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女勇者:真美子  作者: コクテン8
1女勇者への道
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8 初めてのキスと仕事の依頼

今日も、私とテツさんは、”魔虫の巣”ダンジョンに入っていった。


今日は本命の、中層から下層に生息する”タマタマ虹色大玉虫”を狩るためなの。

そう、高額で売れる魔物よ。


転移ゲート魔法陣で私とテツさんは、中層まで一気に降りた。


ちなみに私のレベルはLV176まで上がってたの。昨日テツさんと一緒だったから自分よりレベルの高い魔物を倒したせいね。


「それじゃ真美子、またこの中層の階から真美子のレベルアップをしながら降りるよ。」

「はい。テツさん。」


と言って私はテツさんについて行く。

ダンジョンは中層になると壁の周りに薄く光る苔が生えているわ。でもまだこの明るさじゃ、ライトの魔法が必要なの。

ライトを2つ点けながら2人はダンジョンを進んでいく。


・・・・・・・・・


2人で魔物を倒しながら進んでいくと、通路の奥で黒光のする物体がライトに照らし出される。

それは、す早い動きで左右に動き回っていた。


私は、背筋がゾッとした。


あれに似てる。そう台所にいる奴に!


そう、あのおぞましい姿の害虫よ。


テツさんは私の前に出る。


「長触覚大ゴキブリーチLV201前後、3匹来るぞ!」 

「はい。」


2人は戦闘体制に入る。


触覚が長い大きなゴキブリがガサガサとこっちに凄いスピードで向かってきた。


「ひぃー!」


私は逃げてしまった。そしてダンジョンの壁でうずくまった。

だってゴキブリよ。生理的にダメ。


動けない私の前でテツさんが戦う。


ズシュールルンンン!


ズバーン!


と、テツさんが無詠唱で風の攻撃魔法を撃って一匹を粉砕。エアスクリューって魔法よ。2匹目は、剣で真っ二つに切り裂いた。


残るは1匹。


あろうことかその長触覚大ゴキブリーチは、飛んで天井に張り付いていた。


そして長触覚大ゴキブリーチは、触覚で攻撃してきた。


ブン!


長触覚が私に迫る。


バキーン!


とテツさんが、いつの間にか私の前に立ち、長触覚を払ってくれた。


ズシュールルンンン!


とテツさんはエアスクリューで粉砕!

と思ったら、長触覚大ゴキブリーチの白い体液が飛び散って降ってきたの。そう、天井に奴がいたから。


『ああ、汚れちゃう。』


と頭を押さえたんだけど何も降ってこなかった。

辺りを見ると、テツさんと私の周りだけ円形に綺麗なままだった。


「大丈夫?真美子。」


とテツさんは手を差し伸べてくれた。

私はその手を取って言った。


「は、はい。ごめんなさい。」

「ゴキブリが嫌いだったかな?」

「うん。」


としょぼくれてる私を見てテツさんが少し考えていた。


「それじゃ、町に戻ろうか?」

「え?だってそれじゃ、お金が稼げないわよ。」

「次から別のダンジョンにしよう。とりあえず帰ろうよ。真美子。」


とニッコリテツさんは微笑んでくれた。

でも、私は自分がなんか情けなくてしょんぼりしてしまったの。


テツさんは黙って私の手を引き、ダンジョンを進んだ。

何匹か魔物を倒して、中層の転移ゲート魔法陣で2人は町に帰った。




そして宿屋に着いた。まだ午後1時ごろ。

テツさんは帰りに、途中の売店で買ったサンドイッチを私に渡してこう言った。


「ちょっとダンジョンに忘れ物した。行ってくる。夜遅くなるから気にしないで待ってて。」


とその後、私を抱きしめた。


「あっ。」


テツさんが何を言ったか、私はよく考えることも出来ずにテツさんの腕の中で赤くなっていた。

そしてテツさんは、いきなりキスしてきた。


「んんっ!」


唇が触れ合う。何だかぼーっとする。


あ、舌が入ってきた。やだもう、キス、初めてなのに。


と思いつつ、私も舌を絡める。ちょっと生くさい?


でもだんだん臭いもしなくなったわ。


テツさんの舌が、私の舌の裏とか表とかねっとりと動く。


「はぁ、ん。」


舌の絡まる感触がなんともいえなくて、私はテツさんに抱きよる。


ああ、このままされちゃうのかな?


思っていたら、テツさんは唇を離し、私を見つめる。


そして、手を軽く振って転移してしまった。


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・


取り残された私は宿屋の部屋で反省をしていた。


・・・・ああ、ダメだな私。


大きなゴキブリ嫌だわ。


でも、テツさんがいなかったら死んでたわ。


もっと強くならなきゃ。


やっぱり、テツさん凄い、それに優しい。


いつの間にか、私、テツさんにメロメロみたい。


最初はただのおじさんと思っていたけど結構体格もいいし。そんなに年をかんじさせない。30代くらいよね?


