48 ブラックダイアモンド
次の日。
いつものように愛美の家に転移で迎えに行くと、そこには吹雪裕也がいたわ。
愛美と言い合いをしているの。良く見ると吹雪裕也はバラの花束を持っているわ。
「愛美さんどうしたの?」
「あ、真美子さん。実は、・・」「真美子さん。あのこれ、オレの気持ちです。」
と愛美が返事をする途中で、吹雪裕也がバラの花束を差し出したわ。
赤いバラの花束。ああ、これ憧れだったのよ。すごく綺麗。テツさんなんか、私に花束なんかくれた事無いのよ。
一瞬トリップしてしまったけど、迷惑だわ。花束なんて持って帰れないもの。
「ごめんなさい。」
「そうですか。すみません。真美子さん、また来ます。」
と吹雪裕也は転移で帰ってしまった。
諦めるの早いわね。あ、でもまた来るって言ってたような。
「真美子さん、ごめんなさい。やり過ぎだから帰ってもらおうと思って言っていたの。」
「そうみたいね。大丈夫よ。愛美さんのせいじゃないから。」
「ありがとう。真美子さん、あと、この件でテツさんを私から遠ざけないでね。」
「それも、わかってるわ。」
「本当に?」
「ええ。」
そして、私と愛美さんは”勇者試練のダンジョン”に向かった。
その日もテツさんはボロボロで疲れていたので、私はまた、吹雪裕也のことを話せなかった。
◇
更に次の日。
いつものように愛美の家に転移で迎えに行った。
今日は、吹雪裕也は来てないみたいね。諦めたのかしら?
そして、私と愛美さんは”勇者試練のダンジョン”に向かった。
昨日と同じ道を進んでいたら、私と愛美さんは罠にかかって、魔法封じの落とし穴に落ちてしまったわ。
でもおかしいの。罠の位置が昨日の位置と違っていたのよ。
中から出てくる魔物は倒したけど、何故か出られなかったの。
普通は魔物を倒すと出れるんだけど。
そこに吹雪裕也が現れて助けてくれたわ。
何故か罠がすぐ解除されたの。
「ありがとう、裕也さん。」「ありがとうございます。」
「いや、当然の事をしたまでです。真美子さん。これからどちらへ?」
「え、まだ、レベル上げに行く途中です。」
「オレも一緒に行っていいですか?」
助けてくれたのに断るのはちょっと気まずいわ。
「どうする、愛美さん。」
「私は別に、かまいませんわよ。」
「分かったわ。裕也さん、今日だけよ。」
「ありがとう、真美子さん。」
それで今日は、私と愛美と吹雪裕也でレベル上げに行ったわ。
3人が同時に行ける、一番レベルの高い階に移動したの。
吹雪裕也が先頭で、私が左、愛美が右よ。
この階はセラミックゴーレムが出てくるの。セラミックゴーレムは体に魔法処理がなされていて、魔法を反射するのよ。また、武器を持っているタイプもいるわ。
そして、セラミックゴーレムが4体現れた。
セラミックゴーレムは、4体ともセラミックの短剣と盾を持っていた。なにか魔法の文字がその短剣と盾に浮かんでいる。
セラミックゴーレム1体が後ろに控えていて、他のセラミックゴーレム3体が襲ってきた。
吹雪裕也は、瞬歩で近づき、中央の1対に剣を振るう。
シュン!
ガキ!
シュッ!
セラミックゴーレムは盾で受けて、短剣を突き出す。
吹雪裕也はそれを、体を捻り避ける。
あのセラミックゴーレム、隙が無い防御と攻撃だわ。剣が短剣だから戻りも早いの。
私は、左のセラミックゴーレムに近づき、私の覇者の剣Ⅲを受けさせたと同時に足払いを仕掛けた。
ザン!
ガン!
ズン!
どさ!
セラミックゴーレムは転んで床に仰向けになった。私は、覇者の剣Ⅲに注ぐ魔力を倍にして、そのセラミックゴーレムの核の部分が埋まっている胸の部分を切り裂いた。
ザン!
セラミックゴーレムは、核を失ってバラバラになった。
愛美は右のゴーレムと戦っているわ。
愛美はレベルが上がって結構スピードが付き、私より早くなったの。だから、カスリもさせないわ。
そして、剣の連続突きで少しづつ、セラミックゴーレムにダメージを与えている。そろそろセラミックゴーレムの腕がもげそうね。大丈夫そうだわ。
吹雪裕也はいつの間にか”光の剣”をセラミックゴーレムに数本突き刺していた。そして動きの止まったセラミックゴーレムを、剣で切った。セラミックゴーレムは核を切り裂かれ、バラバラになった。
後の1体を倒そうと私は前に出たの。
そのセラミックゴーレムは、アイスアローを放ってきたわ。
私は覇者の剣Ⅲでにアイスアローを切り裂きながら前に進む。
シュン!シュン!
ガ!
ばきゃ!
