9 ウィニーが飛んだ!
やっと期末テストが終わり、寮母さんからウィニーを返して貰った少年は嬉しくて頬ずりしました。
『くるるっぴ』とウィニーも嬉しそうです。
『そういえば、ウィニーは教室の窓まで飛んだんだよね?』
中庭の芝生から校舎の窓を眺めて、チビ竜のウィニーには高く思えただろうと褒めます。
ウィニーは得意そうに羽根をばたばたするので、抱いていたのを地面に下ろします。
『飛べるよ!』そう言うと、ウィニーは走って地面を蹴って空へ舞い上がりました。
『凄い! ウィニーが飛んでいる』
今までのジャンプとは全く違う、立派な飛行です。
『ウィニーと一緒に空を飛べたら良いなぁ』
初飛行で得意そうなウィニーを抱き上げて、少年はチビ竜に乗るのは無理だなと笑いました。
『大きくなったら、乗せて飛ぶよ!』
腕の中のウィニーは雛竜の頃よりは大きくなっていました。
『ウィニーはどのくらい大きくなるの?』
チビ竜は『きゅるるるる?』と首を傾げます。
竜を見たのも初めての少年にも、大きさは解らないので、これからの一緒に経験していくしかないと考えました。
『大きくなったら、僕を乗せて空を飛んでね!』
『くるるっぴ!』
少年はウィニーと空を飛びたいと願いましたが、このまま腕の中にすっぽり入るチビ竜も可愛いと、少し困ってしまいました。




