4 竜だ!
呑気に眠った雛竜をバスケットの中に入れて、師匠と少年は魔法学校に帰りました。
「雛竜は一日に何度も餌を欲しがるだろう、ちゃんと育てられるか?」
少年は大変そうだと思いましたが、ウィニーを手放す気持ちにはなりません。
「友達に手伝って貰います」
そう言ったものの、少年は友達にウィニーを見せるのをためらいます。
友達も竜が悪者だと思ってないか、怖がらないか不安だったのです。
「本当に竜を見たことがある人がドラゴンスレイヤーの本を書いたのかな?
師匠だって竜を見るのはウィニーが初めてなんだよ」
少年は竜を悪者に書いた本の作者が、本当に見て書いたのかと腹を立てました。
バスケットの中で丸まって寝ているウィニーはちょっとトカゲに見えるけど、少年にはとっても可愛く思えます。
世話を手伝って貰う予定の友達が竜を怖がらないかと心配しました。
「友達は竜を怖がったりしないかな?
女の子はトカゲとか嫌いだから、怖がるかな?」
少年が悩んでいると、友達が部屋に遊びに来ました。
とっさにバスケットを後ろに隠してしまいます。
「まさか、子犬か子猫を拾ってきたの?
寮はペット禁止だよ」
心配する友達にソッとバスケットの中を見せます。
「竜だ! 竜の卵が孵ったの?」
全員が目をまん丸にしました。
少年が冬の間、師匠に貰った竜の卵をずっと温めていたのを友達は知っていたからです。
「まさか本当に孵るとは思わなかった」
少年も少し師匠を疑っていたと反省しました。
眠っていた雛竜が、友達の声で金色の目を開けます。
「うわぁ~可愛いね」
「ウィニーと言うんだよ」
少年は誇らしそうに紹介します。
『きゅるるるる……』
少年が友達にも世話を手伝って貰うことにすると告げると、ウィニーは不安そうに鳴きました。
『大丈夫、絶対にウィニーを手放さないからね』
ウィニーは少年が一緒なら安心だと、目をとじて眠ります。