16 囚われのクラスメイト
その後また、私はテツさんとレベル上げに励んでいたわ。
午前は、テツさんとの剣の打ち合い。午後は”勇者試練のダンジョン”で木人やゴーレム、宝箱のガーディアン等を倒していったの。
私のレベルはぐんぐん上がって、今ではLV397になっていたわよ。
だって、テツさんのやり方が無茶苦茶なの。
戦闘中、後ろからテツさんに回復魔法かけまくられて、私が怪我しようが戦闘の継続をさせられたわ。まるでゾンビの戦い方よ。
だからレベルが挌上の相手にガンガン切りまくったわ。そのせいでレベルが急上昇。あと覇者の剣のおかげもあるわ。
そして、あと入学1週間に迫ってからは、テツさん、通常の戦い方に戻してくれた。やっぱり今までが危ない戦い方だったみたい。
◇
”勇者試練のダンジョン”から帰ると、部屋のドアに手紙が差し込まれていたわ。
差出人は、佳奈美さん。クラス転移で残っている最後の弱小パーティのリーダーよ。
手紙の内容は、要約すると”パーティの佑里香が荻原光と間藤真紀羅のパーティに捕まって帰ってこないので一緒に手伝ってほしい。話がしたいので、今晩、町はずれの空き家の近くに来てほしい。”との事だった。
「テツさんどうしよう。」
「罠じゃないのか?」
「でも、罠じゃなかったら?」
「その佳奈美さんにカリでもあるのか?」
「ええ、数カ月前、私達のパーティが困ってた時、助けてくれたの。」
私はうつむいた。助けに行きたいけど、罠だったら危険よねと考えていたら
「そうか。それじゃ、これを身に付けてくれ。」
とテツさんは、宝石の付いた。ネックレス2つと指輪をくれたの。
「これは?」
「1度だけ使える最上級魔法防壁が出るネックレスと1度だけ上級回復魔法が使える指輪、そしてレベルの認識阻害ネックレスだ。ダンジョンで見つけた。」
とても綺麗だったわ。私はつい指輪を薬指にはめちゃったの。
でもこれをくれたってことは助けに行くのよね。
「真美子、それじゃ行くぞ。」
「はい。」
「真美子も、LV397だ、そろそろ、あの程度のヤンキーとイケメンくらい倒せなくちゃな。」
「そ、そうね。」
そうよね。あの2人と私のレベル差は190くらいあるんだし。
そして、私とテツさんは町はずれの空き家の近くへ向かった。
◇
町はずれの空き家の外には、佳奈美さん、佑里香さん、他2人の女性が体を縛られ、口をふさがれ転がされていた。
もう、体力が無いのかあまり動かない。
その横に、荻原光と間藤真紀羅、そしてそのパーティ6人がいた。
事前にテツさんが周りの人物や反応を魔法のサーチや索敵で調べたわ。
それで、不意打ちとかが無い事を確認してから、私とテツさんは荻原光と間藤真紀羅の前に出て行った。
作戦は、”私が引き付けて、テツさんが隙を見て転移で4人の安全を確保する”こと。
「おー!ようやくおでましか!待ちくたびれたぜ。」
「ほんとだよ。遅いんで。この子たち、手を付けちゃおうかと思ってたよ。」
と荻原光と間藤真紀羅が話してきた。
私は、一歩前に出て睨みつけ、
「佳奈美さん達を離して!」
と叫んだわ。
「いいぜ、ただし、俺達と勝負しな。そこのおじさん!」
えっと、テツさんが戦ったら転移が出来ない、私じゃ助けられないじゃない。
そうだ。私が勝負受けちゃえ。テツさんが居るから何とかなるわ。
と思い私は言った。
「私が勝負を受けるわ。」
それを聞いて、テツさんは慌てた。
「ちょっとまて、真美子何言ってるんだ。」
「大丈夫よテツさん。力を見せつけた方が後々都合がいいから。」
「なんだと舐めやがって!」
そして、私は小声で「4人をテツさんが助けたらテツさんに戦いを代わるから。」と言ったわ。
テツさんは「分かった。」と小声で返した。
「おい、こそこそしてねぇで、前に出ろ、俺が相手してやる。」
「あら一人でいいのかしら?」
私は間藤真紀羅を挑発したわ。
「てめー!」
といって、間藤真紀羅は斬馬刀で私に切り込んできた。
ザン!