マイラさんという人も、あの戦ってる大きな背中見たのかしら?惚れちゃうわよね。


・・・・・・・


とテツさんを待っていたのだけど一向に帰ってこないの。


どうしよう。ダンジョンで何かあったのかな?


でも、あの強さのテツさんがどうにかなるとは思えないし。


・・・・そういえば夜遅くなるって言ってたような。


あのキスって、大人しく待ってろて意味なのかな?


・・・・・・・


・・・・・・・


とりあえず、私はサンドイッチを食べたわ。


・・・・・・・


たぶん1人で戦ってるのね。私足手まといなんだわ。


・・・・・・・


私は無意識に、部屋の中をウロウロし始めた。


・・・・・・・


もう、心配させて!


・・・・・・・


・・・・・・・


そして3時過ぎたころ、ドアがノックされた。


コンコン!


テツさんかしら?


「どなたですか?」

「伊集院愛美です。仕事の依頼で来ました。」


愛美さんか、でも仕事の依頼?そんなの初めてだわ。


「はい。」


と私はドアを少し開けた。


そこには愛美さんと城の従者と思われる方が立っていた。


「お邪魔してもよろしいかしら?」

「え、えーと、ここで話すというのは駄目ですか?」

「あ、そうね。わたくし一人だけ入るので安心してくださる。」

「え、ええそれなら。」


と愛美さんだけ入ってきた。


愛美さんは、魔法騎士育成学園の制服を着ている。

その制服でもスタイルがいいのが一目でわかる。しかも美人。うらやましい。

愛美さんの縦ロールの髪が揺れる度、シャンプーのい匂いがした。


私はお茶を入れテーブルに置く。


「あら、ありがとう。真美子さん。」

「いいえ、それで、仕事って一体なんですか?」

「ええ、1週間後に魔法騎士育成学園の2年生女子クラスが、2つ隣の領地にある温泉宿へ実地訓練を兼ねた旅行にいくのだけれど。その護衛をテツさんにお願いしたいと思いまして。」


それって、別にテツさんじゃなくてもいいと思うわ。


「護衛ですか?それなら国の騎士団がいるじゃないの?」

「騎士団は国の防衛で動かせないわ。それに2カ月前の魔族の襲撃で、人員が不足しているのよ。」


確かにそうね。でも、この間テツさんをパーティに誘っていたから、その勧誘も兼ねているわ、きっと。


「そうね。でも今、私とテツさんで組んでいるから、テツさんは貸せないわ。」


そうここは、はっきり断らなくちゃ、テツさんに悪い虫がつかない様に。


「・・・・真美子さんとテツさんでパーティ組んでいるってことですよね。どんな仕事をしているのかしら?あと、テツさんとはどういったご関係ですの?」


うわ、関係まで聞いてきた。どうしよう。テツさんとは結婚するハズよね。そうよ、言っちゃおう。


「ええと、仕事はダンジョンなどで魔物を狩っています。テツさんとは夫婦の間柄です。まだ正式には籍を入れてないけど・・・・」

「それなら、今回の報酬が沢山出せるから、金銭的に問題ないと思うわ。あと、夫婦だったの?真美子の身元引受人かと思いましたわ。」


どうも愛美さんは、私たちが不定期で細々と魔物を狩って生計を立てていると思っているようね。・・・その通りだけど。

あと、身元引受人ってなによ。失礼しちゃう。


「いいえ、実は私が魔法騎士育成学園に入学する為の資金とその後の学費を稼いでいるので、高価な素材をもつ魔物を狩っているんです。今夫が、狩りに行っているんですよ。」


と夫と強調して私は言ったの。

愛美さんは少し考え込んで言った。


「そう、それでは、魔法騎士育成学園に入学する為の資金とその後の学費が何とか出来るので、護衛の仕事考えてくださるかしら?」


確かにそれは魅力的だけど。女子クラスの護衛よね、なんかテツさんが他の子に目移りしたら嫌だわ。


「そ、それは、自分で稼ぐからいいです。」

「あら?いい条件だし、断る理屈が分かりませんけど?」

「・・・・・・・」


た、確かにそうなのだけどね。


「それでは、魔法通信機を置いて行きますので、テツさんが来たら連絡をくださいませんか?」

「え、でも私は断るつもりです。」

「わたくしはテツさんの意見を聞いてないのだけれど。正式に籍を入れていない貴女の判断で断れる事かしら?」

「ぐっ。わかったわ。」


そして、愛美さんが帰っていった。



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