58 竜の娘 1
私とテツさんは、”勇者試練のダンジョン”でレベル上げをしながら、冒険者ギルドの依頼の連絡を待っていたの。
その依頼内容は”竜族人に竜の国の入国案内を頼みたい”よ。
ようやく連絡があったわ。
私とテツさんは、冒険ギルドへ向かったわ。
冒険ギルドの個室では、冒険者で竜族人の娘ラライナLV1791が待っていたの。
竜族人だけあってむき出しの腕や足には竜の鱗があったわ。でも、とってもチャーミングな子よ。
背丈は150センチくらいの高校1年生って印象よ。胸はちょっとないけれどドンマイ。まだ大きくなるわよ。
青いセミロングの髪に髪飾り絵を付けているわ。飾りの綺麗な宝刀も持っているの。
ラライナは、その依頼をある条件で受けてくれると言ってきたのよ。
その条件は、”竜の国で無理やり結婚させられそうだから強い男を探してる。その強い男を好きだと言って結婚を断る。”だそうよ。
「それでラライナさん。その強い男の方の条件は、強いだけでいいの?」
「いいや、出来ればワタシの本当の夫になる強いイケメンがいい。」
実は夫探しなの?それに、竜族人のイケメン基準が分からないわ。
「竜族人のイケメンねえ、難しいわね。」
「いや、人族でいい。竜族人は人とも子をなせる。だって、竜族人の男はキスするとき顔の鱗が痛い。」
へえ、この世界の竜族人と人族って子どもが生まれるんだ。それにキスするとき痛いって、竜族人の男は顔にも鱗があるのね。でも、ラライナの顔には鱗はないわ。
「人族で強いイケメンって、ラライナさんはどんな人が好みなの?」
「中央国家の勇者の吹雪裕也が好み。」
私とテツさんは顔を見合わせたわ。
困ったときのイケメン裕也ね。最近大活躍よ。
私はテツさんに小声で話した。
「ねえ、テツさん。裕也さん、ラライナに紹介できないかしら?」
「俺もそう思ってたところだ。」
「じゃあ、師匠のテツさんが連絡してね。」
「ああ、わかった。」
とこそこそして話していると、
「真美子さんだったけ。駄目なら帰るよ。」
「あ、ごめんなさい。」
「そうそう、ごめん。ラライナさん。実は俺たち、吹雪裕也と知り合いなんだ。」
「本当か、おっさん。」
「ぐっ、おっさんじゃなくて”テツ”だ。」
まだ気にしてるのね。
「あ、テツさん。」
「で、吹雪裕也と連絡とるから会ってみるか?」
「もちろん!」
「それじゃ、準備できたら連絡するから連絡先教えてくれ。」
「はい、これが、魔法通信機の番号だよ。」
「ほい、それじゃこれがこちらの番号だ。」
とお互いの番号を交換してメモしたわ。
「ねえねえ、テツさん、裕也ってどんな洋服が好みなの?」
「裸かな?」
それは、テツさんの好みよ。
「なに馬鹿言ってるのテツさん。ラライナさん、白いワンピースがいいわよ。あと、その鱗が隠れる長い手袋も必要かも。」
そう、男の人は清純な服装を好むのよ。たぶん。
「あ、鱗ならほら、消せるんだよ。普段はいつ戦闘があるか分からないから出してるだけだよ。」
見ると、ラライナの手と足からは鱗が消えて、見た目は普通の女の子になっていたの。
私とテツさんはそれを見て「へえ。」「おお、綺麗な肌だ。」と言ったわ。
これならチャーミングな子だからきっと裕也さんも気に入るかもね。
でもヤリチンだけど、大丈夫かしら?
