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世界の歩き方  作者: 黄瀬 楓
ギルド抗争編
25/25

乱戦

前に投稿したのって何月だっけぇ……

~シーニィ・ブランシュ~


「エスカ、そっち行ったわよ」


「了解した」


 エスカは自分に襲い掛かる敵を、二本の矢を同時に放ち、二人同時に打ち倒す。

 だがエスカの方に向かっていったのは三人、もう一人はエスカに矢をつがえさせまいと詰め寄る。が、振り下ろした剣を交わされ、弓で頭を殴打される。そのまま床を転がって動かなくなった。


「ふん、あまり弓兵を舐めないことだな」


「あんた、弓の使い方間違ってるでしょ?」


「何を言う。弓はちゃんとした素材を使えば矢をつがえなくても戦えるんだぞ? 例えば……」


「あーハイハイ、わかったわかった」


 これ以上追及したらとんでもなく長い話になりそうだ。

 こうやって話している間にも敵を一人気絶させた。なんでこんなに敵がいるのかって? それはここが戦場だからだ。隙を見計らって一旦物陰に身を隠す。

 突然部屋に押しかけてきたホーリックとかいうもはや名前しか覚えていない奴らを丁寧に壁や天井から引っこ抜いた後、レイリーに『対ゲート部隊が集まるホールに向かってね』と言われ、ホールに来てみたまではよかったのだが。


「まさか、部隊のほとんどが敵に回るとわね」 


「ああ、それに部隊で連携が整っているうえに、個々の力も相当ときている。正直、一部隊はこちらの味方をしてくれて助かった」


 どうやら後の二部隊は、ラールガンと言う男の息のかかった連中らしく、あたしたちがホールに出てくるのを見ると、一斉に襲い掛かってきた。


「とにかく、俺とシーニィ、ロサとグオネスで連携して戦ってはいるが油断はできん」


 エスカは弓に矢をつがえ、あたしはこぶしを握る。


「ええ全く……、そのとおりね!」


 二人同時に飛び出し、狙ってきた敵を一人ずつ仕留める。だがエスカの方は詰めが甘かった。相手は最後の力で剣を突き刺そうとする。エスカが見切って避けようとするが、わずかに遅く、右の二の腕にかすってしまう。突き出した相手はそのまま気を失う。

 負傷し、よろけたエスカを狙って一人が襲い掛かる。だめだ、この距離ではまにあわない、となれば。


「宿りなさい、野雷(ぬのいかづち)!」


 両足に蒼い雷がほとばしり、あたしは一気に床をける。木がはじけ飛ぶ音がしたと同時に、エスカに剣を突きつけようとする敵をけり飛ばす。相手は叶s球で吹っ飛び、ギルドの石の壁を突き破った。

 周囲を見渡し、こちらに向かってくる敵はいないと判断し、その場にしゃがんでいるエスカに駆け寄る。


「エスカ、傷は?」


「心配ない、かすり傷だ」


 エスカはそういうが、実際は今も傷から鮮血が滴っている。


「あまり無理はできないわね」


「心配ない、こういう状況は何度か経験している。そんなやわな体じゃないさ」


 確かに、傷の割にはエスカはピンピンしている。もう無茶なことはできないだろうが、それでも普通には戦えそうだ。


「まったく、心強いわよ」


「こちらのセリフだ」



〜ロサ・エンハンブレ〜


「もう……面倒くさいなぁ…」


 襲い掛かってくる連中に取り敢えず突っ込んだ。後ろの方で「一人で動くな!」とかエスカが叫んでた気がするが、そんなことお構いなしに。

 手っ取り早く倒してスピード解決、というのが私のセオリーだ。面倒くさいから。

けれど今回は正直失敗したと思う。

 なぜなら、囲まれた。三人に。それが今の状況。

 そういえば、「力は君達と同等か、それ以上じゃないかな?」とか、あの団長が言ってたような気もする。


「ふん、誰かと思えば。身の程知らずにも突撃してきた小僧ではないか。……いや、小娘か?」


 こいつ……。問答無用で切り捨てる。

 私を小馬鹿にした正面のやつに横薙に鎌をふるう。

 ガキン! という音とともに、敵の剣に弾かれる弾かれる。


「ぐっ、無無駄に重量のある武器を振り回して!」


 そう、そしてお前は私の策にハマった。

 弾かれた力を利用して遠心力に変える。体ごと大鎌をブンブン回す。

 そのまま後ろにいた敵の前まで踏み込む。


「こいつ回ってるのに見えて……!」


 言葉を言い終わる前に大鎌で横殴って吹き飛ばす。

 大きな音を立てて壁に激突した。


「峰打ちよ、もう起きてこないでね」


 刃とは逆の方向で殴打したので死んではないはず、多分。打ちどころが悪くなければ。


「き、貴様! 我々に歯向かうことがどうゆうことか、わかっているのだろうな!」


 冷静さを失い、声を荒げているのは私を小僧呼ばわりいた奴、もう一人は後ろにいるはずだ。攻撃の機会を伺ってるんだろう。

 まぁ、そんなもの与えてやるほど甘くもないが


「うっ……近づけん」

 

 当たり前だ、私は大鎌を回すのをやめたわけではない。今も腕を使って体の周りをギュンギュン回転させている。


「くっ、おのれぇ!」


「バカ者、引け!」


「ぐはぁ!」


 えぇ…、後ろにいたやつが勝手に突撃してきて勝手に大鎌に当たって自滅した。


「貴様よくも!」


「いや今のは自滅しただけでしょ……」


 最後の一人が剣の切っ先をこちらに向けてくる。全くこっちは殺さないようにうまくやってるのに、相手ときたら斬りかかってくるわ刺しかかってくるわでもう擦り傷や切り傷が数か所で来てしまっている。

 あぁ、早くフリージアさんのところへ帰りたい。


「奴はまだまだ若輩者だ。対ゲート部隊の力、侮るなよ!」


「もう二人のされてるけどね」


 自分から突っ込む。大鎌は遠心力で威力が倍増している、一発でも当たれば吹っ飛んでいくだろう。

 そして、高速で回る大鎌の先端が最後の一人を捉えようとした瞬間。

 ガキン! という音と共に、大鎌は大きく弾かれる。

 いや、いなされた?


