24 魔法騎士育成学園 魔族来襲 3
今時間は午後4時55分くらい、こんなに時間が長いと感じたのは初めてだわ。
「愛美さん、テツさんとは連絡付きませんか?」
「ええ、先ほどから魔法通信機で掛けているのだけれど。まったく反応が無いのよ。」
くっ、テツさん早く来ないと、愛しい妻の私が死んじゃうよ。まだ結婚してないけど。
・・・・・・
そして、午後5時5分になった。やはりテツさんとは連絡が付かなかった。
◇
魔族ガラナスLV1226
がっしりした体格で、白銀に輝く鎧を着ている。腰には魔剣が2本あり、どちらもロングソードの長さ。さっきの魔族アーグとは違い、胸元がきちんと閉められている。短髪黒髪で瞳は黄金色で渋めのイケメンね。肌の色は少し濃い茶色よ。
対する私は、LV499、さっき挌上を倒したので2つ上がったわ。でも魔族ガラナスとは2倍以上のレベル差なの。
使えるアイテムは”疲れず連続して7分動けるアイテム”、”上級魔法防壁が1度だけ張れるアイテム”が4個くらいね。
剣に関しては、覇者の剣と”光の剣”があるからなんとか対等になるかな。っていうかこれじゃ勝てないわよ。
「それじゃ女勇者始めるぞ。」
マズいわよね。降参ってしちゃ駄目かな。
「えっと、降参したッ場合はどうなります?」
「さっき言った通り、人間の仲間から、生娘の生贄を10人差し出してもらう。」
そうね。国に恩なんてなかったわ。生娘は国に任せましょう。
「それは、国に任せますが、ここにいる、私達はどうなります?」
「そこの前回の魔族殺しは見せしめに殺す。その3人の男は男だから殺す。お前は、俺の部下を殺したから殺す。まあ、我の女になるなら考えてもいいがな。」
えっと、どのみち殺されるんじゃない。この魔族の女になるのも嫌だし。
そうだ、ここはテツさんが居ることをアピールして時間を稼いでみよう。
私は、愛美さんに目で合図を送った。これでテツさんに連絡を入れてくれるはずよ、
「分かったわ。でも私を殺すと私のダーリンが貴方を殺しに行くわ。」
「は?我を殺すだと。そいつは魔族か?」
「人間よ。」
「人間の中に中級魔族を殺せる奴なんて、ここ100年間見たことが無い。」
「そう、それじゃ100年ぶりね。」
「嘘じゃないのか?ここから逃げるための。」
「そう思うんなら嘘だと思えば。」
「わかった。半殺しにしてそいつをおびき出してやる。」
ち、ちょっと、挑発し過ぎたかしら。
「ちょっとまって、いまダーリンには私が魔法通信機で連絡とるから。」
「うるさい。行くぞ!」
魔族ガラナスは、左手を私に向けた。
5本の指先が光る。
キラ!
パーアアンン!
5本の指先から光の光線が私に走る。
私はアイテムで上級魔法防壁を作りこれを防いだ。
バンバンバンバンバンン!
上級魔法防壁が所々歪んでいた。指に小さく収束しているから高密度で威力が大きいんだわ。
魔族ガラナスは魔剣を2本抜いて切り込んできた。
速い、瞬歩を使って左手の魔剣で上級魔法防壁を切り裂き、右手の魔剣で袈裟切りしてきた。
ザン!ザン!
ガキュイーンン!
私は覇者の剣でこれを受け流す。しかし、左手の魔剣が私に迫る。
私は”光の剣”を出してこれを受けるが、腕ごと弾かれ手が上がる。私の胴体の防御ががら空きになる。
シュンシュンシュン!
と魔族ガラナスは私の体にまとっている防具を切り裂く。
私の防具が切り刻まれ地面に落ちる。派手な割には、少しの切り傷しかない。だけど、胸が片方あらわになってしまった。しかし隠してる余裕はない。
「ほう。あまり大きくないが良い乳だな。どうだ、我の物になれば生かしておくが。」
な、大きくないとか失礼ね。でも、何で服だけ切られてるの?もしかして、
「も、もしかしてワザと手加減して防具と服を切ったの?」
「そうだが、それがなにか?そもそも女勇者よ。お前では我に勝てんわ。」
「くっ!」
しかしどうしよう!遠目だけど、胸を3人の男子に見られちゃってるし、もちろんこの変態魔族にも。
もうやだ、テツさん助けてよ。
「さてもう少し剥いでみるか!」
「へ、変態魔族!」
「ほらほらほらほら!」
ギん!ガン!バギャン!ガキン!
くっ、遊ばれてるわ。
シュンシュンシュン!
あ、服が!ああ、もうダメ!
