22 魔法騎士育成学園 魔族来襲 1
もうかれこれ学園に通い始めてから2ケ月が立った。
今日も私は魔法騎士育成学園に向かった。
テツさんは、いつものようにダンジョンに行っているわ。ここ1ケ月間、テツさんは毎日服がボロボロで帰ってくるの。
私はいつものことなので呆れ果てていたわ。そんなにバトルジャンキーだったとは思わなかったのよ。
まあ、そのおかげでテツさんに女性が寄ってくる隙も無いから、安心して授業を受けていたの。
そして、今日午後の授業は、魔法の歴史の座学。
教室で、魔法講師の話を聞いていたの。
◇
魔法騎士育成学園の警報が鳴り響く。
ウヲー!ウヲー!ウヲー!ウヲー!ウヲー!ウヲー!ウヲー!
バガアアアアアアンン!
すぐ後に爆発音が鳴り響いた。
「え、何?」
と私と愛美さんが窓から音のする方を見た。他のみんなも私たちと同じく窓に近づいた。
学園門の外には煙が上がっていた。
「あれなに?愛美さん。」
と私が言うと、愛美さんは遠見の魔法を使いそのあたりを眺めた。
「あ、城の兵が倒れてるわ。学園の結界も壊れている。あれは・・・、いけない!みんな魔法防壁を展開して!」
と愛美さんは最後に大きい声で叫んだ。
バシュウウウウウウウウウウンンンンンンンンン!
バアアアアアアアアンンンンンンン!
と辺りに魔法の収束砲らしき光が走る。
私の周りには、上級魔法防壁が展開した。
テツさんがくれた一回きりで壊れる上級魔法防壁アイテムを使ったの。
これで、上級魔法防壁のアイテムは残り4つになっちゃったわ。
その、魔法の光が収まったので辺りを見渡したの。
教室は半分吹き飛び、その向こうの学園の建物は半壊していたわ。
クラスのみんなは、愛美さんの判断のおかげで魔法防壁を展開させていたの。その為、被害はほとんどなかったのよ。
「みんな集まって!あれはたぶん魔族よ。」
愛美さんが魔法講師の隣に立って言った。
「魔族?」
「本当よ。あの空の黒い飛行物を見て見れば分かるわ。」
と言われ、みんな遠見の魔法で見始めた。
その空には、5体の人型が浮かんでいた。
恐らくその中の1体が、さっきの収束魔法を撃ったみたい。
そして、学園に全体に響くように拡声の魔法で呼びかけられた。
「この間、我が魔族の同胞を撃ち滅ぼした勇者がこの魔法騎士育成学園にいると聞いた。その者と手合わせがしたい。学園の門の南の荒野で待つ。30分以内に来なければ先ほどの収束魔法を町と城にも放つ。以上だ。」
と魔族にしては、意外とマシな呼び出しがなされたわ。
下級魔族だと無差別に攻撃が続き、対応するまでに被害が続出するの。
今回は中級魔族が絡んでいるかもしれないわね。
愛美さんは、魔法通信機で、色々と連絡を取り合っている。
校舎を見ていると、他のクラスはパニックになっていて、多くの生徒と教師は、学園北側の非常口に向かっているわ。
マイルダとフラルウは、執事と従者が迎えに来ていた。この2人は避難するみたい、教室から出て行ったわ。
他の男子生徒にも従者が迎えに来ているの。
辺りを見回している私のところに、愛美さんが来た。
「真美子さん、テツさんを呼んでいただけないかしら。恐らく、あの魔族の狙いはわたくし、4カ月位前の魔族を倒した勇者ってこの学園には私しかいないわ。でも1人では、時間稼ぎにもならないの。」
「はい。呼んでみます。愛美さん。」
と私は魔法通信機でテツさんを呼び出してみたわ。
ツーツーツーツー!
