表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

2  孵れ!

 春になり、少年は師匠と花見に行きました。


 勿論、竜の卵もポケットに入れてあります。


 満開の花の下でピクニックをしていたが、少年は木の根っこに足を引っ掛けて、転んでしまいました。


 ポケットからコロコロと竜の卵が転がり出て、少年は慌てて追いかけます。


「あっ! 竜の卵が……」


 固い石のようだから大丈夫だろうと思いましたが、拾い上げてビックリ!


「動いてる! 竜の卵が動いてる!」


 師匠も、本当に竜の卵が孵るとは考えていませんでした。


「落ち着け! 竜の卵を花見の敷物の上に置きなさい」


 桜の木の下の毛布の上で、竜の卵はゆらゆら揺れています。


「コツ、コツ、コツ……」


 揺れている竜の卵の中から、必死に孵ろうと叩く音が響いて、少年は思わず叫びました。


「頑張れ! 孵るんだ!」


 しかし、なかなか竜の卵は孵りません。


「殻が固すぎるんだ!」


 コツ、コツ、という音も小さくなり、揺れ方も小さくなっていきます。


「師匠? 孵らなかったら、どうなるの?」


 師匠も竜の卵が孵るのを見るのは初めてなので、わからないと答えます。


「このままじゃ、死んじゃうよ!」


 少年は卵のてっぺんを指の関節で、ゴンゴン叩きました。


 血が出ても、叩き続けます。


 師匠がケガするのを心配して止めようとした時に、竜の卵のてっぺんからヒビか伸びました。


「あっ! ヒビが入った!」


 固い竜の卵のてっぺんから、ギザギザのヒビが下まで伸びたと思うとパカンと割れて、竜の雛が転がり出ました。



  挿絵(By みてみん)



「竜だ! 竜の雛だ!」



 濡れていて黒っぽい竜の雛は、少年の方へよたよた歩いてきます。


『きゅるるるる』


 くしゃくしゃの羽根を引きずりながら、雛竜は少年の前まで来ました。


『きゅるるっぴ!』


 少年は今まで感じたことがない空腹感を感じます。  


「師匠! お腹がすいて、目がまわりそうだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