私は、セラミックゴーレムに燕返しを放ち、切り返しで、胸にある核を切り裂いた。
セラミックゴーレムはバラバラになった。
愛美の方を見るとセラミックゴーレムを倒し終わっていたわ。
愛美も吹雪裕也も強かった。特に吹雪裕也は結構”光の剣”の使い方が上手いわね。私じゃあんな風に上手に使えないわ。
その後も、出現した、ゴーレムなどを倒して3人は進んだ。
進んだ通路の横に部屋があったので、私達は入った。
そこには宝箱があった。
慎重にトラップを確認しながら、吹雪裕也は宝箱をあけた。
中には、アイテムの指輪が入っていたが、宝箱を開けた時、辺り一面にあった石のブロックの隙間から、粘液性の物体が大量に染み出てきたの。
その粘液物体は人型に変わっていったわ。この宝を守るスライムのガーディアだったの。
私と愛美はうかつにも、その粘液から出た触手に足を取られてしまい。動きを封じられてしまったわ。
私の足に触手が這い上がってくる。
これB級エッチ漫画で良く出てくるシーンよね。
私は足に風の渦をイメージしてスライムの触手を吹き飛ばそうとしたら、それより早く吹雪裕也が私を抱き上げ、飛行魔法で宙に浮いていたの。お姫様抱っこされちゃったわ。
吹雪裕也からいい匂いがするわ。ミントの香りね。香水でも付けてるのかしら。
私はお姫様抱っこされながら、吹雪裕也の顔を見たの。真剣な顔だったわ。イケメンだし、昔だったら惚れちゃいそう。ちょっとドキドキするわ。
そして吹雪裕也は、そのまま愛美の所に行った。
「愛美さん、俺の足につかまれ!」
「はいですわ。」
と愛美は吹雪裕也の足をつかんだ。そして、吹雪裕也は飛行魔法で愛美さんを引っ張り上げ、触手を引きちぎり氷の魔法を放った。
ブリザードが部屋全体に吹き荒れる。
ブウウウウウウウ!
そして、スライムのガーディアンは氷漬けになった。
吹雪裕也は、私と愛美を降ろし、スライムの核を”光の剣”で壊した。
「ありがとう、裕也さん。」「ありがとうごさいますわ。」
と私と愛美は吹雪裕也にお礼を言ったのよ。
吹雪裕也は少し照れていたわ。
この後も、何度か吹雪裕也に助けてもらっちゃったわ。本当は自力で脱出で来たり、自力で切り抜けられたり出来るケースだったけど。
こんな風にクラスの女子達を、転移の後に助ければモテたのにね。
私達はレベル上げを終えて、それぞれ帰ったわ。
今日は、吹雪裕也は一緒にいたけど、私に特に”好き”とか言わなかったわ。
その日もテツさんはボロボロで疲れて帰ってきたので、私は着替えを手伝うだけで、特に吹雪裕也のことは言わなかったの。
◇
また次の日。
いつものように愛美の家に転移で迎えに行き、私と愛美は”勇者試練のダンジョン”に向かった。
今日は罠の位置は動いてなかったわ。法則性があるのかしら。
そして、戦闘をしていたら、吹雪裕也が後ろから声を掛けてきたの。
「真美子さん。奇遇ですね。今日も一緒にレベル上げどうですか?」
えっと、どうしよう。昨日特に変なことも言ってこなかったし大丈夫かな?とりあえず愛美に振ろう。
「どうしましょうか?愛美さん。」
「私は別に、かまいませんわよ。」
「じゃあ、今日もいいですよ。」
「ありがとう。真美子さん、愛美さん。」
それで、今日も、私と愛美と吹雪裕也でレベル上げに行ったわ。
また、何度か吹雪裕也に助けてもらっちゃったの。もちろん、自力で何とかできるケースだったけど。
やっぱり、私を気にかけてくれているのね。ちょっとキュンときちゃった。
そして私達は、レベル上げを終えて、それぞれ帰ったわ。
今日も、吹雪裕也は、私に特に何も言わなかったわ。
また、テツさんはボロボロで疲れて帰ってきたわ、最近テツさんは疲れていて話をしてくれないの。私は今日も吹雪裕也のことは特に言わなかったわ。
◇
そして次の日。
愛美の家に転移で迎えに行き、私と愛美は”勇者試練のダンジョン”に向かった。
罠の位置は動いて無かったわ。
そして、戦闘をしていたら、また吹雪裕也に会ったの。
「真美子さん。今日も一緒にレベル上げどうですか?」
えっと、なんか吹雪裕也と遭遇率高いわ。まさか付けて来てるとか?
でも戦闘時に助けられたのは事実だし。
とりあえず愛美に振ろう。
「どうしましょうか?」
「かまいませんわよ。」
「今日もいいですよ。」
「ありがとう。真美子さん、愛美さん。」
それで、また、私と愛美と吹雪裕也でレベル上げに行ったの。
またまた、何度か吹雪裕也に助けてもらっちゃったわ。これも、自力で何とかできるケースだったけど。
なんか、ちょっと過剰反応ね。
そして私達は、レベル上げを終えて帰ったの。
吹雪裕也は、私に変なことは言わなかったわ。
でも今日で3回目よね。もし、私達の後を付けて来てたんだったら、ちょっと嫌ね。
◇
その夜、またテツさんはボロボロで疲れて帰ってきたんだけど、凄い笑顔で言ったわ。
「真美子やったぞ。ほらこれ。」
そして、黒い石の塊を10個以上、テーブルの上にザラザラっと、置いたのよ。
それは、黒色のダイヤの原石達だった。テツさんが少しダイヤ同士でこすったところが、綺麗に輝いていたわ。
ブラックダイアモンドだったの。
「これ、本物?」
「そう、本物だ。」
「じゃあ、明日からまた、テツさんも”勇者試練のダンジョン”に来てくれるのね。」
「ああ、そうだが、何かあったのか?」
「ええ、実は・・・・・・」
と私はやっと、吹雪裕也のことをテツさんに話したの。
テツさんは、明日あったら話をつけるって言ってくれたわ。
一応助けてもらったりしたから、乱暴はしないでと言ったら、テツさん拗ねちゃったわ。ちょっとうれしい。