やっぱりつながらない。ダンジョンじゃ魔法通信機使えないからって、また部屋に置いて行ってるのね。
「ごめんなさい。テツさんに繋がらないわ。」
「そ、そんな。城からの援軍は30分じゃ来れないそうなの。そして、私のパーティを呼んだのだけど。魔族相手なので、アン、ミミしか駆けつけてくれないわ。」
随分ひどいパーティね。しかも来てくれるのが女性2人なの、愛美さんかわいそう。
ここで、私が逃げたら結構薄情よね。愛美さんには学園でなんだかんだで世話になっているし。
「私も手伝うわ。愛美さん。」
「え?真美子さんいいの?魔族と戦うのが嫌で宿屋に泊まってるのではなかったの?」
「まあ、そうだけど、今ここで戦える人でレベルが一番高い私が逃げる訳にもいかないから。でも、城の援軍が来たら私は逃げるから、手を貸すのはそれまでよ。」
そうよ、5時半くらいまで、何とかすればテツさんがダンジョンから帰って来るわ。それまで持てばいいのよ。
「ありがとう。真美子さん。城から援軍が来れば大丈夫だと思うわ。」
と愛美さんは、目じりに涙をためながら言ったわ。
え?そんなに感動してくれるの?もしかして、魔族5体のレベルって高いの?判断ミスしたかも。
「僕たちも手を貸すよ。愛美さん。真美子さん。」
とオルテガム、ジャック、ベガガが、私達の側に来て言ってくれた。
◇
私達Tクラスの5人は、魔族が指定した、学園の門の南の荒野に立った。
やはり、他の人は誰も居ない。
私は、最近の覚えた鑑定魔法で魔族を見た。
魔族 ガラナス LV1226
魔族 アーグ LV617
使い魔 カイリ LV388
使い魔 リアガ LV381
使い魔 リアネ LV398
中級魔族に下級魔族、使い魔が3匹だったわ。
カッコ付けないで逃げればよかったわよ。
対してこちらは、
私(真美子) LV497(私は認識阻害のペンダントをしている。)
愛美さん LV368
オルテガム LV242
ジャック LV240
ベガガ LV239
アンさんとミミさんは遅れてくるそうだけど、2人ともLV300以下だし、あのガラナスって魔族がマズいわ。
他のみんなも鑑定で相手のレベルが分かり、顔が引きつってるのよ。
「よく来たな!勇者とその仲間たちよ。どうだ少しゲームをしないか?」
と魔族ガラナスが話し始めた。
「ゲームは、1対1の勝ち抜き戦でやろうじゃないか。」
あら、この勝負型式なら時間稼ぎになるし受けてもいいわね。
「分かったわ。それで勝敗の結果はどうなるのかしら?」
「そうだな。こちらが負けたら素直に帰ろう。我らが勝ったら、人間の仲間から、生娘の生贄を10人差し出してもらう。さもなくば城と町を破滅させる。」
魔族は生娘を好むから当然の要求ね。
「生贄は、私の一存では約束できないわ。城と交渉するから待って頂けないかしら。」
「ふむ、まあ、それは後でもよい。ところで、前回、下級魔族のアイザルクを倒したのは誰だ?」
「それは、わたくしとわたくしのパーティです。」
「ほうそうか。おしいの。その美しさなら我の嫁にと思ったが、敵なら殺さねばならん。後、そこの女騎士、認識阻害のアイテムを取れ。」
と魔族ガラナスは、私を指さした。
不味いわね。LV497がばれると警戒されるじゃない。
しかし、ここは従わないと1対1の勝ち抜き戦じゃなくなっちゃうかもしれない。
そうすると、テツさんを待つ時間稼ぎにならないから。
「はい。これでいい?」
と私は、認識阻害のペンダントを外した。
「むっ!」「な!」「・・」「・・」「・・」「え?」「真美子さんそんなに高いの?」「ほう!」「お!」
とそれぞれが言葉を発したわ。だって、クラスのみんなにも隠していたから。
「なるほど、そこの女も勇者というわけか。これは良い戦いが見れるな。」
と魔族ガラナスが言った。
どうも、戦いを見るのが楽しみみたいだわ。
今は午後3時半、城の援軍が来るのに40分弱だし、、テツさんが部屋に戻るまで2時間もかかるじゃない。
◇
一回戦が始まった。
使い魔リアネ LV398 & 使い魔リアガ LV381
VS
オルテガム LV242 & ベガガ LV239 & ジャック LV240
レベル差が100以上あるので、交渉して2対3になったの。
使い魔リアネと使い魔リアガは、2匹ともコオモリの様な上半身に下半身は黒い馬の魔物よ。双子のようね。何故か顔はイケメンよ。
魔族ガラナスの「始め!」の掛け声で、勝負が始まったわ。
使い魔リアネと使い魔リアガが、そろってファイアストームを放った。
ゴオオオオオオオオオオ!
