4 私をめぐって2人と1人の男性が争う
コンコン!
と私は、テツさんのいる宿の部屋のドアを叩いた。
「空いてるよ。」
「真美子です。入ります。」
と私は、ドアを開けて入った。
そこには半裸のテツさんがいた。
私はついテツさんの体を上から下に目線を走らせてしまったの。
ハッ!駄目よはしたない。
「やだ!服着てよ!」
と私言ってドアを閉めたわ。
・・・・・・
少したって、
「ごめんごめん。そんなにうぶだとは思わなかったんだ。」
とテツさんは服を着て出てきた。
私は少し怒った口調で、
「テツさん、今日は、クエストしますか、それとも町を案内しますか?」
と言ったら
「町の案内を頼むよ。」
と言ってきたので、2人で町を歩くことになったの。
◇
私はテツさんに町の中を紹介しながら、2人で色々歩いたの。
まるでデートみたい。私はスキップでもしそうな気分だったわ。
そして、お昼にレストランに行った。
お店は大通りに面していて、窓も大きく明るい店内なの。テーブルの周りには植木鉢のお花も飾ってあるのよ。
私とテツさんは、窓際の席に案内された。
入って食事をしていたら、見知った顔のグループが入ってきたの。
「あ!」
と私は、見たくない人物ばかりなので、反射的に顔を伏せてしまったわ。
窓際だったので、見つかってしまったのかしら?
「どうしたの?真美子さん。」
「し!ちょっと会いたくない人が来たのよ。」
「・・・・わかった。」
とやり過ごそうと思っていたら、そのグループが寄ってきたのよ。
「こりゃ、真美子じゃねえか!めずらしいな、男嫌いのお前が男と一緒とはね。」
とヤンキー面の男が言った。この男は間藤真紀羅、元クラスメイトの不良よ。
「まあ、そう言うなよ。真美子のパーティは真美子以外、昨日全滅したんだぜ。そりゃ男にでも頼るわ。」
とイケメンの男が言った。イケメンの男の腕には、両腕とも女性がぶら下がっている。このイケメンは、元クラスメイトの荻原光。
そう、この2人が頭でパーティを組んでいて、イケメンと強さに寄ってきた、元クラスの女性と5~6名のハーレムが成り立っているの。
私や私たちのパーティの子も誘われていたんだけど断り続けていたわ。だって、幾ら強くても、乱暴なヤリチンなんてお断りよ。
それに、真偽眼目的で私の場合誘われているようだし。
「今お昼を取っているので、お引き取り下さい。」
と私は丁重に言ったはずなんだけど。
「なんだ!お高く留まりやがって、表に出ろや。あま!」
「まあまあ、間藤さんここは紳士的に行きましょう。真美子さんパーティが無くなってしまって、お困りでしょう。俺たちのパーティに、入りませんか?そこのおっさんよりは、いい思いさせてあげるから。」
なんかマズいわ。いつもは4人いたから何とかなったんだけど、私一人じゃ・・・・ってテツさんもいるじゃない。でもテツさんに頼っていいものかどうか?
と私が悩んでいると、テツさんが割って話し始めた。
「キミたち、俺と真美子はここで食事をしているんだ。後にしてくれないか?」
「なんだ!おっさん!黙っていればいいものを、俺たちを知らないのか?」
「そうそうおっさんは黙ってね。どうせ、お金でも積んで真美子さんを誘惑したんだろ。」
まずいわね。いくらテツさんでも、この2人相手じゃ。私鑑定できないけど、この2人確かLV200とかよね。
「ちっちっ!ちがうな!若いの!真美子は俺にべた惚れなんだ!もう俺無しじゃ生きていけないいんだぜ!」
とテツさんはとんでもないことを言い出した。
何よ!まだキスだってしたことないじゃない。
と私は、顔が熱くなっているのを感じたの。
その私の反応を見た2人は、
「な!おっさん!てめー!やりやがったのか!あの絶対貞操帯破ったのかよ。表に出ろや!」
「う、なんてことだ!おっさん!もう紳士的とか無しだ!殺ってやる。表に来い!」
と2人とも切れてしまった。
「ああ、いいだろう。」
とテツさんが言った。
・・・・・私、そのエッチな事、何もされてないんだけど・・・・・・
そして、3人はレストランの表に出て行ってしまった。
私は『ハッ!』とした。マズい2人ががりじゃいくらテツさんでも。
と私も追いかけて外に出ようとしたら、もう戦いが始まっていた。
◇
荻原光がテツさんに向かって攻撃魔法”フレアアロー”を放つ。
同時に間藤真紀羅は”ストーンニードル”を放つ。
ゴォーンン!ドュルーンン!
バババババッバ!
テツさんは、魔法防壁でこれを防いだ。
その魔法防壁で硬直しているテツさんに間藤真紀羅は斬馬刀を振るう。
ダザン!
テツさんは、ギリギリで横に躱す。
その躱した先に荻原光がロングソードで切りかかった。
シュン!
テツさんに当たったかと思ったら、テツさんはもうその場に居なく、荻原光と間藤真紀羅の後ろに立っていた。
あの時と同じだ。そう、ゴブリンナイトの時と。
「げぼ!」「ごぼ!」
そして2人は、反吐を吐いて倒れた。
胸と腹が異様にへこんでいた。
「誰か回復魔法ができるやつ!こいつらのパーティに居ないか?」
とテツさんは大きな声で言った。
「「はい。」」
元クラスの女性2名が名乗り出て、恐る恐るテツさんに近寄った。
「そいつらを治療してやれ。そして伝えろ。”俺の女に手を出すな!”と」
「「はい」」
と元クラスの女性2名は怯えながら、荻原光と間藤真紀羅の近くに行き、回復魔法を掛けていた。
私はテツさんに目がくぎ付けだったわ。
あんなに強いとは思わなかったし、
それに”俺の女に手を出すな!”だって!
もう夢にも見ちゃうわ。
と私がテツさんを見つめていると、テツさんが近寄ってきた。
「真美子さん、さ、早く行きましょう。面倒にならないうちに。」
と私の手を引いて、その場を2人で去ったの。