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サーカス×女の子

ジャンルは【童話】

むかーし、むかしある街の住宅街に肩まで伸ばした赤毛が特徴的なかわいい女の子が自分の部屋のベッドで寝ていました。


すると、窓からコンコンッと小さな小石がぶつかる音が聞こえてきます。その音で起きた女の子は眠たい瞼を擦りながら窓を開きました。


「こんばんはっ!」

「あなたはだーれ?」


窓を開くと、紳士服に身を包みかぼちゃのマスクを被った大人の小指くらいの大きさの男が窓辺に立っていたのです。


「僕はジャック」

「妖精さん?」

「そんな感じかな」


まだ、妖精や王子様を夢みる年頃の女の子は何の疑いもなくジャックを妖精だと信じます。


「どうしてここに来たの?」

「君を楽しいところに誘いに来たんだ」

「楽しいところって」

「今日はハロウィン!街の外れにある大きなサーカス場でとーっても楽しいショーが始まるんだ」


両手を大きく広げ楽しさを体全体で表現するジャックは女の子にまだ話しかけました。


「甘いお菓子もあるし君の友達も来るよ」

「でも、ダメ」

「どうして?」

「ハロウィンの夜にお外を歩くと悪魔さんに食べられちゃうってお母さんから言われたの」


女の子はとても残念そうな表情でジャックに話しました。そう、女の子は親の言いつけを必ず守るいい子なのです。


「悪魔なんていないよ?」


それでも、女の子はなかなか首を縦には振りません。困ったジャックは指を鳴らすとポップコーンが弾ける音と共に包み紙にくるまれた棒付き飴が4つ出てきました。


「赤色が嬉しくなる味で、黄色が怒る味、青色が悲しくなる味、オレンジ色が楽しくなる味。まだまだ他にもこーんな不思議な飴がサーカスには売っているんだ」


女の子はまだ首を縦には振りません。


「じゃぁ、悪い悪魔が来ても僕がやっつけてあげるから、一緒に行こう?」

「本当?」

「もちろんさ」


ついに、女の子は首を縦に降りました。そして、ジャックは女の子の手を取ると、あら不思議、ふわりふわりと女の子の体が宙に浮かびます。


そのまま、ジャックと女の子は窓から外へ出たのです。女の子の寝ていた部屋は2階、空を飛ぶと言うこと自体、現実ではあり得ない事ですが、女の子の頭はすごいという気持ちでいっぱいでした。


ジャックと一緒に空を飛び続けた女の子が辿り着いた先はとある街外れのサーカス場。辺りには女の子と同じような年頃の子供達がサーカス場に入っていく姿が見られました。


「中に入って」


ジャックに連れられ中にあるドーム状の観客席の一番前に座ると、明るかった照明が薄暗くなりサーカス場の中央にさっきまで隣にいたジャックが大きな大人の姿となって立っていました。


「ハッピーハロウィーン!!!!」


ジャックの高い声がサーカス場に響きます。


「これよりご覧頂きますのは世にも不思議なサーカス!さぁ、みなさま瞬き一つせずに注目あれ」


一瞬、辺りが真っ暗になったと思った次の瞬間、眩しい光が観客席全体に広がり、さっきまでジャックが立っていた場所にはバラバラになった人の骨がありました。すると、その骨は一人でに動き、みるみると人の形と変わります。


「まずは、ガイコツ男のナイフ投げ」


その次はゾンビと狼男の火の輪くぐり、ゾンビの体に巻きついていた包帯に火が付いて大慌てだったけど、人魚が出した水鉄砲でなんとか火は消されました。


「ちょっとしたハプニングがあったけど、次はサーカスの華!双子のドラキュラによる空中ブランコ」


女の子の同じ年くらいの小さな男女が空中ブランコでお客様を湧かせます。そのまま自然に流れる川のように双子のドラキュラと入れ替わったのは髪の毛が蛇というのが特徴なメデューサ。


メデューサはジャグリングをしながら綱渡りをやりました。こうして、女の子にとって楽しい時間は過ぎて行き、気がついた時にはもう幕が閉じていました。


「楽しかったかい?」

「うん!」


ショーが終わったサーカス場の外で女の子と団長のジャックは楽しくお話をしていました。


「私、ジャックのサーカスでみんなと一緒にやりたい!」


よほどサーカスが気に入ったのか女の子はジャックに入団したいと申します。ですが、ジャックは女の子の頭を撫でて断りました。


「残念だけど、君はここでは生きていけないよ」

「なんで?」

「君は人間だからね。ここにいるみんなは人間じゃぁ、ないんだ」


確かにサーカスに出ていたのはミイラ男に狼男、メデューサ、双子のドラキュラ。まだまだ、フランケンシュタインやカボチャのお化け。


「それに、もう君は家に帰らないといけない」


それが、ジャックの最後の言葉でした。女の子が嫌だと言う前にジャックは自分の手を女の子の目にかざすと。


「ぅん」


眠った女の子を抱え、夜が明ける前に女の子の家へと向かいました。




* * *




清々しい朝、女の子が目を覚まし、辺りを見回してもジャックの姿はどこにもありません。


「アリアー!」


一階からお母さんが自分の名前を呼ぶ声が聞こえます。


「夢だったのかな?」


ベッドから降りると足元に何かが当たりました。その何かを拾い上げるとアリアは一階にいるお母さんに、ジャックとサーカス場の事を話しました。


「夢でしょ?」

「夢じゃないもん!だって、これがあるんだ」


アリアがお母さんに見せたのは4つの赤色、黄色、青色、オレンジ色の棒付き飴でした。


「じゃぁ、ハロウィンのお化けが良いところに連れて行ってくれたのかな?」

「うん!」


こうしてアリアの不思議なハロウィンの夜は幕を閉じました。



童話ってこんな感じでしょうか?


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