獣人×女子高生
ジャンルは【恋愛】
とある山里の古びた一軒家に1人の女子高生がきっちりと結えられた長い黒髪を揺らしながら軽い足取りで向かっていた。
その古びた一軒家の周りには他の家は見られず夕方の闇もあってか酷く不気味な屋敷に見える。
「やぁ」
女子高生は一軒家に入ると真っ先に縁側に向かい足を外に投げ出して座っている狼の獣人に声を掛けた。
「…明里か」
「反応、薄いね〜」
女子高生の名は明里、背は低く幼い顔立ちに黒縁メガネと2つに結わえた長い黒髪が特徴的だ。
「なんで来るんだよ」
明里はお互いに向かい合う感じで狼の獣人の膝の上に座り首に抱きつく。
「いやー、怪我していたオオガミを治療していたら、なぜか愛着を持ってね」
狼の獣人は明里にオオガミと呼ばれている。そして、オオガミと明里の出会いはちょうど3週間前、家庭環境や学校の事で悩んでいた明里は現実逃避にこの山に訪れフラフラしていたところ、怪我したオオガミに出会い、今いる一軒家で献身的に治療をした。だが、また左脚の大きな切り傷は治っていない。
「オレはペットか何かか?」
「ペットじゃなくて好きな人」
「人じゃねぇだろ」
「それでも好きなの」
それからというもの明里は学校が終わるとすぐにここに来て夜遅くまでオオガミと一緒に過ごす。家族が心配するぞとオオガミが聞いた事あるが、その答えにかなり重い告白をされた。
「おっと!」
オオガミの大きな手で明里の小さな頭を撫で、そのまま自然な流れで結わえていたゴムを解きついでにメガネも取った。
「この方が好きだ」
「でも、メガネを取られたら顔を近づけないとオオガミの顔がはっきり見られないよ」
お互いに顔を近づけ頬を赤く染める。実のところ、オオガミも明里の事が好きなのだ。すると、ここで明里が底抜けの明るい声を出した。
「話が変わるけど、今日は何の日でしょーか!」
「知らん」
「正解はハロウィンです!ハロウィンと言うのは」
ハロウィンを知らないオオガミに明里は一から説明をする。一通り話を聞いたオオガミは明里に質問した。
「とりっくなんとかって言えば何かが貰えるのか」
「何かはお菓子とか甘いものだね」
「わざわざそれをオレに言うってことはオレに言わせたいんだろ?」
「もちろん!」
明里は親指を立ててオオガミの顔から少し離れた。
「じゃぁ、とりっくおあとりーと」
「はい、これをー」
明里がポケットから取り出したのはオレンジ色の包み紙に包まれた小さな飴玉。その包み紙を開け飴玉を手のひらに乗せて。パクッ!
「明里が食うのかよ⁉︎」
オオガミに渡すのではなく自分で食べた。せっかく何かもらえると期待したいオオガミの眉間にはシワが寄っている。明里はそんなオオガミの唇を人差し指で軽く突つく。
「んぅ!」
その瞬間、明里はオオガミの唇に自分の唇を押し当て舌で唇を割り、食べていた飴玉をオオガミの口の中へ捻じ込ませる。数秒後。
「甘かった?」
「…っ!甘過ぎだろバーカ」
縁側には顔を赤くした狼の獣人と女子高生がお互いに向かい合って座っていました。
今まで
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