私はその斬馬刀を躱しながら周りをみたわ。
荻原光とパーティ6人は、テツさんを警戒して人質のまわりから動かないのよ。
テツさんも人質に転移で近寄れずそのままだったわ。
結局、私と間藤真紀羅の一騎打ちが始まったの。
間藤真紀羅は”ストーンニードル”を放ってきた。
ドュルーンン!
私はそれを躱したわ。
躱した先に間藤真紀羅の斬馬刀が切り下ろされてきた。
ザンン!
しかし、私には、かなりその斬馬刀の振りが遅く感じられたの。
私は、斬馬刀を躱して覇者の剣で切ったわ。
シュン!
ズパッー!
「ぎゃぁー!」
間藤真紀羅の左腕は2の腕から、左足は太ももから切断され、血が噴き出た。
ザザーン!ごろごろ。
「イデェー!」
と間藤真紀羅が地面に転がった。
そして、その場の全員の視線が間藤真紀羅に集まったのよ。そうテツさんを除いて。
荻原光が叫んだ。
「馬鹿な!俺たちはLV230台だぞ。そのおっさんならともかく、どうなってるんだ。」
荻原光のパーティ6人も目を見開いて私を見ていたの。
いつの間にかテツさんがその7人の後ろに立っていて、テツさんは人質4人にそれぞれ魔法防壁を球状に展開した。
それに気が付いた荻原光は、テツさんから距離を取った。荻原光のパーティ6人も同様にテツさんから距離を取り始めた。
「てめー!くそっ人質が!」
テツさんは、手を荻原光にかざした。
でも、そこに荻原光のパーティの佐由良という召喚術を使う元クラスメートが割って入ったわ。
テツさんは、手をかざしたまま魔法を撃たなかったの。女性だから途中で撃つのを躊躇ったみたい。
そして、佐由良は手をかざし魔法防壁を展開した。
更に、佐由良の頭上には大きな召還魔法陣が光り始めた。
「来たれ!2首蜥蜴!」
召還魔法陣から2首蜥蜴の足が現れ始まり、ついにはテツさんの前に2首蜥蜴が姿を現した。
結構な大きさだ。高さ3メートルはある体に、首が2本ついてる。
『大丈夫かな?』と思って見ていると、テツさんは私に言った。
「真美子!戦ってみるか?」
何よさっきは心配したくせに。あ、そうか、4人の安全が確保できてるから今は存分に戦えるからね。まあ、さっきも存分に戦っちゃたけど、と私は思った。
「テツさん、その蜥蜴のレベルはいくつ?」
「LV320だ。」
「分かった戦ってみる。」
と私は言って、その2首蜥蜴瞬歩で近づき切り込んだ。
2首蜥蜴は、口からなにか放とうとしていたみたいだけど、でも私の方が速いわ。
シュン!シュン!
スパーン!
と私は”燕返し”を使った。
2首蜥蜴の首が1つ、宙に舞ったわ。
ぎゃわああああ!
と残った蜥蜴の首が叫ぶ。
ザン!
ぶしゅ!
と、私は止めを刺したわ。
しかし、手ごたえが全然無かったわね。私が強くなったんだわ。
たぶんこの召還魔物は切り札だったようだわ。
そして、周りを見回したら、
間藤真紀羅と荻原光、その他パーティ6人は全て気を失っていた。
間藤真紀羅の傷からは血が止まっていたの。血止めされていたみたい。
「真美子、こいつらを縄で縛るから手伝ってくれ。」
「はい。」
どうやら、テツさんが片づけてくれてたみたいね。
その後、魔法通信機で愛美さんに連絡して、警備兵を呼んでもらった。
間藤真紀羅と荻原光、その他パーティ6人は、城の牢獄の中に入れられたわ。
助けた、佳奈美さんら4人のパーティは、私とテツさんにお礼を言って帰って行った。後で、お食事を御馳走してくれるらしいわ。




