6 ボール遊び
卵から孵って1月半過ぎた頃から、ウィニーは羽根をバタバタさせるようになりました。
『ウィニーは飛べるのかな?』
少年は空を飛ぶウィニーを見たいと思います。
卵から孵った時はしわくちゃだった羽根は、とっくに伸びていましたが、コウモリの羽根によく似ています。
それに雛竜だった時は黒っぽかったのに、卵と同じ青味がかった灰色に変わってきました。
『ウィニーは風竜だから飛べると師匠は言うけど……』
頑張ってバタバタさせていますが、まだ飛べそうな感じはしません。
少年はボロ布を丸めてボールを作りました。
『ほら、ウィニー! 取ってごらん』
初めは床を転がして、ウィニーに持ってこさせます。
ウィニーはボール遊びが気に入りました。
『くぴくぴぴぃ!』と喜びます。
友達も少年が宿題をしている間、ウィニーの相手をしてくれます。
ある日、少年は少し高い所へボールを投げました。
『きゅるるっぴ!』ウィニーはジャンプして口でキャッチしました。
『ウィニー! 飛べるんだね!』
少年は大喜びして、師匠の前でもボールをキャッチさせます。
『これは飛ぶというより、ジャンプだなぁ』
少年は少しがっかしましたが、少しずつ練習しようと考えます。
『ウィニー、空を飛べるように頑張ろうね!』
くぴくぴとウィニーは嬉しそうに返事をしました。