52 グリーンダイヤモンド
次の日も朝早くから、私とアクラレオン王子そして、数人の王子の付き人は洞窟を土魔法で掘って固めて行った。
まだまだ先が長いわ。
土を魔法で掘る度に、私はすごい脱力感を心に抱く。
そして、もうあれから24時間、急がないとまずいわね。
私は少し焦って土を掘った。
すると天井が崩れてきた。
私は頭がテツさんで一杯だったので、避けるのが遅れてしまったの。
しかし。そこにアクラレオン王子が助けてくれたわ。
気が付くと、私はアクラレオン王子にお姫様抱っこされていた。
あ、顔が近い。いい匂いがする。ハーブの匂いかな?
アクラレオン王子って、妹思いで昨日も一緒に手伝ってくれたんだわ。
でも、妹は諦めるって言ったのにどうしてここまで手伝ってくれるのかな?
私はちょっと、アクラレオン王子を、見つめてしまった。
あ、それより、テツさんよ。早く掘り出さないと。
「大丈夫ですか。真美子さん。」
「は、はい。」
◇
しばらく掘ったら、ようやくあの開けた空間の入り口に出たわ。しかし、あの開けた空間はひどいもので土砂で埋まっていたのよ。
それを見た私の目じりには、涙が溜まってしまったわ。アクラレオン王子はそんな私を見てハンカチを渡してくれたの。
「真美子さん。もう少し頑張りましょう。」
「はい。アクラレオン王子。」
私は、アクラレオン王子に元気づけられ、辺りを慎重に掘り返したわ。
しかし、もう魔力切れ、私とアクラレオン王子は、一旦昼食を取って小休止し、MPポーションを飲んで回復しようと言ったの。
非常食を出しながら私は思ったわ。このままテツさんが死んでしまったら、どうなっちゃうんだろう。
たぶん、生きる目的もなくなっちゃう。
このまま魔王を倒しても。もうテツさんは・・・・、そうか、神様に生き返らせてもらえばってダメよ。テツさんは神様から逃げてる身だし。
と考えていると
「真美子さん、あまり気を落とさないでください。もしもの時は、ボクが真美子さんを一生支えていきますから。」
「え?」
「ボクは、依頼者なのであんな事になった責任もあります。それに、貴女のその一生懸命なところにも心打たれました。もしよかったらこの国で暮らしませんか?私がテツさんの分の生活費その他、全て出します。」
えっと、責任を感じてるのよね。プロポーズに聞こえるのは私の聞き違いよね。でも本当にテツさんが死んでしまって、アクラレオン王子に今後の生活の面倒を見てもらうとなると、なんかどうにかなっちゃいそうだわ。
っと、いけないわ。まだ、テツさん死んでないもの。
◇
作業を再会しようとした時、魔法通信機が鳴り響いた。
ハルバカンからだったわ。
アクラレオン王子が出て話をしたの。
私は隣でアクラレオン王子の話を聞いていたわ。
「ハルバカン!もう一度行ってくれ、地下だからよく聞き取れないんだ。」
「え?本当なのか?」
アクラレオン王子は目を見開いて興奮しているの。どうしたのかしら?
「それで、アリアエルは何処に?」
アリアエル姫?水晶に閉じ込められた姫よね?
ま、まさかテツさんが?テツさんが生きてるの?
「こっちに向かってくる?わかった。」
アクラレオン王子は私に向き直って言ったわ。
「真美子さん!テツさんは生きています。そして、アリアエルを助け出したそうです。」
「本当に?」
「はい。本当です。洞窟の出口に今、向かってると言っていました。」
テツさん生きてたのね。良かったわ。また会える。
私の目じりは涙で一杯になったけど、さっきと違って悲しくはないわ。
「早く、ここから出て、2人に会いましょう、アクラレオン王子!」
「ええ、そうだよ。真美子さん、行こう。」
私とアクラレオン王子は、作業を中止して洞窟の出口に向かった。
さっきまで考えてた、いろいろな不安や考えはもう、私からキレイに無くなっていたの。
◇
洞窟の出口に、私とアクラレオン王子は着いた。
そしてら、金髪の幼女エルフがいきなりアクラレオン王子に抱き付いたのよ。
「お兄ちゃん!」
「本当に、アリアエルなんだな!」
この子がアリアエル姫なのね。
「ええ、テツさんって方に助けてもらったの。」
「アリアエル!」
と兄妹で涙を流して抱き合ったの。
そうすると、テツさんはどこ?
私は辺りを見回し始めた。
あ、あそこだ。
私はテツさんを見つけて走った。
テツさんもこっちに走ってきた。
そして2人は抱き合った。
「テツさん!」
「真美子!」
「良かったわ。無事だったんだ。」
「心配かけたな。」
テツさんを見たら、私が抱き付いたところが、泥で真っ黒くなっていたわ。
見ると、私は泥だらけだった。顔も服も泥だらけ。
また、目じりには涙が溜まって流れ出していた。鼻水も。
テツさんも全体的に薄汚れている、たぶん色々あったのね。
でも、帰って来てくれた。
「真美子、里に帰って風呂を借りよう、体中泥だらけだから、それにほら、これで顔を拭いて。」
とテツさんは言いながら、ハンカチを出した。
そうね、泥だらけじゃロマンチックじゃないわ。
「うん。」
私はそのハンカチで顔を拭き鼻をかんだ。
それより、テツさん今迄どうしていたのかな?
「ところでテツさん、今迄どうしてたの?魔棘大亀は?」
「魔棘大亀を倒した後、ちょっと土砂に埋まってて気を失ってたんだよ。」
そうすると一晩中よね。
「一晩中なの?」
「そうだ、一晩中。そして起きてすぐ転移して、アリアエル姫をハルバカンと一緒に水晶から出したんだ。」
え?その時、連絡出来たんじゃない?
「何でもっと早く連絡してくれなかったの?」
「いやあ、ハルバカンが連絡したものと勘違いしていたんだ。遅れてすまん。」
そうだったのね。仕方がないわ。
「もう、心配したんだから。」
私は、またテツさんに抱きよったの。
テツさんも私を抱きしめてくれたわ。
キスが欲しいけどちょっと泥だらけ。無理ね。
「真美子、それじゃ帰ろう。」
「はい。テツさん。」
テツさんが私の手を握った。
私はにこりと笑って、テツさんの手をぎゅっと掴んだ。
今日は、離さないんだから。
そして手をつないだままエルフの里に帰った。
◇
次の日
アクラレオン王子と長老から大量のグリーンダイアモンドと多額の報酬、そして、エルフの里の英雄として風の精霊の加護が付いた腕輪をもらったわ。
私とテツさんはもらい過ぎだと言って、金銭報酬の半分を返したわ。
そのあと、アクラレオン王子と長老はアリアエルに今まで話せなかった分長い時間話していたのよ。
3人ともニコニコしているわ。




