表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

父×娘×母

ジャンルは【ほのぼの】

とある休日、3人家族の父親である藤村(ふじむら) 俊介(しゅんすけ)は妻、藤村(ふじむら) 沙苗(さなえ)が朝ごはんの時に使った皿を台所で洗っている間、リビングの床に座り新聞を読んでいた。


すると、おもちゃで遊んでいた3歳の娘、藤村 裕香(ゆうか)が右手にプラスチックで出来たジャック・オー・ランタンを(かたど)った入れ物を持って俊介の目の前に立つ。


「パパ!とりっくおぁとりーと!」

「おっ、早速来たか」


待ってましたと言わんばかりに俊介はズボンのポケットからオレンジ色の紙に包まれた飴を裕香が持つ入れ物の中に入れる。


「あめちゃんだ〜!」


飴を貰った事が嬉しかったのか裕香は大きな目を更に見開き、その場で飛び跳ね、特徴的なアホ毛をぴょこぴょこと揺らしていた。そして、今度は入れ物を俊介に突き出し、テンション高めの声で叫んだ。


「とりっくおぁとりーと!」

「ん?もう無いぞ」


俊介はポケットを叩きこれ以上は無いと裕香に言ったのだが、そんな事はお構いナッシング。


「とりっくおぁとりーとっ!」

「……えーと」

「とりっくおぁとりーとぅ」

「ほら、これ以上甘いもの食べたら虫歯になるからな」

「むしばになってもいいの」

「いや、よくは無いだろ」


俊介と裕香のやり取りを台所から見ていた沙苗はその光景に微笑んでいた。


(ふふ、裕香は結構、頑固よ)

「とりっくおぁとりーと」

「じゃぁ、卵ボーロで良いかな?」

「いやや、うちチョコがええ」

「なぜ、関西弁⁉︎」


柔らかい頬を膨らまし駄々をこねる裕香に俊介は苦笑する。しかし、裕香はまだ諦めない!


「とりっくおぁとりーとっ」

「うーん。これ以上、家にお菓子はないなぁ」

「とりっくおぁとりーと!」

「だからね。お菓子はもう」

「とりっくおぁ……ママぁ〜!パパがおかしくれないぃぃぃぃいい!」

「いや!さっき飴ちゃん渡したよね⁉︎」


裕香は泣きながらダッシュで沙苗の元に駆け寄り、腰にきつくしがみ付いた。ちょうど洗い物を終えた沙苗は裕香を抱っこして、困り顔の俊介の隣に座る。


「裕香、お菓子をくれない人にはいたずらしても良いんだよ」

「そうなの?」


その瞬間、裕香の瞳がキラリと光った。


「でも、さっき飴ちゃんを」

「それはそれ、これはこれ」

「裕香、その言葉どこで覚えた?」


驚いている俊介に沙苗は抱っこしていた裕香を俊介の膝の上に乗せる。そして、親指を立てて。


「やっちゃえ」

「パパ!かくごっ!」


裕香は俊介の脇腹をくすぐったりと、子供らしい悪戯(いたずら)をしたのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