8 肩のりウィニー
少年がウィニーの躾を悩んでいる頃、寮母さんはテスト中に教室に飛び込んだと聞いて驚きました。
「期末テストが終わるまで、ウィニーは預かります。
あなたは勉強に集中しなさい」
ウィニーが寮母さんに連れて行かれるのを、少年は寂しく感じましたが、テストで悪い成績を取るのも困るので仕方ないと諦めました。
「ウィニー、頑張って勉強するからね」
夏休みをウィニーと楽しく過ごす為にも、悪い成績をとって罰の宿題をもらうわけにはいかないのです。
少年は真面目に勉強しました。
「やったぁ! 期末テストが終わったぞ!」
少年はウィニーが飛び込んできた時の科目以外は大丈夫だろうと思いました。
寮に帰ると、ウィニーが寮母さんの肩にちょこんと乗っています。
『きゅるるっぴ!』
少年を見て騒ぐチビ竜を、寮母さんはシッ! と叱って、腕にウィニーを乗り移つらせます。
『ほら、ちゃんとできるでしょ』
そして、ウィニーを少年の肩に乗せてくれました。
『すごい! 肩に乗れるんだ!』
数日ぶりに少年に会えたし、褒めて貰ってチビ竜は嬉しくてしかたがありません。
『もっと躾たのですよ、まだ竜を怖がる人もいますからね。
ウィニー! 隠れて!』
寮母さんの命令で、チビ竜は少年のチュニックの下に潜り込ます。
「寮母さん、ウィニーをしつけて下さり、ありがとうございます」
チュニックのえりぐりから顔を覗かしたウィニーも、寮母さんにくぴくぴとお礼を言います。
『ウィニー! 夏休みだよ!』
少年と一緒になれたチビ竜は、肩に乗って嬉しそうに羽ばたきました。
『ちょっと~肩ではばたばたしないで!』
まだまだウィニーには躾が必要ですね。