これをベガガとジャックが魔法防壁で防ぐ。2つの攻撃魔法が重なっているせいか魔法防壁が歪んでいる。
その間に、オルテガムが、右に移動していた。
「だりゃー!」
とオルテガムが使い魔リアガに切り込む。
使い魔リアガは左手の長い爪でこれを受け、右手の爪でオルテガムを突き刺す。
ガツン!
バーンン、ドサッ。
オルテガムは盾でこれを受けたが、弾き飛ばされて地面に倒れた。
使い魔リアガそのオルテガムに追い打ちを掛けようとするが、ベガガがフレアアローで牽制をした為、後ろに下がった。
一方、使い魔リアネは前足のひ爪でジャックを襲う。
ダダン!
「ぐっ」
ドサッ!
ジャックはこれを躱しきれずにブロックして吹っ飛ばされた。
「ヒファーン!」
と馬の様なのが混じっている声で使い魔リアネが叫びながら、ジャックに追い打ちをかけるが、ベガガがフレアアローで牽制をした為、後ろに下がった。
ベガガいい働きをしてるわね。
オルテガムとジャックが体勢を立て直して、再度攻撃をする。
と数回にわたり攻防が続けられたが、オルテガムとジャックにの疲労が限界になり、倒れてから立ち上がるのが遅くなった。
そして、オルテガムとジャックが弾き飛ばされ地面に倒れた時、ベガガが狙われた。
ベガガは使い魔リアネと使い魔リアガの怒りを買い挟み撃ちで攻撃された。
「ヒファーン!」「ヒファーン!」
オルテガムとジャックは間に合わない。
ベガガは魔法防壁を数枚作り防御したが、魔リアネと使い魔リアガの爪はその魔法防壁を簡単に切り裂いた。
サシュ!サシュ!サシュ!サシュ!サシュ!サシュ!
「ぎゃぁー!」
ベガガは大量の血を地面に滴らせ倒れた。
その後は一方的だった。
そして3人とも倒れた。
しかし、戦いは止まらなかった。
「え?もう勝負はついてるわ」
と私は目を見開き前に飛び出した。
「やめてー!もうこちらの負けよ!」
と大きな声で叫びながら無意識にエアカッターを無詠唱で放っていた。
使い魔リアネと使い魔リアガが3人から離れ、魔法防壁でエアカッターを防いだ。
「やめい!」
と魔族ガラナスが言った。
使い魔リアネと使い魔リアガが魔族たちの元に戻った。
そして、私と愛美さんが3人を確認した。
よかった。まだ息がある。
と3人の容体を見ていると、魔族ガラナスが話しかけてきた。
「女、何故止めた。」
「何故って、もう勝負はついているじゃない。」
「死ぬまでが勝負だ。」
な、でも魔族だからそうなるわよね。不味いわ。い一斉に攻撃なんてされたらもたないわ。
感情的になるんじゃなかったわ。とりあえず、謝ってみましょう。
「ごめんなさい。女だから分からなっかわ。」
「ふむ。いいだろう。次は女、お前の番だ。」
とりあえず、一斉攻撃されなくて済んだけど。私の番なのね。
「分かったわ。」




