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女勇者:真美子  作者: コクテン8
2人造聖剣
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51 魔棘大亀

次の日の朝早く、私とテツさんは、エルミアルさんに連れられてエルフの里に入ったわ。


エルミアルさんには転移ゲート魔法陣で、色々と半結界付きエリアとか回らせられてから着いたので、この里の場所が良くわからないわ。かなり用心深いのね。


それで、エルフの長老とかエルフの王子とかに挨拶をして、魔棘大亀のいる洞窟に出発したの。

エルフの王子とその従者が案内してくれるそうよ。


エルフの王子はアクラレオンLV1398、その従者はハルバカンLV1471どちらも男性よ。

2人ともイケメンね。やっぱりエルフは美男美女なのかしら?

そして、魔水晶に捕らわれてるエルフの姫はアリアエルLV1381よ。アクラレオンの妹なの。


洞窟の入り口に着いたわ。

森の中の丘の下に、ぽっかり口が空いていたの。入り口は、3人横1列になって通れるくらい広かったわ。


テツさんは念のためと言って、転移ゲート魔法陣を近くに作った。


そして、入り口でテツさんがハルバカンと話を始めた。


「ここがその、魔棘大亀のいる洞窟です。テツ殿。」

「ハルバカンさん、中には他に魔物は出るんですか?」

「出るかもしれませんが、前回の魔棘大亀のとき、全て、洞窟内の魔物を倒してしまったので出る確率は少ないです。」

「それと、中の道は一本道ですか?」

「いいえ、少し、細く分かれているところもあるので、案内します。」

「それじゃお願いするよ。さあ、真美子、行こう。」

「はい。テツさん。」


そして、魔法で”ライト”を灯し、ハルバカンの後をテツさんと私、そして、アクラレオン王子の順で洞窟の中に入っていった。


洞窟の中は、かなり湿っていて、地面が緩かったの。

地面が滑るので、途中から飛行魔法に切り替えて全員進んだわ。


そして、奥のかなり開けた空間に出たの。そこは足首位に水が溜まっていて、開けた空間すべてに水が広がっていたのよ。

周りには光を出すコケや草があって、うっすらと照らす明かりで、その開けた空間空間の全体の広さを識別できるの。大きさは大きい大学のグランドくらいあったわ。

その開けた空間の右端に岩みたいなものがあってその上の水晶みたいなものが光を反射していたの。その水晶の周りには棘みたいなものもあるわ。


「あれです。あれが、魔棘大亀です。」


とハルバカンが、私が見ていた水晶と棘を指さしたわ。なるほど、私が見ていたものが魔棘大亀だったのね。

そのハルバカンの声と同時に、魔棘大亀が動き出し、こちらに向かって来たわ。


「アリアエル。」


と今まで無口だった、アクラレオン王子が呟いた。

”ライト”に照らされたその顔は、いまにも飛び出しそうなのを堪えている感じだった。


「ハルバカンさん、それでは、打ち合わせ通り、あの水晶を背中から剥して倒せばいいんだよな。」

「はいそうです。テツ殿。」

「よし、行ってくる。」


とテツさんは、飛行魔法で魔棘大亀に向かった。

私とアクラレオン王子は、空中に浮かんだまま、氷の魔法で、ここから魔棘大亀の周りまでの足元の水を凍らせた。


ピシーン!


と、ここから魔棘大亀の周りまでの水が全て凍った。そして魔棘大亀は動きが止まった。


氷の魔法を使用したのは、周りに影響が少ない魔法を選んだのよ。

今回はダンジョンではないので、自然修復が無く周りを壊してしまうと元に戻らないの。


だから、放出系の魔法だと洞窟にダメージを与えてしまうのから、崩れて生き埋めになってしまうわ。


また、前回魔棘大亀を大勢で取り囲んだ時に、魔棘大亀は高密度の電気壁を周りに発生させたので、みんなかなりの被害にあったそうよ。

だから、今回はテツさん一人で攻撃してみる事になったの。


そして、テツさんが、魔棘大亀に近づくと魔棘大亀はその棘を伸ばして攻撃してきた。


シユーン!

キーン!