と思ったら、周囲に風の渦が発生し始めた。
「むっ!」
と言って、魔族ガラナスは、バックステップで距離を取った。
私の側にはいつの間にかテツさんが立っていた。
そして、ボロボロのマントを掛けてくれた。
「何奴!」
「それはこっちのセリフだ。真美子をひん剥きやがって!もう殺す。」
「は?人間風情がいきがると・」
シュン!
すぱん!
と魔族ガラナスに首が飛んだ。
テツさんは、いつの間にか魔族ガラナスの後ろにいた。
ぶしゅー!
どすん!
と魔族ガラナスの体が地面に倒れた。
そして、テツさんは私の所に戻って来て、私を抱き上げた。
そうお姫様抱っこ。
そして、一瞬周りが暗くなった。
◇
と思ったら、宿屋の部屋にいたわ。
「え?」
いつもは転移で人を運べないって言ってたのに?しかもこの転移はなに?学校で習った転移の魔法じゃないわ。
と考えながらテツさんを見つめていると、
「真美子、怪我はないか」
とテツさんは真剣な眼差しで言った。
「ええ、すこし。」
と私は答えた。
「今治してやる。」
と言って、マントを剥された。
「あっ」
そして、丁寧に私のやぶれた服を脱がし始めたわ。
「あ、自分んで脱ぐわよ。」
「いいから黙って。」
と真剣な眼差しで、見つめられながら私は服を剥されていったの。
そして、ベットに寝かされたわ。
なんかどうしよう、いつも治療のときは下着までなのに。
なんか、顔が火照ってきちゃったわ。
テツさんが傷をゆっくり触る。
「あれ?傷の回復があまりできないな。」
あ、そうか私も魔腐闘気受けてるんだわ。
「あ、それは、魔族特有の魔腐闘気で治りが遅いんだって聞いたわ。」
「魔腐闘気?初めて聞くな。」
「魔族にとっての勇者が出す聖闘気と同じだって愛美さんが言ってたわ。」
「なるほど。しかしそれだと、傷がしばらく治らないぞ。」
「仕方ないわよ。」
「うーん・・・・・」
とテツさんはしばらく考え込んだ。
えっと、わたしこのままなの?全裸で放置じゃない。まあ、部屋にはテツさんだけだからいいんだけど。
そして、テツさんは水と布を持ってきて、私の傷を丁寧に水で濡らした布で拭き始めたわ。
ちょっと冷たい。
「え、ちょっと、テツさん。」
「いいから、黙って!」
何か変な感じがする。
テツさんの手が光ってる。
傷の痛みが消えていく。
よく見るとテツさんは水と布を頻繁に変えているわ。
「ふうう、よし、残りはあとで、少しづつ治療するよ。」
「え?」
と私は傷を見た。ほとんど治っていたわ。
「これどうしたのテツさん。」
「魔腐闘気を水に吸いだして移し替えたんだ。まだ完全じゃないが。後はゆっくり治るだろう。」
「そんなこと、いえ何でもないわ。ありがとうテツさん。」
そう、それはもう魔法治療じゃないわよ。でも私は言わないことにした。
私を拭いた布と水を片付けると、テツさんは疲れた様子でため息をつき言った。
「ああ、ちょっと疲れたから、休ませてくれ、ダンジョンの帰りと今ので、MPほとんど残ってないんだ。」
「そんな無茶しないでよ。もう。」
そうよね。ダンジョンでいつもギリギリで戦いをしてきたあとに私を助けに来てくれたんだもの。へとへとのハズよね。
「ああ。」
「それじゃ、私お茶入れるわ。」
「真美子も疲れてるんじゃないか?」
「うん、実は疲れてる。だってテツさんなかなか連絡取れないんだもの。魔族と使い魔合わせて5つも戦っちゃたわよ。」
そうよ、本当に大変だったんだから。
「そうか、それはすまなかった。だけど、それじゃ何で覇者の剣ロドリゲベルクⅠAのその宝石を使って、覇者の剣ロドリゲベルクⅠBに緊急サイン送らなかったんだ?」
「え?なにそれ!」
「あれ?この覇者の剣ロドリゲベルクⅠは対の剣で、”勇者試練のダンジョン”限定だけど中でも外でも連絡が取れるんだけど、言ってなかったけ?」
「聞いてないわよ。」
え、なに?それって、もしかして、私戦わなくても良かったんじゃない?
「そ、そうか、言ってなかったとは、不味かった。」
まあ、しょうがないわね。でもそうすると
「もしかして、それで連絡取れるから安心しきって、ダンジョン三昧してたって訳?」
「まあ、そうともいう。」
「もう。死にそうだったんだから。」
「ほんと悪かった。ごめん。」
「いいわよ。最後に助けてくれたんだから。」
「ああ。」
そう言えば、お腹空いたわ。
「少し休んだら、どこか夕ご飯連れてってよ。もう、安心したらお腹すいちゃったわ。」
「ああそうだな。食べに行くか。」
「うん。」