「ところで、ラライナさんは、吹雪裕也に女がいても大丈夫?」
「え、女がいるのか?」
「ええ、ちょっと、でも特定の子はいるかどうかわからないわ。」
「それなら、奪うまでよ。」
あら、凄い肉食ね。
「それじゃ、女がいてもいいのね。」
「いいよ。強い男なら、女がいて当然だよ。」
なるほど、やっぱりそう言う考えなのね。この世界の女性は。ミミやアンもそうだったわね。
これで、ヤリチンを紹介しても気が咎めないわ。
◇
数日後、テツさんが連絡して吹雪裕也を連れてきたわ。
吹雪裕也には、この仕事の事を話してあるの。
強力出来そうなら、協力するって言ってたわ。
そして今、中央国家のある喫茶店にいるの。
ラライナは、私が言って通り。白のフリルが可愛いワンピースよ。
喫茶店のテーブルで、お見合いみたい感じでにしたわ。
私とテツさんは、隣のテーブルで大人しくしていたのよ。
「は、始めまして、アタシはラライナ。」
「はじめまして、オレは吹雪裕也。」
「ア、アタシ強い男を探しているんだ。なあ、裕也さん。アタシの婿のならないか?」
ちょっとラライナ、ストレートすぎるわよ。私も人のこと言えないけど。
「え、でも、オレたち会ったばかりですよ。」
「アタシは、魔族を撃退した裕也のことは知っているんだ。武闘大会の時から知っているんだ。婿がダメならまず付き合わないか?」
「ごめんオレには、最近好きな子が出来ちゃったんだ。」
な、裕也、そんな子で来たのね。ヤリチンだと思ってたけど。はっきり断るんだ。
って、ダメじゃない。うまく、結婚相手を追っ払うだけって言う方向に持っていかないと。
「なっ!その子と勝負させろ。」
「駄目だよ。か弱い女の子なんだから。それに勝負してどうするの?ラライナさん。」
「力で勝って、裕也を手に入れる。これ自然の法則。」
もうだめね。止めましょう。
「2人ともストップ。」
「なんだよ。真美子さん、今いいところなんだ!裕也との会話に割って入るなよ。」
いいところじゃないでしょ、ラライナじゃその裕也の女の子殺しちゃうわよ。
そうね、女子力とか使っちゃいましょう。
「ラライナさん、裕也さんは女性が傷つくのを嫌がります。勝負も傷つく方法じゃなくて、女子力で勝負してください。」
「女子力だって?なにそれ。」
「料理をおいしく作るとか。どれだけ彼氏をお世話出来るかとか。夜の運動のテクニックを持っているかとかです。」
「真美子さん、夜の運動のテクニックは女子力じゃないのではないですか?」
「そうそう、裕也の言う通り、真美子、夜の運動のテクニックは女子力じゃないと思うぞ。」
「そ、そうなの?」
あれ、恥ずかしいわ。もしかしてエロエロだと思われちゃったの?私。
私は恥ずかしくて、黙ってしまったわ。
「ラライナさん、とにかく真美子の言う通り、女の子が力づくはいかん。」
「テツさんそれじゃどうすればいいいんだよ。」
「まず。デートして惚れさせなさい。」
「デート、わかった。」
「裕也。デートくらいはいいかな?」
「ええ、デートくらいなら、アイーナも許してくれます。心が広いんですよ。師匠。」
「なん、だと。そのアイーナさんそんなに心が広いのか!」
「はい、一夫多妻もOKなんですよ。でも、もう6人もいるので、家計がちょっと。」
「うらやましいぞ。いてっ。」
私はテツさんの腕を抓っておいたわ。
まったく、男って、みんな一夫多妻が好きなのかしら。
この世界ではテツさんにそんなことさせないわ。
ということで、ラライナと裕也がデートになったわ。
◇
デートの次の日、裕也はテツさんに相談に来たの。
「師匠。ラライナさんの件なんですけど・・・・・」
と話し始めたわ。内容は以下の通りよ。
①ラライナの婿のなって欲しい。
②国に帰ったら、親が連れてきた結婚相手ダーダラーガと戦って倒してほしい。
③ダーダラーガはLV2306、龍神変化もできる。
④国に婿に行ったら帰って来れない。
だそうよ。
「師匠、助けて下さいよ。LV2306で、龍神変化なんて殺されます。」
「確かに裕也がLV1711じゃ殺されるな。魔獣合体はどうした?」
「あれは、LV1500くらいまでしか契約してません。もう魔獣合体は使わない方が強いです。オレもう守りたいものがあるんです。死にたくないです。」
「そうか。わかった。俺の方から断っておくよ。」
「ありがとうございます。師匠。」
と裕也は帰ってしまった。
何か丸くなっちゃったわね。もっと昔は強い敵にも向かっていったのに。
まあ、仕方ないわね。もう彼女がいるからね。
「テツさん、ところで”龍神変化”って何?」
「”龍神変化”は竜人神の体を再現して変身して、その力を得ることだよ。全ての力が跳ね上がるんだよ。」
「そうするよ、LV2306がどのくらいになるの?」
「そうだな、LV2900~LV3453には成るかな。その個体の能力にもよるから、もしかしたらそれを超えるかもしれないけど。」
「それじゃ、私の妖精合体でも勝てないわよ。」
「そうだな。」
「でもテツさんなら勝てるよね。」
「わからない。」
「テツさんレベルいくつよ。」
「LV3898だ。」
「それなら勝てるじゃない。」
「1対1ならな。」
「そ、そうね。」
そうね、1対1とは限らないわね。敵地で戦う事になるから。
テツさん、そう言うところは慎重ね。
◇
次に日、ラライナを呼んで、裕也が戦うのが無理で勝てないということを話したら、結構簡単に納得してくれたのよ。
弱虫は御免だそうよ。
それで、テツさんが代理で、ダーダラーガと戦う事になったんだけど、テツさんは、3ケ月間レベル上げしてから竜の国に行くと言い出したわ。
たぶんテツさん、レベルを馬鹿みたく上げる気だわ。
ラライナもテツさんは代理だからということで、納得してくれたわ。また,竜の国に向かう前にテツさんを実力をみるそうよ。
まあ、テツさんのレベルをラライナは見てないので、あまり当てにしていないみたい。
また、竜族人は長寿なので、3か月くらい待つのは、どうってことないみたい。
それに、ラライナは、その待っている3ケ月間、強い男を探すって言ってたわ。
ということで、テツさんは”勇者試練のダンジョン”でレベル上げていたの。
ちなみに私も半日はテツさんにレベル上げさせられたのよ。




