っていこうと思います。
さて、現在。わたしは、当校の校門の前である人を待っています。その人は、わたしの友人で、いつも一緒に帰っています。ですが今日は、委員会の仕事で少し遅くなるとのこと。ならば、先に帰れば──なんて言う人もいるでしょう。しかし、わたしは待つことを選びます。だって、わたしはその人の友人だから。
「マーキナちゃん!帰ろー」
わたしが校門前に立っていると、そんな女の子の声とともに誰かがわたしの後ろから抱きついてきました。
突然のことでわたしはビックリしましたがすぐに正体がわかりました。
「ちょっとー、ビックリしたよー」
突然の襲撃犯は、わたしから離れると、あはは、と笑った。わたしは、その女の子の方に向き直ります。
「イエーイ!ドッキリ成功!やっふぅー!」
この女の子は、浅葱彩羽。わたしの友人です。いろはちゃんには、高校生の優しいお兄さんとお父さんお母さんがいます。
いろはちゃんとは、小さいときからの幼馴染みで、周りからは姉妹のように見えていたそうです。
「それじゃあ、帰ろっか」
おーともさ!と両手を挙げ、笑ういろはちゃん。
いつも平和で楽しいです。
けれどそれは、もう少しで崩れようとしていたのです。
◇◇◇
〇〇〇間〇〇〇
作者「間を挟んで、一発芸をしまーす!」
天使「一発芸ってなにをするんですか。というか、天使ってなんですか!?」
者「天使は天使さ!どこからどう見ても、君は天使だ!」
使「気持ち悪いです!それに私の名前は、☆♯〇仝》◆■〒⊇&КЗБВМЦです!って、なんで隠すんですか!それと!何故急に『作者』から『者』に、『天使』から『使』になっているんですか!?」
者「うーん。ごめん。一度に言われても答えられない・・・。一つずつ言ってほしいんだけど・・・」
使「・・・ごほん。お見苦しい姿をお見せしました」
者「いや、いいけれどね」
使「ありがとうございます。では、いくつか質問させてもらいます」
者「うん、いいよ」
使「では、一つ目。なんで私の名前を隠したんですか!」
者「あ、それは簡単なことだよ。君が後で出てくるキャラクターだからだよ。ネタバレはよくないだろ?」
使「なるほど。その答えは正論ですね。いきなり前触れもなく私がここに出てくるのっておかしいと思ったんですよね。そんな理由があったとは。
それでは二つ目です。なんで『作者』を『者』に、『天使』を『使』に変えたんですか!普通頭文字を取りますよね」
者「あー、これも簡単なことだよ。そうした方が新しい感じでいいんじゃね?って思ったからだよ」
使「なるほどー。暇潰しですか。「え?ちがっ(者)」
三つ目です。これが最後──だと思います」
者「(なんで、だと思います、なんだよ。まあ、いいか)」
使「一発芸って、なにをするんですか!私、気になります!」
者「(どこの女子学生さんだよ)
えーっと、一発芸だっけ。やろうとしてたのは、一発芸というか、駄洒落を言おうかなと」
使「駄洒落ですか。是非聞いてみたいです」
者「(おぅー。そんな目で見ないで・・・)
では、いきます。・・・バスはバスタブには入らない!」
使「当たり前ですッ!!」
者「頬ぶたかないで!──って痛いッ!?ビンタやめて!」
使「面白くなかったので、嫌です」
者「この子、なに!?」
使「なにとは失礼ですね」
者「そうだね、すまない」
使「あ。そうでした。もうひとつ聞いてもよろしいでしようか」
者「いいけど」
使「・・・なんで今、このコーナー的なのをする必要があったのですか?」
者「ただの文字数稼ぎぐべらんまなかぴだやは⊇■К〒∨◆☆〇ЗЗЗЗ◆□△∽∵∬АЗКМГτМХУСЯтт┝─────!?」
使「お仕置き終わりです」
者「ふ、ふぁい・・・」
〇〇〇間〇〇〇
◇◇◇
「は、早くしないと・・・。この【ロータ】の適合者を探さないと・・・」
真夜中である。静かな住宅街を一人の少女が歩いていた。それも、ふらつきながらである。どうやら、傷を負っているらしい。
「た、たしか・・・このら辺にいるらしいけど・・・ゴボっ!?」
少女は吐血し、その場に膝をついた。かなりの重傷のようだ。
「ここで、倒れるわけには・・・っ」
立ち上がろうとするが、力が入らず、倒れてしまった。それでもなお、進もうと手を伸ばす。何かを求めるように。
「・・・誰か、助けて。お、願い・・・」
少女の言葉は、誰にも届かない。
────はずだった。
「・・・はぁ。まったく。こんなことになるとは、なぁ」
一人の少女が、目の前に立っていた。髪の色が茶色をしていて、ツインテールにしている少女。その名を──。
「──俺の名前は、紙代真希波だ。いや、今は違うか。今の名前は、雨野坂真希波だ」
彼女は言った。二つの名を。紙代と雨野坂。姓は違えど、名前は同じ。
「マ・・・、マキナ・・・?」
少女は、そう行った後、意識を喪った。
真希波は、少女に近づき、しゃがみ込む。
「・・・これは!
・・・まあ、当たりだったということで、助けてやりますか」
真希波は、少女を抱き抱え、歩き出した。
◇◇◇
「(んんっ・・・)」
ベッドに寝ていた少女が目を覚ました。彼女は昨日の夜中に真希波に助けられた少女である。しかし、昨日より小さくなっていた。少女というより幼女である。
「ここは・・・。どこなのでしょうか」
彼女は、辺りを見渡した。
そこは、人が住んでいるのかどうか怪しいほどの生活感がなく、真っ白い。壁も床もカーテンも、そして机なども白かった。
と、足音が聞こえてきた。それに対して構えをとる少女。
ガチャリとドアが開く。
「あ。目覚めた!よかったぁ」
入ってきたのは、真希波である。
「(?なにかおかしいです)」
それは正しかった。なにせ、
「(性格がちがいます)」
そう、性格が違うのだ。昨夜の真希波は、少し男っぽいしゃべり方をしていた。
「マキナさん、あなたは・・・」
「ちゃんとしゃべれるんだね!。それでなにー?」
「あの・・・猫被っているのですか?」
「おお!ストレート!」
真希波は、そう言って笑う。
「・・・なんでそう思ったの?」
「言葉遣いが違かったので」
「それだけ?」
「そうです」
「ふーん」
「(これは、図星のようですね)」
「少し違うけどね」
「違うんですか」
「はい。なぜならば──」
真希波は、目を閉じる。何かを考えるように。そして──。
「わたしは、元々、男ですから」
そう言い放った。
なんでここで切るんだよおおおおぉぉぉ!!
絶対、次更新するの遅くなるのに・・・