11 しまだらワイバーンの襲撃
次の日も、馬車は山道を進む。
ガタン!ゴトン!
山の木は針葉樹の様な木に変わり、辺りは濃い緑色になっていた。
ガタン!ゴトン!
・・・・・・
数回の魔物との戦闘を繰り返した。
・・・・・・
そして、町から山を2つ超えた所に来たとき、空に3匹の黒い影が現れた。
「しまだらワイバーンLV300前後だ!みんな止まれ!」
とテツさんは、大きな声を上げた。
馬車の一行は止まり、テツさんは魔法通信機で愛美さんと話し始めた。
「もしもし、俺だ。今、しまだらワイバーンLV300前後が3匹、頭上を旋回している。みんなを一か所に集めてくれ。」
「ああそうだ。上級魔法防壁を張れるものはいるか?・・・・・わかった。」
とテツさんは魔法通信機を切った。
「真美子、俺たちも行くぞ。」
「はい。」
と私達は、後ろの女子生徒全員が集まっているところに向かった。
しまだらワイバーンは私達を獲物と認識しているようで、馬車を中心に円形に旋回している。
・・・・・・
愛美さんの脇に、女子生徒全員とその従者、そして愛美さんのパーティメンバーが集まっていた。
「あ、て、じゃなくて”ジョン”さん、こちらは準備できました。」
と愛美さんが言った。
「それじゃ、俺が行くけど、愛美さんのパーティからも戦える者を出してくれ、しまだらワイバーンを狩る。」
「わかったわ。こちらのレオンとケントとわたくしが出るわ。」
「そっちの男2人、LV250程度で大丈夫か?」
とテツさん(”ジョン”)が言ったら、レオンさんとケントさんは怒りだした。
「なにを!」「そうだ、偉そうに。」
「やめなさい。2人とも。」
「「はい。」」
愛美さんの一言で静かになったわ。愛美さんって影響力あるのね。
「”ジョン”さん2人は遠距離攻撃型なので大丈夫ですわ。」
「そうか分かった。愛美さんも遠距離攻撃のみでいいから無理しないでくれ。」
「あら、優しいのね。」
「まあね。」
「それじゃ、ミゲルとミミ、私達が行ったら上級魔法防壁を展開してね。」
「はい。愛美様。」「はいにゃ。」
私は、さっきテツさんに上級魔法防壁内で待ってるように言われたので、大人しくみんなと待つことにしたの。
そして、テツさんは左の2匹へ、愛美さん達は右の1匹の方へ、飛行魔法を使いしまだらワイバーンの方に向かっていったわ。
地上に残された私たちは、その戦闘を不安になりながら見守っていたのよ。
何せLV300のしまだらワイバーンに襲われたら、普通は生きて帰れないから。
しかし、左上空の戦闘は1分もかからなかったわ。
テツさんが2匹のしまだらワイバーンに向かって飛んで行ったと思ったら、空にいくつもの電気の線光がしまだらワイバーンに走ったの。
ダッバーンンン!
雷鳴が轟いた。
2匹のしまだらワイバーンはヨタヨタと落ち始めたわ。
そこにテツさんと思われる人影が空中で2匹のしまだらワイバーンに交差したの。
見ていると、しまだらワイバーンは、何個かの破片になって落ちて行ったの。
そして、テツさんは、最後の1匹の方へ飛んで向かったのよ。
「え?うそあんなに簡単に?」「すごい!」「やるー!」「ああ、これで助かるわ。」「あの人だれ?」「”ジョン”よあの人。」「今度紹介して。」・・・・・・・・・
と周りから歓声が上がった。
テツさん(”ジョン”)目立っちゃってるわよ。それに「紹介して。」って誰よ。まあでも、テツさん(”ジョン”)イケメンじゃ無いからこれ以上進展しないわよね。
と思っていたら、
「真美子さん、”ジョン”さんだったっけ、貴女の身元引受人は凄く強いな。」
と愛美さんのパーティのアンさんが話しかけてきたわ。
アンさんは金髪グラマー22才しかも2刀流の凄腕、LV251。
でも、身元引受人って何でよ。愛美さんが広めたのね、きっと。
「ええ、テツ、いえ、”ジョン”は強いわ。それと、”ジョン”は私の夫よ。」
「へえ、そうだったの?いつ籍を入れたんだ、言ってくれればお祝いしたのに。」
「そ、それは、まだ籍は入れてないわ。」
「なんだ。それじゃいつ結婚するの?」
「それもまだだけど。」
くっ!そう言えば、テツさん(”ジョン”)とは結婚の話進んでないわ。
「そうすると、”ジョン”さんまだフリーだな。」
とニヤリとしながら、アンさんは言ったのよ。
「フリーじゃないわよ。私が妻です。」
「ふーん。じゃあ戦闘が終わったみたいだから、アタイは愛美さんのとこに行くよ。」
と言って、アンさんは行ってしまったわ。
もうなんか、まるで私が独りよがりで”夫婦”って言い張ってる感じになっちゃったじゃない。
・・・・・・・・
その後、私もテツさんの所に行こうと思って、周りを見回したの。
女子生徒のみんなやその従者たちは各々の馬車に戻っていき、愛美さんも、パーティの仲間と話した後、それぞれの馬車に戻り始めたわ。
私はテツさんが見つからないので、更にきょろきょろと探したの。
「真美子、どうした?キョロキョロして?」
私はビクン!とした。振り向いたら、いつの間にかテツさんは私の後ろに立ってたのよ。
「もう、脅かさないでよ。」
「ごめん、ごめん。転移で来たから気が付かなかったんだなぁ。さぁ。」
と言ってテツさんは、私の手を引き馬車に向かったの。
テツさんの温かい手が、私にさっきのアンさんとの話してたモヤモヤを忘れさせてくれたわ。