とテツさんは、剣でその棘を受け滑らせながら、飛んで魔棘大亀に近づく。

魔棘大亀は高密度の電気壁を周りに発生させた。


『あぶない!』と思ったけど、テツさんは難なくその高密度の電気壁を切り裂き無効化させた。

そしてテツさんは、魔棘大亀の棘をすべて切り取り、その背中に乗ってアリアエルの水晶を引っ張ったわ。


しかし、テツさんが魔棘大亀に乗ってアリアエルの水晶を引っ張ったら、魔棘大亀は甲羅から黒い渦の様なものを出したの。

更にそれとは別に、魔棘大亀は電気と炎の渦を、辺りかまわず発生させたわ。


私とアクラレオン王子、ハルバカンは、それを魔法防壁で防いだの。


しかし今度は天井が崩れてきたわ。


「みんな地上へ逃げろ!俺は転移で帰る!」


とテツさんの声が、開けた空間に響いた。

直後に私とテツさんの間の天井が崩れてしまった。


「てつさん!」


と私は叫び、前に出たけど、辺りには炎の渦が迫ってきたわ。


「駄目です。」


とハルバカンは私の腕を引っ張った。


「放してテツさんが!」

「テツ殿なら転移の魔法があります。逃げましょう。作戦失敗時の取り決めです。」


と言われて仕方が無く。私はハルバカンとアクラレオン王子と共に奥の通路まで戻ったの。

そうしたら、更に炎と電気が辺り一面に発生して、その開けた空間は天井が崩れてすべて埋まってしまったわ。


「テツさん!」


と私は言いながら呆然と立っていると、


「真美子さん戻りましょう。テツ殿なら転移で地上に戻っているかもしれません。」


とハルバカンが言った。

よく見ると、アクラレオン王子も崩れた空間を悔しそうな顔で見つめていた。


私は、そのアクラレオン王子の顔を見て冷静さを取り戻したわ。


そうよね。テツさんもさっき言ってたし。転移で地上に戻っているわよ。

それに今回は、アリアエル姫が救えなかったかもしれないから、アクラレオン王子の方が無念なのよ。

ここは作戦通り、テツさんが待っている地上に戻りましょう。


そして、3人は地上に戻った。

しかし、テツさんはいなかった。


その直後、地面が揺れ洞窟の中が崩れる音がした。


嫌な感じがしたわ。


「真美子さん、テツ殿が居ないので一旦長老の家まで帰りましょう。もしかしたらテツ殿は、転移で戻っているかもしれません。」


とハルバカンに言われ、3人は長老に家に向かった。



3人は長老の家に戻ったが、やはり、テツさんは戻っていなかった。


「そんな!テツさん!」


私は覇者の剣ⅠAで連絡が取れることを思い出して、テツさんに連絡を取ってみたけど反応が無かったの。


それで私は洞窟に戻ろうとしたけど、アクラレオン王子に腕を掴まれ引き止められたわ。


「真美子さん、今洞窟に入っては駄目だ。崩れて落ち着くのを待とう。」

「何言ってるのよ。テツさんが死んじゃうじゃない!」

「しかし、今行っても真美子さんが、埋まってしまうよ。」

「でも行くわ。放して。」


しかし、アクラレオン王子は腕を掴んだまま離さない。

私は、振りほどこうとしたら、


「真美子さん、ボクも手伝います。魔法で洞窟を掘り、固めて地下の空間まで道を作りましょう。」

「え、魔法で?」

「ええ、土魔法で埋まった場所を掘り直しましょう。」


考えもしなかったけど、それなら、私は埋まらないでテツさんが埋まっている場所にたどり着けそうだわ。

早くたどり着ければテツさんなら生きてるわよ。


「王子、それでは魔力がいくらあっても足りません。」

「ハルバカン、みんなに手伝ってもらえれば出来るよ。」

「しかし、王子、それではもしもの時に対応が出来ません。」

「それなら、ボクと真美子さんでやるよ、今行けば、もし魔棘大亀が生きていても、テツさんが付けてくれたダメージがあるから、アリアエルの仇が取れる。」

「分かりました、王子。」


そうなのね。アクラレオン王子は、妹の仇を取りたいのね。そうよ。私だけ辛いんじゃないわ。

王子と一緒に、仇を打ちましょう。




私とアクラレオン王子そして、数人の王子の付き人は洞窟を土魔法で掘って固めていったの。

結構中腹まで埋まっちゃって、まだまだ先が長いのよ。でも、他に方法が無いし。


作業が続いてしばらくすると、私の頭には”テツさんが埋まってしまって動かない”妄想が頭をよぎるの。

もう、精神的にどうにかなっちゃいそうよ。


魔法時計で17時、日が暮れる頃、数人の王子の付き人は魔力切れになって、一旦帰ったわ。


それでも、私とアクラレオン王子は、魔力が続く限り掘り続けたのよ。


ハルバカンは魔物が来ない様に入り口で護衛をしているわ。


そして、私とアクラレオン王子も魔力切れで作業を中断したの。


少し私が地面に座って休んでいると、アクラレオン王子が話してきた。


「真美子さん、今回は非常に申し訳なく思っています。」

「いえ、アクラレオン王子のせいじゃないわ。」

「でも、今後の真美子さんの人生を考えると、ボクはどう償えばいいか分からないです。」

「アクラレオン王子だって妹さんが、まだじゃない。」

「アリアエルは、もう諦めかけています。水晶に閉じ込められたものが生きて帰った事例なんかありません。」


そうよね、テツさんならもしかしてお姫様を水晶から出してくれるかなって感じだけど、水晶に閉じ込められた状態じゃもう出て来られても命は無いかも。


それより、テツさんよ。


生き埋めの状態で、テツさんはあと何日持つの?

確か昔見たTVで、生き埋めの人が3日後とか5日後とか生還したのを見たわ。


希望を持ちましょう。


今は、魔力が無いから無理だけど、早く寝て魔力回復させなくちゃ。


「とりあえず、里にもどって休みましょう。アクラレオン王子。私は諦めてないわ。」

「ええ、そうですね。」


洞窟から外に出るともう辺りは真っ暗だったの。魔法時計では20時だったわ。


その後里に帰り、私はエルミアルさんの家に泊めてもらったの。かなり泥だらけだったから、洋服も借りたわ。



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