20 魔法騎士育成学園 特別教官”ジョン” 1
今日はテツさんが特別教官”ジョン”としてくる日よ。
なんかソワソワしちゃう。
◇
Tクラスの全員は、校庭の左の総合運動エリアに集合した。
そこの中央にテツさん(”ジョン”)と愛美さんが待っていた。
「皆さん、今日は特別教官として、”ジョン”さんをお呼びしました。総合的な戦闘法を教えて頂きます。」
「こんにちは”ジョン”です。今日はとりあえず全員と模擬戦をして実力を見ます。こちらは模擬専用の刃を潰した剣を使いますので、安心してください。それじゃ始めます。掛かってきなさい。」
とテツさん(”ジョン”)は言って無造作に立ったままになった。
みんな唖然としていた。
私にはわかる。この場にいる全員と模擬戦ってことは、1対8で模擬戦する気なんだと思うわ。
でも私以外、そんな1対8で模擬戦を実施するなんて思わないじゃない。
たぶん、みんなには意味が通じてないわ。
と思っていたら、オルテガムがテツさん(”ジョン”)に言った。
「質問いいですか?」
「どうした?」
「順番はどうするんですか?」
「順番?」
「順番です。」
ああ、やっぱりそうよね。全員と模擬戦なんか普通ありえないわ。
「キミ、名前は?」
「オルテガムですけど。」
「ほう、オルテガム君か、真美子から聞いてるよ。イケメンで、この国で2番目に大きい貴族様なんだってな。」
あ、余計なことを言って。
「な、真美子さんからだって、貴様、真美子さんとはどういう関係だ。おっさん。」
え、言っちゃうの、みんなの前じゃ恥ずかしいわ。
「教官にその口の利き方は無いだろう。まあ、ケガさせても回復魔法かけてやるから安心しろな。」
「質問に答えてないなおっさん。分かった。俺が1番最初だ。倒して関係を聞いてやる。」
「ちょっとまて。」
「なんだおっさん。怖気づいたのか?」
「えーと、俺はさっき言ったんだ。全員と模擬戦だと。」
「何を言っている。」
私は割って話しをした。
「オルテガムさん、て、じゃなくて”ジョン”さんは、全員同時に模擬戦の相手をすると言ってるのよ。」
「え?真美子さん何言って、それ、本当ですか?」
「ええ、しっかり連携を組まないと全員負けるわよ。マイルダさん、フラルウさん、ベガガさんは援護魔法を、その他の人は半月形に取り囲んで攻撃をして。」
「え?」「何言ってるの、真美子さん?」「そんな1対8卑怯よ。」「真美子さんどうしたの?」・・・・・・・
と言われる中、私はステップバックして剣を構えた。
愛美さんも私に習って剣を構える。
「教えてやろう、実戦じゃ1対多数なんてざらだ。待ってやるから攻撃して来い。真美子に振られたイケメンさん達。」
と、テツさん(”ジョン”)はしなくてもいい挑発をした。
ああ、そんなこと言わなくてもいいのに、私がしゃべって事がだだ漏れじゃない。
とそれを聞いた、オルテガム、ジャック、ベガガは、頭に血が上ったらしく。
「おっさん、もう殺す。」「何で知ってるんだてめー!」「いい気ななってんじゃねー!」
と叫び声をあげ、オルテガムは剣で斬撃波を出し、ジャックは気功波を撃ち、ベガガはフレアアローを放った。
ザンンンンンン!ブオオオオオオオ!ゴオオオオオオオオオオ!
攻撃がテツさん(”ジョン”)を襲う。
シュンンンンンンン!
と風の壁が出来てすべての攻撃が風の壁の渦に消えた。
風の壁が消えた後、いつの間にか、オルテガムの前にテツさん(”ジョン”)が立っていた。
「なっ!」
と目の前に現れたテツさん(”ジョン”)を見て驚く。そして振り下ろした剣を構えなそうとするが、
「ごふっ。」
と言って、オルテガムは、地面に倒れた。
その後、ジャック、ベガガも同様に地面に這いつくばった。
そのテツさん(”ジョン”)を見た他のみんなは動けない。
「10点だな。掛かって来ないならいったんやめだ。こいつらを誰か看病してやれ。」
とテツさん(”ジョン”)は言った。
◇
これどうやっても何も出来ないわよ。だって、LV416の私でもテツさんの動きが全く見えないんだもの。
私は剣をテツさんに向けて、構えながら愛美さんに近寄った。
愛美さんを見ると、テツさんを見て呆然としてる。けど、その構えに隙は無かった。
そうね。愛美さんと共に戦ってみよう。最近手合わせしてないしね。
「マイルダさん、フラルウさん3人の回復をお願い。愛美さん、私と共闘してみませんか?」
「え、いいわ。共闘しますわ。」
「それじゃ。私が切り込みますから援護お願いします。」
私は、ファイアーアローをテツさんに撃ち、その後を瞬歩で追いながら近寄る。
ゴオオオオオオオオオオ!
ザンン!
テツさんは、ファイアーアローを剣で切り裂き消滅させる。
シュン!
私は、”光の剣”を短い暗器の様な形にして投げ、同時に剣で切りかかる。
ギャキン!
テツさんは”光の剣”を最小の動きで避けて私の剣を受ける。
私の剣を受けて動きの止まったテツさんに、愛美さんがレイピアで突きかかる。
「やー!」
キン!
テツさんは体を少しずらして、私の剣を流しながら、愛美さんのレイピアの剣先の軌道をずらした。
ザン!
私は剣を切り返しテツさんに振った。
しかし、そこにはもうテツさんは居なかった。
「うくっ。」
と私の首に衝撃が走り。辺りがブラックアウトした。
私が意識を取り戻した時は、愛美さんは首を押さえて地べたに座っていた。
◇
うっすら辺りが見えだした時、私のお尻と背中とかが温かかった。
よく見ると、私はテツさんに抱き抱えられていたわ。
「大丈夫か。真美子。」
とテツさんの顔が近くにあるの。
誰も居ないダンジョン内ならこのままキスとかだけど、周りにみんな居るじゃない。
私は、顔が熱くなりながら、周りを見渡したわ。
なんかみんな私とテツさんに注目してる。
私はテツさんから慌てて離れたわよ。
「テツさん。ダメよ。みんながいるんだから。」
と大きな声で言ってしまった。
またやっちゃった。”ジョン”って呼ばなきゃいけないのに。




