49 吹雪裕也 2
今日からまたテツさんの付き添いで、レベル上げが出来るわ。やっぱり安心感が違うわよね。
そして、テツさんと一緒に愛美の家に転移で迎えに行ったの。
「あ、テツ様、どうしたのですか?」
「今日からまた復帰してサポートに入ります。愛美さん、よろしくお願いします。」
「はい、喜んで!」
と愛美は、しばらく見せなかった笑顔で答えたのよ。
そして、私と愛美とテツさんは”勇者試練のダンジョン”に向かったわ。
だけど、”勇者試練のダンジョン”の入り口には、吹雪裕也が立っていたの。
あ、今日は真正面から来たわ。
「こんにちわ。ダンジョンに入ろうとしたら。知った方が来るみたいなんで、挨拶する為に待ってました。」
「おお、いつぞやの少年、たしか裕也だったけ?」
「ええ、そうです。魔族との戦いの時と路地裏では、お世話になりました。」
「そう言えば、裕也、最近真美子にプロポーズしたんだってな。」
え、テツさん、直球で言っちゃうの?
「ええ、でもフラれましたよ。」
「そうか。そうだよな、真美子は俺にべた惚れだからな。」
「テツさん、別にべた惚れじゃないんだからね。」
と私は訂正を入れたわ。
愛美は私を見てにやけたわ。
「ところで、真美子さんの強さは分かるんですが、何故その強い真美子さんが、テツさんに惚れているのかわかりません。何か能力でも使っているんですか?」
何言ってるの、テツさんを挑発しないでよ。
「ほう、俺が、真美子を何かの能力で惚れさせていると言うのか?」
「ええ、確かにテツさんの転移はオレと同じこの世界の転移じゃない高等なものです。けど、テツさんが戦ったところは見てません。前回は真美子さんが戦いました。魔族相手に自分は戦わず、女性を戦わせるなんて正気とは思えません。」
「あれには、理由がある。」
「理由ね。そもそも俺には、若い女性がおじさんに惚れるのを理解できません。」
マズいわ。テツさん拳を握りしめ始めちゃったわよ。
「ちょっと、裕也さん、テツさんをそれ以上挑発しないで。私がテツさんを好きなのは、自然に好きになったんだから。」
と私は声を張り上げて吹雪裕也に言ったのよ。
「えっと、もしかして、テツさんてオレより強いのか?」
「ええ、私の数倍は強いの、だからもう言わないで、出来たらあやまって。ケガさせたくないわ。」
そうよ、なんだかんだ言って、吹雪裕也は私を気遣ってくれたもの。
「それじゃ、その実力を見せてもらおうか、おっさん!」
「真美子ちょっとどいてくれ。」
「ちょっと、テツさん昨日乱暴しないでって言ったじゃない。」
「真美子さん、いいですからどいてください、オレもう後に引けないから。おっさん、こっちに来いよ。」
「ああ、いいぜ。」
と吹雪裕也は左の広い場所を指さし歩いて行った。
テツさんもそれについて行った。
もう私は止められなかった。
愛美は2人を見守っていた。
◇
テツさんと吹雪裕也は、10メートルくらい離れて向き合った。
「いくぜ!おっさん!」
といって、吹雪裕也は転移で消えた。
気が付くとテツさんの頭上で吹雪裕也が剣を振るった。
シュン!
そこにはテツさんはいなかった。
そして、吹雪裕也が空中でクの字で曲がってそのまま地面に落ちた。
テツさんは、その隣に立っていた。
吹雪裕也は痙攣している。
マズいんじゃないの?
私は愛美と共に、吹雪裕也のいる場所へ駆け寄った。
「テツさん、やり過ぎよ。」
「手加減したんだ。怒るなよ真美子。」
「テツ様、凄かったですわ。」
私は、回復の指輪で回復魔法を掛けた。
吹雪裕也の体が光りだす。
痙攣は治ったものの、「げほげほっ!」とむせ返っている。
回復魔法の効きが悪いわ。何かテツさんがやったとしか思えないわ。
「テツさんこれ、回復魔法が効かないわよ、何をやったのよ。」
「しばらくすれば治るよ。」
「しばらくって?」
「数時間」
それじゃこのまま苦しんでるの?
「今すぐ治してよ。」
「わかったよ。」
とテツさんが、吹雪裕也に手を当てたら、良くなっていった。
「大丈夫なの?」
「解呪したから大丈夫だ。」
解呪ってなによ。それ?
「テツ様、何をしたのですか?」
「えーっと、打撃と呪詛を撃ち込んだ。」
「なるほどですわ。だから回復魔法が効かなかったんですわね。だからこの場合、解呪が必要なのですね」
「おお、愛美さんさすがだ。」
「テツさん。さすがじゃないでしょ。まったく、裕也さん殺す気ですか。」
「殺さないで、苦しみを与えただけだよ。真美子。」
「確かにそれなら殺してないけど、酷いわよそれ。」
そこにフラフラと、吹雪裕也がやって来た。
「裕也さんまだ、痛む?」
「あ、だ、大丈夫です。真美子さん。」
「少年これに懲りたら、おじさんをおじさんと呼ばないことだ。」
何言ってるのよテツさんは、おじさんがそんなに嫌なの。
「オレの負けです。もう、おじさんて言いません。」
「分かればいい。」
あれ?私の取り合いじゃなかったの?おじさんの問題だったの?
「テツさん、よろしければレベルを見せてもらえないでしょうか?」
「何でだ?」
「今後、俺が超えなければならないレベルだからです。」
ちょっと、また挑発しないでよね。
「ほう、まだそんな口が利けるのか。」
「ええ、生かしておくとオレは強くなります。怖いなら今のうちですよ、殺すのは。」
「なかなか口が回るな。いいだろう。見せてやるオレのレベルを。」
といって、テツさんは認識阻害の指輪を取った。一部認識阻害は付けてるようだけどね。
「な、馬鹿な!四大魔将軍レベルだって!」「凄いですわ。」「テツさんまたレベル増やしてる。」
テツさんのレベルは、LV3882だった。
「少年、勇者なら、もっとレベルを上げろ。魔王は俺よりも強いぞ。」
「テツさん、きっとまた挑戦します。」
「ああ、待ってるよ。」
「さようなら。みなさん。」
と言って、吹雪裕也は転移で消えてしまった。
「さあ、真美子、愛美さん、ダンジョンに入りますよ。」
「はい。テツ様。」「はいテツさん。」




