あっちの世界
こんばんにちは。
すみません…投稿ペースを上げてる分かなり文字数少なめです…。
お面って……、食事するの?
世にも奇妙なしゃべる仮面が第一言に発した言葉が、これまた世にも奇妙な発言だった。
……。
「何食べるの?」
意外にもアイナが言葉を切り返した。妹にしか興味がないと思っていたのだが…。
「冗談だよ冗談! わしがこんな成りで飯なんか食えるはずなかろうが!」
がっはっは、と右手に掴んであるお面は笑う。わかっていたことだが、いざ本人の口から言われると腹が立つシーニィだった。長年連れ添ってきたような気がするのだが、いつもこんな風だったのだろうか。今となってはわからない。
それよりもだ。
「それで、吟醸を顕現させたわけを聞こうかしら?」
言われるがままに呼び出してみたはいいが、なにせお面なのだからこれからやることは一つ。お面を付ける……のだろう。正直それ以外の使用方法が思いつかない。なぜなら、こいつをつけるときは(記憶がおぼろげなのでいくらかは推測だが)戦闘時、自分の能力を上げるために使うものだからだ。その視点から言えば、今ここで出して何になると遂思ってしまう。
「そりゃあ、お面なんだからつけてもらうんだよ?」
「でもこれの使い道、戦う時くらいよ?」
「これ扱いはちとあんまりじゃお嬢…」
何やら落ち込んだ声も聞こえた気がするが今は置いておき、話を続けることにしよう。
「じゃあいったい何のために…」
それを言われたレイリーは少し首を傾げた。
「そうだね、うーん…なんていえばいいかな~?」
どうも言葉が思い浮かばないらしい。
レイリーはすぐ後ろでもう一度抱き着こうとしていたアイナを見た。アイナはばれたことにビクッとしたあと、問われた疑問にしばし首をひねり。
「もと居た世界を見るため?」
それが、アイナが考えた末の言葉だった。
途端、疑問が浮かぶ。それは…。
「なんでこいつを被ったらあたしのもと居た世界が見れるの?」
この疑問に答えたのはレイリーだった。
「んー、当然そこだよね。そこなんだけどね。それは目下調査中だ。さっきも言ったけどハイルが今どこで何をしているのかわからないんだ。だから今僕らは必死にあいつを探している。君がこっちの世界に来たと知ったのは三日前だけど、君がこっちの世界に来ると知ったのはもうずっと昔の事なんだ。それもハイルから直接言いに来た。その時に、『君たちのところに来たら、彼女の持ってるお面を被らせてくれ』って言われたんだ。そこからあいつは消息不明さ」
なるほど、文字道理"神のみぞ知る"と言うわけだ。まあ自称神だが。
「はぁ、あいつの手のひらの上って言うのが気に入らないけどそれをやってみないと話は進まないってことね」
あの自称神が、自分を送り出すためにどれだけの仕込みをしたのかは知らないが、こっちからしてみれば迷惑な話だ。
「そう言う事、じゃあ早速グイッと」
レイリーがお酒みたいな進め方をしてきた。レイリーもいつも笑っていて表情が読めない。何を考えているのかわからないという点ではあの自称神と一緒か。
「わかってるわよ。よろしく吟醸、因みにあんたも何もわからない?」
「すまねえお嬢、わしもあの神さんの事はよく知らんのだ」
「そう、あんたの事はおぼろげだけど思い出してるからね、この世界でも長い付き合いになりそうね」
「……おう、旅は道ずれってなぁ」
一瞬の間は、吟醸も何かこれまでの事で思うことがあったのだろう。共に死線をくぐりぬいてきた戦友だ。それにシーニィ自身もこっちの世界では一番信用している。
シーニィが部屋の椅子に座り、吟醸を被った。
動かなくなる。おそらくもうあちらの世界を見ているのだろう。
今この部屋には、レイリーとアイナ、それとシーニィの身を守っている吟醸の三人しかいない。(吟醸を人としてカウントしたのはこの際触れないことにする)
長い沈黙が流れる。
レイリーは吟醸に向かって静かに口を開いた。
「長年連れ添ってきた人に、嘘をつくのは悲しいね」
「うるせえ…、黙ってろ小娘」
ご一読、ありがとうございました。




