進まない話
あれ?今年になっていくつ投稿したっけ?
「言ってしまえば、君達の入団手続きは余興だったりするんだよね」
レイリーは何やらおおきな筒を取り出す。丸めた紙のようだ。その紙をデスクの上に広げる。紙はデスクいっぱいまで広がっていてそこそこ大きい。
広げ終わるとレイリーがちょいちょいと手招きをしてくるので、4人で顔を合わせた後ソファを立ち上がりデスクに近づく。
見ると、真新しい大きな紙には地図が載ってあった。デスクいっぱいの大きさのため、かなり細かく書かれている。ふと、地図の端にあった大きな文字をみつけた。フリージアから習った読み方からすれば確か――。
「アマ……デトワール?」
「そうだよシーニィ、よく読めたねまだこっちに来て間もないのに」
レイリーに上から目線で来られると、小さい子からなめられてる気がしてちょっとイラッとするな。
「アマ・デトワール、僕達が立ってるこの大陸の名前だよ。因みに僕達がいる国はここ、ラグフォール王国だ」
レイリーが指を指すのは逆三角のような形をした大陸の下の角。それくらいならフリージアに覚えとくようにと言われていた。
「へ〜、こんなのあるのね。で、なんでこの地図を出してきたの?」
「それはだね、今ここに居ないユキノとソラノに関係することだよ。あとティナ自分の方に話が振られないからって寝ちゃだめだよ〜」
「ふにゃ? ……ひっ、その怖い顔でこっち見ないでごめんなさい〜‼」
否定しつつも間髪入れずに謝るのか。だが今のレイリーの顔っていつものイラッとくるぐらいの笑顔で……あー、なんとなくわかった。こいつおそらく怒るときも笑顔のろくでもないタイプだ。
「ロサ、あんたも起きないとああなるわよ?」
「私、……寝てない」
目をこすりながら言われても説得力ないんだが、と言うか本当に16歳か?
「それじゃあ順を追って話すけど、さっきも言った通り、今僕たちがいるのが大陸南端の国[ラグフォール王国]。そして、北東の端にある国が[皇国ノア]。北西にあるのが[メイビス帝国]。この三つの国をきっちり三等分してる山脈があるんだけど、その山脈の名前が[セフィーボランド山脈]、そしてユキノとソラノがいるのもこのセフィーボランド山脈だ」
逆三角形のそれぞれ角に位置する国々。それを分割する山脈。あれ、そういえばあたしってどの辺に転移したんだろうか。
「言っておくけど、シーニィがこっちの世界に来た時は、この地図のどこでもない別の大陸だったんだよ」
こいつ人の考えを読めたりする変態なのだろうか?
「あんたって変態なの?」
「僕の言った言葉にその返事はおかしくないかい?」
ピタリと崩れない笑顔から、案外まともな返事が来てびっくりした。
「まあちょっと変なとこあるよね~、レイリーってさ」
「ティナ?」
「いや、その、だからその笑顔止めてってば!」
楽し気に言い放った言葉が裏目に出たティナ。それにしてもちょくちょくレイリーを怒らせるんだな。
「レイリーは……変態じゃない……か、可愛い……だけ」
「うん、とりあえず姉さんはなんでそこで照れるの? とりあえず話続けたいから黙ってようか」
レイリーの言う通り顔をポッと赤らめている。実の妹にその態度って、ひょっとして……いや、ひょっとしなくても危ない奴だな、鎖振り回してたし。
「君たち連携して僕の話を止めに来てないかな?」
「気のせいよ。早く続けて」
「う〜ん、何か納得行かないけど、まぁいいか。話を続けるね」
サラッと言ったレイリーだが、実際ちょっとイラッてしてるだろうな。
「ユキノとアイナが居るセフィーボランド山脈なんだけど、実はゲートが開いちゃってさ〜」
……ん? 今結構重要な事を言わなかっただろうか?
「目下、ゲートから出てきた対象を捜索中、ユキノとソラノを偵察に向かわせて、可能なら保護。必要なら……ギルド[アート]は総力を挙げて、これを殲滅する」
レイリーが「殲滅」と言う言葉を口にした途端、ティナとアイナの纏う雰囲気が変わった。具体的に言うと、闘志または殺意のようなものがヒシヒシと感じられた。
そうか、今まで開いて来たゲートから出てきたのは、何も有効的なやつだけじゃ無かったって言う事だ。となれば、レイリー達三人は少なからずそういう事をして来たんだろう。
「一つ質問……えっと」
「団長か、レイリーって呼んでよ。こっちはなって呼べばいいかな、エンハンブレさん?」
「いきなりロサって言ったら気に食わなかったけど、エンハンブレも呼ばれなれてないからロサでいい、団長さん」
そうか、レイリーはこの三人には初対面だったな。初対面の相手にも、ロサは発言からしていつも通りだ。
「そう? じゃあお言葉に甘えて。それでロサ、さっきの質問は?」
「ゲートってそんなにパって開くものなの?」
あのロサがすごく至極真っ当な質問をしてるって言ったら、たぶん怒るんだろうな。
「それがパって開いちゃうんだよね~。座標は大体わかるんだけど、開いた後だからそこからは地道に探さなきゃいけなくてね~。シーニィの時も、君たちがシーニィに出会ってなかったらまだ見つかってないだろうし」
今の時点で見つかってないなら、あたしはどこかで野垂れ死んでいそうだ。
「で、でぃも……!」
急に声を張り出したのはグオネスだった。緊張のあまりか、額から汗がにじみ出ている。
そしてやってしまった。この場の全員が察してるだろう。
グオネスは噛んだ。
「ふふっ……」
「え、あんたが笑うの?」
笑ったのはアイナ。そっぽを向いて笑い顔は見えなかったが確かに笑い声はした。今のを笑ったなら、グオネスのダメージ(主に心)は計り知れないだろうな。
「えっと……、なかなか進まないね。話」
こっちはこっちで、団長様はイラつかれているご様子で。
ご一読ありがとうございました。




