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女勇者:真美子  作者: コクテン8
1女勇者への道
2/74

1 運命の人

1と2の数行のみ残酷な表記がありますが、それを過ぎると恋愛の要素が強いです。

本日もう1話17時に予約アップしています。

キーン!

ガギャーン!


川辺の林の中で剣と剣がぶつかる音がする。

その林の中で戦闘が行われていた。


辺りには、ゴブリンなどの死体が多数転がっていた。

その中には弓を持った少女とプロテクターを纏った少女の死体も混じっている。


ザシュ!


「あぐぼっ!」


眼鏡を掛けた、三つ編みの18才くらいの少女が鉄の剣に串刺しにされた。


「沙希ー!」


と、全身が血だらけの冒険者の恰好をした少女が叫ぶ。

この冒険者風の恰好をした少女の名前は山根真美子、眼鏡を掛けた三つ編みの少女は三井沙紀という名前であった。


そして、鉄の剣の持ち主の魔物は、三つ編み少女から剣を引き抜き、その剣先を真美子へ向ける。

その魔物は、ゴブリンナイトと呼ばれていた。


真美子は、ゴブリンナイトを睨みつけ切りかかる。


「やー!」


ガツン!

バフーン!


とゴブリンナイトは真美子剣を受けそのまま弾き飛ばした。


ダン!ごろんごろん。びちゃ・・・・


真美子は、河原に弾き飛ばされ転がった。

その真美子の体は満身創痍で、もう動ける気力も残っていなかった。


・・・・・・・・・


□■□■□■□■


ここは通称、異世界と呼ばれる世界。

真美子は、4ケ月前に異世界クラス転移に巻き込まれた。

そのクラス全員の使命は、勇者になって魔王を倒すことであった。

しかし、勇者達への支援金は1ケ月で底をついた。召喚した国もまさか勇者が35人とは思っていなかったのだ。

また、国は弱小だったため支援は続かなかった。

クラスのみんなは生きるための資金稼ぎに冒険ギルドへ加入、魔物を狩って生計を立てることとなる。


その転移してきたクラスの仲間は、最初は共に戦っていたが、様々な理由で、いくつかのグループに分かれて行動するようになった。


そのグループの1つであるこのパーティは、真美子を含む女子4人で組んいた。

今日も、生きるための資金稼ぎに魔物を狩っていたのだ。


しかし、今日は運が悪くゴブリンの群れと遭遇してしまった。

最初は逃げたが逃げきれずに、林で戦闘になった。


真美子を含む女子4人は、奮戦した。

追ってきたゴブリンとゴブリンナイト合わせて、40匹余りを倒した。


その為、4人とも疲労してHPもMPも少なく、ポーションも使い果した。

そこに、このゴブリンナイトであった。このゴブリンナイトはレベルが違った。ゴブリンキングに匹敵する強さだった。

後から追ってきたこのゴブリンナトに、少女たちは次と倒されていった。


そして、今、河原に飛ばされたこの物語の主人公、真美子は・・・・・


□■□■□■□■


・・・・・・・


「ぐふっ!ごほ!」


と私は、河原の湿った場所に突っ込んだ顔を上げ、水を吐き出したの。

そして、周囲を見渡して、私を弾き飛ばしたゴブリンナトを確認したわ。

ゴブリンナトは足を引きずって、ゆっくりとこちらに歩いてくる。

私が与えたダメージだわ。


『後この1体だけだったのになぁ。みんなもやられちゃうし。私ももう駄目かな。』


と思いながら、私のこの先を考えていた。


私はこの世界に来てから、何人かのクラスメートが魔物に殺されたのをこの目で見ていた。

そう、4ケ月でこの世界の厳しさを私達は知っていた。

いつかは、殺される日が来るかもと覚悟していた。


しかし、殺されるだけならいい、ゴブリンに捕まったら、女性は、手足をもがれ繁殖のために、一生飼い殺しでゴブリンの子供を産まされる。

3人はどうなったのだろう?死んでしまった方が恐らく彼女らにとっては救いである。そうでなければ・・・・・


私の場合は、神様からもらった力がある。


神から貰った能力 真偽眼、光の剣、絶対貞操帯 勇者の腕輪


この絶対貞操帯があるかぎり、私の許可を得ないで、私を犯せるものはいない。

だからゴブリンによる飼い殺しは無い。しかし、この絶対貞操帯がばれるまでいたぶられる可能性はある。

ゴブリンに拷問とかされるのは嫌だ。いっそ、自害しようかとも考えている。なにせもう動けないから。


「なんかもう目が霞んできちゃった。」


と、ゴブリンナイトが歩いてくるのを見ていると、右の方で”ドサ”!っと物が落ちる音がした。

私もゴブリンナイトもその方向を見たの。


・・・「いてて!」


とそこには男が現れた。

中年くらいのおじさんだった。

弱そう。


ゴブリンナイトがそのおじさんを見て攻撃態勢に入る。

ゴブリンナイトは足を引きずっておじさんに走り向かう。


おじさんはキョロキョロしている。


「だすげほっ!」


私は声を出したが言葉に出来なかったの。

仮に助けを叫んでも、目の前の弱そうなおじさんは、殺されるだけかもしれないのにと思った。私はもうあきらめて、声を出すのを止めたわ。


ゴブリンナイトがおじさんに剣で切り掛った。おじさんは動かない。

ゴブリンナイトは足を痛めてるはずなのに、意外と速い!


ブン!


ゴブリンナイトの剣がおじさんの頭の上に降り注ぐ。

『もう駄目だわ。』と私は思ったの。


しかし、おじさんは一瞬でゴブリンナイトの後ろに立っていた。


ドサ!


倒れたのは、ゴブリンナイトだった。


・・・・・・


そして、おじさんは私のところに来てこう言った。


「酷いケガだな。今、回復魔法を掛けてあげるよ。」


しかし、私は首を横に振り言ったわ。


「げほげほ!た、助けてくれた見返りは何?お金?私の体?」


そう、この世界、タダより高いものは無いのよ、以前は体を要求されたこともあるわ。でも、その時はお金で済ませたけどね。


おじさんは、少し眉をしかめたが話を続けた。


「・・・ほう、死にそうなのに助けを断るのか。随分と気丈だな。まあいい。俺の要求は・・そうだな、食料と少しのお金。後、町まで連れて行ってくれ。キミの体は貰えるんだったもらうけど、無理やりはしない。」


私は、真偽眼で見たの。真偽眼は嘘か本当かだけわかる。嘘はなさそうだわ。


「わかったわ。お金と食料と、町までね、私の体はあげないから。」

「わかった。その条件で助けよう。」


私は、続けて真偽眼で見たわ。この返事も嘘はなさそうね。


「それでは、お願いします。」


と私が言ったら、そのおじさんは、私に手をかざし回復魔法を掛けた。しかも無詠唱で。

みるみる傷が治っていったのよ。良く見ると古傷と小指の欠損まで。


「おじさん!これって、最上級回復魔法じゃない!」

「ああそうだけど。なにか?」

「・・・・おじさん何者?」

「”おじさん”は酷いな、そうだな・・・・・”テツ”って呼んでくれ。」

「・・・・テツさん、で何者?」

「・・・旅の者だ。」


そろそろ私のMPが少ないので、真偽眼が使えないわ。あとでMPがあるとき聞いて確かめよう。


「・・・・テツさん食料とお金は荷物の中です。荷物は林の中に落としたから、一緒に探してくれませんか?あと、私の名前は”真美子”って言います。」


と私はテツさんと林の中に向かった。



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