「いっ⁉」


 突如痛みが走り、その場から後ろに飛び戻る。

 痛い、どこが。

 

「……自分の血なんてみたの、いつぶりかしら」


 腹部から止めどなく血が溢れている。幸い傷は深くないようで意識は保てる。


「その盾どこから…………顕現魔法ね」


「ご明察、顕現魔法を用いた奇襲戦法と行ったところだ」


 なるほど、顕現魔法を使えたら真っ先に思いつく戦法だ。自分が得意としている戦法にまんまとやられたのか。


「そのおかしな武器の勢いもなくなった。ゆくぞ!」


 来た。目の前に一直線に飛び込んできた。咄嗟に大鎌を横に降る。

 が、また盾で流されて下に潜り込まれる。その速さと来たら鎧を着ているとは思わないくらい俊敏だ。


「くっ!」 


 切り上げを後ろにのけぞってかわす。顎に切っ先がかすりそうになる。

 後に二度三度ジャンプして距離を取る。それとさっきから腹の傷が痛む。この傷を庇いながらではとてもじゃないが戦えない。


「よそ見をしていていいのか」


 ハッとなって前を見る頃には、もう相手は剣を振り下げている途中だった。


「マティ・アラクネー!」


 目の前の敵の動きが遅くなり、剣の軌道を読む。

 ギリギリのところで回避する動きをする。

 が、ここでタイミングの悪いことに、腹の傷がズキズキと痛みだした。


(間に合わないかも)


 致命傷はなくとも、右肩にはかする。無慈悲にも刃が近づいてくる。仕方がないが、腹の傷がすごく恨めしい。


「はぁ!」

 

 マティ・アラクネーを解き、敵の威勢とともに肩が斬りつけられる。

 痛みに表情が歪むが、そのまま後ろにステップしてその場にしゃがみ込む。


「哀れだなぁ小娘。そろそろ刃を使ったらどうだ? 知っているぞその形、農具と言うやつだろう?」

 

「へぇ、触ったことも無さそうなのに知ってるのね」


「当たり前だ、私が管理している領地の農民共が毎日せっせと使っているのを見たことがある。ご苦労なことだ」


「はぁ、面倒くさいわね」


 正直、人を斬りつけるという行為はしたことがない。今までは獣か魔物相手だった為、ためらいなんて一つもなかった。

 もう一度言うが、人を斬りつける行為をしたことがないし、したくもない。

 けれども、目の前の身の程知らずに刃を向けるのは、さっきの言葉で十分だった。


「いいわ、見せてあげる。あなたの言う農具の戦い方を。絶対に殺さない自身はないから」


 大鎌を正しく握り直す。足の幅を広げる。足に力を溜める。

 大丈夫、要は獣を狩るのと同じ容量だ。ただ殺さないように手加減をすればいいだけと、自分に言い聞かせる。 


自惚(うぬぼ)れるなよ、小娘!」


 盾を前に構えて突撃してくる。まずはその邪魔な縦を取り払う。

 二回使うのはしんどいが、仕方がない。


「マティ・アラクネー」


 敵の動きが遅く見え始めたところで走り出す。

 敵と上下で交差するようにジャンプ。大鎌の先端を盾に引っ掛け、そのまま大鎌を引く。

 着地と同時に剥ぎ取られた盾はガシャンと音を立てて床に落ちる。

 流石にしんどいので、ここでマティ・アラクネーを止める。

 どっと疲れがやってくる。


「小娘ー!」


 盾を取られどうにかなってしまった男は、剣を振りかざして来る。冷静さを失った故か、ただただ振り下ろすだけの、貧弱な攻撃に見えた。

 何度も何度も剣を降ってくるが、私がやっていることと言えば、何度も何度も大鎌でいなしたりかわしたりするだけ。


「クソガキがぁぁぁ‼」


 とうとう嫌気が差したのか、片手で剣を振り下ろしてきた。

 潮時だと思った。剣をはじき、後ろに回り込んで首に大鎌を引っ掛けた。


「ンヒッ!」


 先程までペラペラ喋っていた口は、なんとも滑稽な悲鳴を上げた。


「お高く止まった喋り方をしてたけど、さっきのクソガキって言うのが本音か。この大鎌はあなたの思っている使い方と一緒。引っ掛けて引く、それで刈るのが草か、命かってだけ」


「よ、よせ小娘、人殺しなんて安易にやる者ではない! そうだ金をやろう! いくらだ、望む額を用意しよう! 金なんていくらでも領民から巻き上げればいい!」 

 

 こいつは人を怒らせる才能があるらしい。 


「やっぱりあなた、死んだほうがいいかもね」


「やっやめ!」


 腕を引いた、鮮血が宙に舞った




 



ご一読ありがとうございました。m(__)m

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